壊れた鳥籠 8
で、そんなこんなで一週間が過ぎたわけだ。
一週間というのは字面で表すと短い期間だ。
だけど、それを同じ場所で、しかも限られた場所で過ごすとなると問題は変わってくる。
そもそも時計もない。外の風景もわからない、となると今どれくらいの時間が経ったのか、ということがわからなくてひたすらに不安になった。
どんどん自分が外の世界と遮断されていることが如実に思い知らされてくる。
だからこそ、毎日、学校から帰ってくる澪だけが、一日がそろそろ終わりかかっているということの目安となっていた。
澪は学校から帰ってくると毎回嬉しそうな顔で僕に会いに来る。
それはもう、家に帰ってきて愛するペットとじゃれあう主人のように。
もっとも、今の僕は、澪にとってのペットそのもの……澪に飼われていると言ってもいい状況なわけだけれど。
で、そのペットの生活はどうしていたかっていうと、毎日の食事は夕食一食だった。
そりゃあ、朝に澪が学校に出て行ってしまうのだから、当たり前の話ではある。
だが、その唯一の夕食も問題であった。夕食を食べると以上に眠くなるのだ。
というか、明らかに夕食にその手の薬物が混入されているのだ。
おそらく、あの時僕が飲んでしまったお茶にも入っていたものだろう。
そして、半ば強制的に眠らされた後、気付くと僕は綺麗に洗濯された制服を着て、しかも、身体も清潔になって倉庫に戻っているのだ。
眠っている間に僕が澪に何をされているのかは……大体想像はつくが、考えたくはない。
というか、考えると恥ずかしい思いで死にたくなるくらいだ。
帰ってくると澪は、僕が夕食を食べて、そのまま意識を失うまでこの上なく嬉しそうな顔で僕を見ている。
そして、僕に今日あったことを延々と話し続けるのだ。
主に学校で何があったかということなのだが、大体が夢や杏、翼が心配している、との旨の話だった。
幼馴染が完全に失踪してしまっては、皆心配するのは当たり前だ。
なのに、その話をさも嬉しそうに澪は話していた。
僕は恐怖を通り越して何か悲しいものさえ感じてしまうのだった。
で、澪がいないとき……つまり、監禁されている間の大半は、僕は神様と過ごすハメになってしまっていた。




