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鎧蟲武神譚  作者: RK
誕生編
6/8

06 変動

 ヴァルマー大平原上空。

 ズィーレンとヨウウは戦場を俯瞰して見ることが出来ていた。

 だからこそ分かる事がある。

 武神の恐ろしき強さを。減衰なしの闘気がビリビリと空気を震わせるのを自らの甲殻(はだ)で感じ取ることが出来ていた。

 だからこそ、アードラよりも武神の桁が違う強さを正確に認識できていた。


「あの牙がこちらに向かないことを祈ろう」

『あれの目的が分からないのは恐ろしいけれど』


 動きの止まったズィーレンを狙った『鍬形』の攻撃を受け流す。

 そうして体勢の崩れた『鍬形』は『蛍』の攻撃を受けて地へと墜落して行く。

 しかし、エトグラーセの騎士団の強さは伊達ではない。

 毒に蝕まれでいてもなお、最低でも相撃ちまで持って行くのは驚嘆するほかない。


「付け焼刃では限界があるな」

『そうね、それに元々『蝶』も『蛍』も前衛向きではないから仕方ないのよ』


 順調に『鍬形』の数を減らしてはいる者の、所詮は一時的な行動不能に過ぎない。

 決定力に欠ける『蝶』と『蛍』では『鍬形』を倒しきることはできない。

 本来は叩き落として敵を巻き込みつつ行動不能にし、止めを『蟷螂』たちに任せる。そして制空権を奪えば地上の敵を掃討する手筈だったのだ。

 しかし、エトグラーセは何度もスルフニエツの侵攻を退けて来たつわものたちである。

 それに加え、地上にいる『蟻』も予想外であった。


「あの『蟻』…一体なんなんだ」

『そこまで強くはないけど数が多いわ』


 蟲者と比べれば弱いと言っても生身の兵達にとっては十分の脅威だ。

 そしてそれがスルフニエツ軍地上部隊の蟲者よりも数が多いとなれば厄介だった。


「あんな隠し玉を用意していたとはね」

『こっちも早く終わらせなければならないと言うのに』


 それを許してくれないのがエトグラーセの騎士団であった。

 悔しい事に、地力は向こうの方が圧倒的上位であることに加え、蟲者としての性能差もある。いくら奇策、技巧をこらしたところで何とか五分まで持って行くのが精いっぱいであった。


「アルフォンツォ卿を早々に叩き落せたのは大きい」

『あんなのがいっぱいいたら今頃私たちは飛び舞われていないわ』


 それもそうかと笑いながら鞭を振い『鍬形』を振り回す。

 『蛍』の蟲者が持つ能力、ライトで瞬間的に視力を奪いそれで生まれた隙を突いて叩き落とす。

 それも既に通用しなくなってきている。指揮官不在となっても、それを補うように動くエトグラーセには賞賛の言葉を送りたくなるほどだ。

 スルフニエツにもこれだけの練度があれば、今頃は大陸の覇者となっていたかもしれない。


「だけど、この戦いを制したら歴史は変わる」

『だからこそ勝たないとね』


 ズィーレンとヨウウの言葉は現実となる。

 ロレンシア大陸の歴史はこの戦いを経て大きく動く。

 しかし、それがスルフニエツの都合にあったものかというと、答えは否であった。



 # # # # #



 ズィーレンが空で戦い制空権を勝ち取ろうとし、

 アードラが地上で軍を率いて侵攻し、

 アルフォンツォが本陣を目指し、

 『蟻』が前線で猛威を振い、

 カガリはカトマンズを視界に捉えていた。

 そしてカトマンズは震えていた。




 エトグラーセの王は迫りくるカガリに動揺を隠せなかった。

 あの一方的な暴威に晒されるという恐怖が心の奥底から湧きあがってくる。


「ヴァ、ヴァローネ!!『擬蟲者』を呼べ!」

「分かっております!」


 背後に控えた蟲車(ちゅうしゃ)に控えていたヴァローネが返事し、すぐさま指示を出す。

 その周りに控えていた残り十の『蟻』が武神の進攻を押しとどめようとカトマンズとの間に立つ。

 血風が吹き荒れ、赤い霧が生まれる。

 それは全てエトグラーセの兵士のもので生み出されたものである。

 いくら蟲者と言えど、此処まで一方的に虐殺を行うのは難しい。

 それは蟲者とて人だからである。

 人を殺すと言うことは精神を摩耗し、激しく動くと言うことは疲労するからである。

 いくら戦場で蟲者が死神と、救世主と呼ばれようとその現実は覆せない。

 だというのに、迫りくるあれはなんだ。

 疲れを感じさせぬ虐殺。


 武神とて人間。

 ――本当にそうか?

