決意を胸に 5
もし、今言ったとおりのことができなければ、きっと、また僕は死ぬ。
死の運命から逃れるには、覚悟が必要なのだ。
それが四回の生き返りでようやくわかった。
だけど、今の僕にはそれができない。
今の僕が手に入れたのは、そういう覚悟が必要なのだという認識だけだったのだ。
「……で、今はその覚悟ができていないから、タカ君は私達幼馴染のうちから誰か一人を選ぶことはできない、って言いたいんだね」
夢は落ち着いた様子でそう言った。
「……恋人同士になるっていうのは、それまでとは関係が変わるってことだ。それはつまり四人の仲良し幼馴染にはもう戻れないってことなんだ……それには相当の覚悟が必要ってわかった。今の僕にそんな覚悟はないし、それに、僕は今の皆との関係を壊したくない」
夢にははっきりとそういった。
夢自身は納得しているのかいないのか、微妙な顔つきで僕を見ている。
そりゃあ、そうだ。こんな言い分、納得しろって言う方がどうかしている。
内心、心臓はドキドキだった。
このまま夢に殺される可能性だって充分にある。そうなると、もはや神様の加護は期待できない。
僕は今度こそ、死ぬということになる。
「……はぁ」
夢が大きく溜息をつく。
僕はビクンと反応した。
夢がこちらに振り向いた。
そして――
「……タカ君らしいなぁ」
「……え?」
夢は確かにそう言ったのだ。
タカ君らしい、と。
そのまま夢はベンチから立ち上がった。
「……小さい頃お嫁さんごっこ、ってやったでしょ? おままごとの延長線みたいな遊びで。皆でタカ君のお嫁さんになる、って奴」
「……あ、ああ。覚えているぞ」
「私と翼ちゃん、で、澪ちゃん……杏ちゃんはじゃんけんが弱くて1回もお嫁さん役になれなかったんだよね」
そのまま夢は噴水の方に向かって歩き出す。
「その時、タカ君に私聞いちゃったんだよね」
「え? な、何を?」
「どのお嫁さんが一番好きなの? ってね」
ニッコリと夢は微笑む。
噴水の水が高く吹き上がった。




