ずっといっしょだよ 5
抑揚のない聞き覚えのある声。
そこにいたのは四人の人影。
見覚えのある間違いようのない四つの人影。
「あ、あわわ……」
思わず僕は小さく悲鳴を漏らしてしまった。
「へぇー……隆哉、アンタ、中々いい度胸しているじゃない?」
ツインテールを風に揺らしながら、杏が僕を睨んでいる。
その瞳は既に光がなく、怒りさえ感じられる。
「なるほど、これが、私達より優先して選んだ用事、っていうわけか」
翼は拳をボキボキと鳴らしながら、僕の近くへ寄ってくる。
「うふふ、隆哉君……さすがの私も、これでは隆哉君を擁護できませんね」
いつも通りニコニコしている澪。
だが、その笑みはもちろん狂気を感じさせるものだった。
「……タカ君、覚悟、ってこういうことだったのかな? だったら……覚悟はできているんだよね?」
夢は目を開いたままをしないまま、慈悲を一切感じさせない声で僕にそう言った。
僕はあまりのことに身体が震える。
……な、なんで? どうして?
どうして四人がここに来るんだ?
だ、大体神様の姿がどうして四人にも見えて――
「そりゃあ、ワシが見せようと思っているからじゃよ」
「な、なんでそんな……」
神様はニヤリと笑う。
その微笑はこの上なく邪悪なものだった。
「そりゃあ、もちろん、隆哉。やり直しをするためじゃよ」
「や、やり直しって……え……じゃあ」
神様は何も言わずただニコニコと笑っている。
大体神様のしようとしていることはわかってきた。
じゃあ、僕はやっぱり……
僕はもう一度四人の方に向き直る。
「あ、いや……そ、その……こ、これは……ち、ちが……」
「違う? 何が違うのじゃ? 隆哉よ。さっき、誰よりもワシのことを愛していると言ってくれたではないか?」
「なっ……そ、そんなこと言ってない……!」
慌てて神様の言葉を遮ろうとするが、既に四人には聞こえていないようだった。
「へぇ……私達よりその子のことが大事なんだ……」
「わかっているのよね? 隆哉? アンタ、どうなるか?」
「昔はこういうとき、よく喧嘩したよな? だけど……今回は喧嘩じゃすまないぜ?」
「うふふ。隆哉君……残念ですが、私ももう助けられませんね」
四人がゆっくりと近付いてくる。
なんで、こうなるんだ?
今度こそ、うまくいくと思ったのに……!
今度こそ、僕の平和な生活が戻ってくると思ったのに……!
僕はまた――
「すまんのぉ。じゃが、本当にワシはお主のことが好きじゃからな。お主がワシのことしか愛せなくなるまで、何回でも、何百回でも、輪廻を続けようではないか……のぉ、隆哉?」
神様の言葉が耳に入ってくるが、既にその言葉を理解する余裕はなかった。
なぜなら、その時、僕は今更ながら、大変な事実に気付いていたからである。
それは、僕が死んだということなのだ。
人が死んで、生き返る。
そんなことはあり得ないことなのだ。
例え神様であっても、そんなことはできるはずがない。
だとすると、僕はやはり死んだのだ。
死んで、今僕は地獄にいる。
そう。
延々と「五人」の幼馴染に翻弄され、生と死の輪廻を続けるという無限地獄に。
「隆哉」
「え……?」
四人の幼馴染が迫り来る中、神様が僕に今一度話しかけてきた。
「これからも、ずっといっしょ、じゃよ?」