 数の暴力には勝てない。

 ――現に押されているではないか。


 武神は殺したはずなのだ。

 カトマンズ、否、エトグラーセも蟲者を、武神を殺す部隊の報告でそうなっていた。

 四肢を砕かれ、炎に焼かれたと。

 死体こそ確認されていないものの、あの状態で村ごと炎に包まれて生きていられるはずがないのだ。

 その報告はエトグラーセだけでなく、ロレンシア大陸北部の大国エサーツトロンや大陸西部の国家、グラブネザー。南東部のスルフニエツも、東部エドレッヘドレーフェもそうだ。あの滅んだエレイラブト帝国とラブネツソ聖国も同様だ。

 それだけの国が武神を自国に招こうと使者を送り、武神の力を目の当たりにし、武神を恐れた。

 たった一人を殺すために、各地の国々が蟲者を送り込んだのだ。

 蟲者でない武神は数でも、質でも勝てない戦いの末に力尽きたはずなのだ。

 では、目の前にいるのは既に死んだ者。

 地獄から這いあがってきた悪鬼なのではないか?

 震えるカトマンズに気付くことなく、エトグラーセの精鋭達は王を守るために陣を組む。

 本陣を守る蟲者に加え、『蟻』たちが武神がいる。

 対して相手はたった一人の蟲者。


「大丈夫だ…、数は力だ。武神とて、相手が地獄から蘇った悪鬼だとしても、一度は数の暴力に屈したのだ…」


 カトマンズは自らに言い聞かせるようにして言葉を連ねる。

 そうしている間に軍師であるヴァローネは自らの職務を全うしていた。


「歩兵は決死の覚悟で足止めをしろ!王が死んだら我らの負けだ!騎士団は兵が作りだした隙を突いて奴を殺すのだ!『蟻』を使いつぶしてもかまわん!何としても仕留めるのだ!」


 兵達に指示を出し、『蟻』たちに指示を送る。

 ヴァローネの背中には管が刺されており、その一本一本がまるで生き物のように蠢いている。

 管は蟲車の幌の中へと続いており、そこに『擬蟲者』に指令を送る『装置』が積み込まれているのだ。


「王を守れ!我らエトグラーセの正義を示すのだ!!」

「敵はたかが蟲者一人よ!押し潰せばいいのだ!」


 将兵達が士気を上げる為に叫ぶ。

 彼らとて分かっているのだ。目の前の化物がそんな容易い存在ではないと。

 だが、ここは引けぬ戦い。

 それ故に自らを鼓舞し奮い立たせる。

 そんな彼らと黒と金の悪鬼がぶつかる。


「止めろぉぉ!!」

「鬱陶しい、退け」

『ゴミは退きなさい』


 武神は歩兵の一人を捕まえる。

 そして次の瞬間、首を引き抜いた。


「えっ?」


 引き抜かれた首が驚愕の表情を浮かべる。

 首から下には頸椎から腰椎が風に揺れており、その下には潰れた身体が存在している。

 あまりの残虐な行為に兵達の足が鈍る。


「我流「友骨喰ともほねばみ」、とでも言おうか」

『死体の再利用とも言うわね』


 そう嘯くカガリとジャクホウ。

 そして手に持った骨を振う。

 即席の蛇腹剣とでも言うべき扱い。人を支える強靭な骨が凶器となってエトグラーセの兵を襲う。

 蟲者の膂力で叩きつけられた骨も、その骨で打ち据えられた人間も耐えきれずに壊れる。

 人を人とも思わぬ所業に、エトグラーセの兵士たちは恐れ、そして怒りを抱く。


「人を人と思わぬその所業、まさに悪逆非道!地獄の鬼という表現すら生ぬるい!!貴様は本当に人間か!?」


 いきり立つエトグラーセの将兵にカガリはと言うと。


『貴方達もそう変わらないでしょうに』

「所詮はこんなもんだ。人って言うのはな」


 そう肩を竦めるだけで堪えた様子はない。

 虐殺の手を緩めることもない。平然と、まるで散歩をするかのように人を殺す。


「貴様!!」

『よせ!!』


 『鍬形』の将兵の一人がそんなカガリの態度に抑えが効かずに飛びかかる。

 鎧蟲(かっちゅう)の制止すら振り切っての行動は抑えきれぬ激情を物語っている。


「アレを扱うお前らが何を憤る」


 そんな将兵をカガリは冷めた目で見据える。

 『鍬形』の将兵は鋸の様な剣を大上段に振り被り、その怒りを叩きつけようとする。

 即座にカガリは腕に剣の蟲器を生み出す。


「バロウズ流蟲技「先駆さきがけ」、――我流崩し「迅雷じんらい」」


 バロウズ流のカウンター技、先駆。それは敵と全く同じ攻撃を繰り出し相手の技ごと打ち破る技。

 それは相手の攻撃を見極める力、相手と同じ攻撃を繰り出す速さ、そしてそれをうわ回る技量が必要な技だ。

 迅雷はそれの更に上を行くカウンター技である。敵よりも速く敵の攻撃よりも威力の乗った攻撃を繰り出し、相手の技が生まれる前にぶつける。それは相手に最大の屈辱を与えると同時に絶対的な恐怖を植えつける技である。

