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最後の選択 11

「……恋?」


 僕は間抜けにそう聞き返した。


「そ、そうじゃ……ワシが贄となったのはお主と同い年くらいじゃったのぉ……青春真っ盛りって言うヤツじゃな。周りにも何人かそういう奴がおったよ。ワシもいつかきっと、そんな素敵な出会いができる、と。じゃが、残念なことに、その前にワシが生贄に選ばれたしもうた。ワシは恋への執念を持ったまま死んだ……いつかきっと、すばらしい出会いができる、と信じてな」


 そして少女はニッコリと僕に微笑む。


「だから……そんなワシのところに来てくれたお主を見て、わしは運命じゃと思った。ずっと、お主がワシの元に来てから、ずっとお主を見てきた。あ、あはは……き、気持ち悪いじゃろ? そ、そもそも、ワシは神とも悪魔ともつかぬ存在。お主と結ばれてはいけないと思った。だから、せめてお主には周りの女子と幸せになってほしいと、おもって、な」


 悲しそうな瞳で彼女は僕を見た。


「まぁ、結果はこうなってしまったが……今の女子は怖いのぉ。神とも悪魔ともつかんワシ以上に怖いことをお主にやってみせたわい」


 すると少女は僕に背を向ける。


「今更どう責任を取ることもできないが……とりあえず、後1回はやり直しが利くようになっておる。無論、誰かと恋仲になりたいと思わないと、ワシの力の性質上、それはできないが……とりあえず、誰でもいい。この際、もう一度会いたいと思う人でもいいんじゃ。その人を想って死ねば、あの日に戻って一からやり直せる」


 そのまま少女は扉の方へ向かっていってしまった。


「お、おい……か、神様」


 神様……そう呼びかけると神様はゆっくりと僕の方に振り向いた。


「もうワシはお主に正体を明かしてしまった。お主とて、神様と一緒ならまだしも、不気味な怨霊と一緒にはいたくないじゃろ?」


「い、行くな……神様」


「……まぁ、その……なんじゃ……好きじゃったよ。お主の……『幼馴染』の一人として、ワシも、お主のことがたまらなく好きじゃった。本当にありがとう、のぉ……」


「か、神様? 神様!?」


 そのまま神様はふっと、姿を消した。


 いなくなったのだ。


 姿が見えなくなっただけでそれが定かではないが、感覚的にいなくなった、とわかったのだ。


 まるで心にポッカリと大きな穴が開いたようだ。


 自然と涙が流れていく。


 そうか。まだいたじゃないか。僕には。



 愛すべき、幼馴染が。



 ずっと昔から、他の四人の誰よりも僕を見守ってくれていて、一緒にいてくれた幼馴染が。



 それに気付いた時、僕は、そのまま意識を失った。

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