ずっといっしょだよ 4
「ど、どうしたのじゃ、隆哉?」
「か、神様……あ、あのね、僕は神様を幼馴染として見る、って言ったんだ。夢、杏、翼と澪と同じように。気付いたんだよ、僕はまだ、誰かと恋仲になるような覚悟ができていないんだ……だから――」
すると神様はなぜか無表情で僕を見る。
あれ? なんだか様子がおかしいぞ……この反応って……
「ふむ。そうか」
神様は急にテンションが下がったように、抑揚のない声でそういった。
僕の背中に一瞬、嫌な感覚が走った。
でも……気付けば神様の表情は元に戻っていた。
なんだ? 僕の想い過ごしかな?
神様はニッコリと笑って僕を見ている。
「それが、お主がワシの与えた機会から導き出した結論、というわけか」
「う、うん。そうだよ」
「ははは、実にお主らしいと言えばそうじゃな……じゃが、そういうわけにはいかんのじゃよ」
「……へ?」
神様が、今度は口の端を釣り上げて笑った。
その笑みは酷く邪悪な笑みだった。
嫌な予感が、確信に変わった。
「言ったじゃろ? ワシはなぁ……お主のことが大好きなんじゃよ。神同然となったこの身でも、心は人間のままじゃ。じゃから、当然、好きになった相手には自分だけを見ていて欲しい……誰よりも、自分だけを、な?」
神様が恐ろしい笑みを湛えたまま僕を見る。
僕はようやくここで気付いた。
そうか。確かに神様も僕の幼馴染だったのだ。
夢や、杏、翼、澪と同じくらいに僕のことが好き……
つまり、それこそ僕を殺してでも、自分だけのものにしたいくらいに。
僕は慌てて後ずさりする。
神様の瞳は僕を見ていた。その瞳はかつて僕が見た綺麗な瞳ではない。
狂気に満ちた、見ているだけで不安になる色だった。
「……お主がワシの与えた機会で成長したのは大いに嬉しい。じゃが、そういう結論に至ったというのは残念じゃ……いよいよワシのことしか好きにならないと思って、今一度生き返らせてやったというのにのぉ」
「え……そ、それって……」
「ああ。そうじゃ。神林の巫女に監禁され、極限状態になった時点で、もう大丈夫じゃろうとワシもたかをくくっていたのじゃ。さすがにそろそろ、『最後に残った幼馴染と付き合う』という結論に、お主も至ってきたと思ったんじゃ。夢もダメ、杏もダメ、翼もダメ、澪もダメ……となれば、残った幼馴染はワシだけじゃからな」
「そ、そんな……じゃあ、ちょっと待ってよ……僕が今まで何度も生き返ったのは……誰かとやり直したい思ったからじゃなくて……」
すると、神様はニンマリと微笑んだ。
「無論、お主がワシのことを好きなるためにじゃ。お主が誰かともう一度やり直そうと思うかどうかなぞ関係ないのじゃ。なぜかわかるか? それは、最終的にはお主は、ワシのことを好きになるんじゃからな。つまり、お主はずっと、今までワシの予定通りに死に、生き返ってきた、というわけじゃ。ワシのことだけを好きなるためにのぉ」
あまりのことに、僕は視界がぐら付くのを感じた。
なんてことだ……じゃあ、僕は……
「ふふふ。大丈夫じゃよ、お主のたどり着いた結論はワシの予想とは違ったもので、非常に残念じゃ。じゃが、すぐに気は変わる。ほれ、後ろを見てみよ」
「……え?」
ふり返った僕は目を大きく開いて驚くことになる。
そこにいたのは――
「……なんで、こんなところにいるのかな? タカ君?」