 『鍬形』の踏み込みの勢いが乗った大上段の斬り下ろしを、それよりも後に構えたカガリがそれよりも先に繰り出した。

 蟲器である鋸剣を両断し、それでも止まらずに頭部から胸部甲殻をそのまま振り抜く。その後、勢いの着いた巨躯の背後にまわり蹴り飛ばす。二つに分かれた肉塊が兵士たちを押し潰す。


 圧倒的。

 そう表現するほかない光景が目の前で繰り広げられていた。

 隙とも言えない隙を狙ってヴァローネは『蟻』たちをカガリへと差し向ける。

 武神の圧倒的な強さを目の当たりにした『鍬形』の蟲者たちも、それに続く。

 己が守るべき者達を守るため、帰りを待っている者達の元へと帰る為に。

 蟲器を強く握りしめ、心に湧きあがる恐怖を振り払うために叫ぶ。

 だが。


「クライブ流拳闘術蟲技「流域りゅういき」、――我流崩し「傾壊けいかい」」


 クライブ流拳闘術蟲技「流域」。それは敵の勢いを受け流し相手の体勢を崩す技である。武器を持った相手の勢いを利用し、自らが懐へと潜り込む事で相手の間合いの内側に入る。まるで流れるような動作から名づけられたその技を、カガリは自らが攻撃に転じるのではなくその勢いを利用し、本来ならば自分に向かってくるはずだった攻撃を全て違う方向へと向け同士討ちをさせるように仕向けた。

 勢い全てを逸らされ、流され、破壊を与えるべき相手には届かず、その全てが仲間へと向かう。

 自らの手の中に残る確かな手ごたえ。それは倒すべき敵を倒したものではなく、肩を並べて闘った仲間達の命の感触であった。


「ああ…、あああ………」


 兵士たちの心が折れる。

 勝てるはずがない。目の前にいるのは化物だ。

 兵の中には命乞いをする者もいた。


「こ、殺さないでくれ!」

「ジャクホウ、こう言っているが?」

『カガリ、答えの出てる問答は要らないわ』

「だよな」


 無情に、無残に、一部の思考の時間も無く。

 命乞いをした者は殺された。

 兵達に絶望が蔓延する。

 逃げようと背中を見せれば殺される。

 立ち向かえば殺される。

 命乞いをしても殺される。

 どうすることもできない。故に動くこともできない。

 『蟻』も司令塔であるヴァローネの思考に引きずられて動きを止めている。

 戦場とは思えない静けさが支配する。


「ま…、待てッ!何が望みだ!?」


 その状況を打開すべく、カトマンズが叫んだ。


「ジャクホウ、俺達の望みとはなんだ?」

『世界を平和にすることね。それも未来永劫の』

「ああ、そうだ。俺達の望みは世界の平和だ。未来永劫のだ」


 カガリは声の主がいる方向へと向き直るとおどけた様に、演技のようにジャクホウと語らい始めた。

 しかし、声はどこまでも真面目で、気配はこの言葉が本気だと告げている。

 その様子に、カトマンズは震えた。

 決して歓喜のものではない。感動したわけでもない。

 畏れから身体が震えたのだ。


(狂っている…!)


 未来永劫の世界平和などあり得ない。そんなもの物語の世界ですら存在しない。

 そんなものを望んでいると言うのか。


「せ、世界平和を望むと言うのに戦うというのか…?」

「それをお前達が言うのか?この俺に。かつてお前達が殺そうとした俺に」

『では逆に聞きましょう。貴方達は私達に何を望んでいるの?』

「私達の望み…?」

「ああ、そうだ。お前たちの望みを聞こう。お前たちは俺に、俺達に何を望む?」

『答えなさい。人間』


 カトマンズは暫し黙考する。

 此処で言葉を間違えれば自分達は死ぬ。

 そうなればスルフニエツが侵攻し、エトグラーセはこの世界から姿を消すだろう。


「わ、私は…」


 口の中が渇く。

 あっているのだろうか。

 間違っていないのだろうか。

 しかし、言葉は紡がなくてはならない。

 目の前に立つ、人ならざる化け物、武神が問いの答えを待っている。


「へ、平和の為に、その力を我が国に貸してくれないだろうか」


 兵達の死を無駄にしない為にも。この力を手に入れるのが最優先だ。

 狂っているが、世界の平和を求めているのは確かなはずだ。それは確信できる。

 だから、頭を下げる。この力を手に入れれば大陸の覇者となれるはずだ。

 その瞬間、笑い声が響き渡る。

 心底おかしいと言わんばかりの笑い声。

 その声の主は武神である。


「聞いたか、ジャクホウ」

『ええ、聞いたわ、カガリ』

「俺はこの言葉を聞いたことがあるぞ」

『ええ、私も聞いたことがあるわ』


 カトマンズの背中に汗が流れる。

 間違えてしまった。そう直感した。


「地位をやろう、名誉もだ!不自由ない生活も保障しよう!望む物があれば全てを与えよう!どうだろうかッ?」


 よせばいいのに言葉を重ねてしまう。

 武神の笑いが止まり、再び静寂が空間を支配する。


「『命を望む』」

「我が最愛の妹の」

『我が最愛の母の』

「我が村の者達の」

『我が森の者達の』

「『そしてお前たちの』」


「『()を望む』」


 カトマンズは理解した。

 もう後戻りなどできないのだと。

 死んだ者は帰らない。

 失った物は戻らない。


 最早、交渉の余地などない。

 否、もとよりなかったのだ。

 これは自分達が蒔いた種である。

 各国の王達が蒔いた種。

 そしてそれは成長し、手の出せぬ領域まで伸びてしまった。

 なんとか刈り取らなくてはならない。

 今、この場から生きて戻るにはそれしかない。


「ヴァローネ!!」

「…ッ!」


 カトマンズはヴァローネへと叫ぶ。

 その力強い叫びによってヴァローネは意思を取り戻す。

 兵士たちもその叫びによって意思の炎を燃やす。

 まだ終わりではない。エトグラーセの(意思)は折れていない。


「まずは悪趣味なものを壊そうか」

『あの『蟻』との約束ですものね』


 武神の右腕がヴァローネの腹を貫いていた。


「え…?」


 ヴァローネの喉から血と共に声が零れる。

 その出来事に、一同が呆気に取られていた。

 一瞬の出来事。

 カガリは腕を横に薙いだ。まるでゴミを捨てるかのように。

 グチャリ、と生々しい音を立てて地面に落ちるヴァローネだった肉塊。

 そちらに一瞥もくれず、カガリは蟲車の幌を剥がす。

 そこには1メートル半程の大きさの『蟻』と、それに癒着しているようにしか見えない人で出来た肉団子の姿があった。

 『蟻』はよく見れば肢の全てが落とされており、頭にはヴァローネに繋がれていた管が刺さっている。

 身動きが出来ずに腹の部分(虫は頭、胸、腹の三構成である。腹は蟻のお尻部分と言えばわかるだろうか)は人で出来た肉団子で埋もれている。

 これで人も、『蟻』も生きているのだから人間とは残酷なものだ。


「自国の者以外は人ではない。自分たちの力にならない者は不要。変わらないな」

『これで私たちに「平和の為に」やら、「正義の為に」とのたまうのだから不思議よね』


 そういってカガリは肉団子を引き剥がす。

 無理矢理に行ったので肉団子から声が漏れる。発声器官が残っている者たちの苦悶の声が呪いの様に漏れ出ている。

 しかし、こうなっている者達はもはや死ぬしかない。

 これはただの燃料なのだ。『蟻』の女王、制御装置を動かすための燃料。



 カガリは無言で肉団子を壊す。

 大量の血が飛び散り、むせ返るような臭いが周囲に充満する。

 そして『蟻』の女王を続けざまに殺す。

 『蟻』たちはそれで完全に動きを止めた。

 エトグラーセの剣は完全に折れた。完膚無きにまで折られた。


『『蟻』の意思、『蜂』が継ぎましょう』


 ジャクホウが能力を使う。

 『蟻』が持つ能力、コミュニティ。

 『蜂』もまたその力を持っている。

 『蟻』に比べて能力の強度が劣るが、女王がいない今、その能力に抗う者はいない。

 動きを止めていた全ての『蟻』たちが動き出す。

 そして、鈍色の甲殻が蠢き、形を変え、色を変える。

 黒と金の甲殻に。

 より、鋭角な攻撃的なフォルムに。

 その姿は『蜂』。しかし、部分的に鈍色の甲殻の部分も残されている。

 エトグラーセにとっては悪夢であった。


「さあ、俺達の正義を始めよう」

『ええ、私達の平和を始めましょう』 


 『蜂』たちの蹂躙が始まる。

 『鍬形』の蟲者は数に押し潰される。

 兵達は力によって押し潰される。


「何処で間違えたと言うのだ…」


 カトマンズは兵達が殺されている姿を見て呟いた。

 近づいてくる黒と金の甲殻を持つ蟲者に、ゆっくりと鎌を振りあげる死神の姿を幻視した。

 振りあげられた腕がカトマンズを切り裂き、エトグラーセとスルフニエツの戦争は終結した。

 しかし。



 まだ戦いは終わっていない。

 

次は2015/6/9更新予定

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