壊れた鳥籠 3
「な、なんじゃ? 今度は」
「そうだよ! 相談だ! なぁ? 神様、誰かに相談するのは? 相談するのはOKなんだよな?」
「え、あ……ま、まぁ、できる相手がいるのなら……問題ないが……あ、いや! お主、それはやめた方がよいぞ!」
と、神様は急に取り乱したように僕に掴みかかる。
「な、なんだよ……まだ、何も言ってないじゃないか……」
「お主の考えていることは手に取るようにわかるんじゃ。お主……神林の巫女だけはやめておけ。あれはお主には荷が重過ぎる。奴はハズレのカードどころの騒ぎではない。地雷……しかも、杏とは比べ物にならない程の恐ろしい地雷じゃぞ?」
真剣な眼差しでそう言ってくる神様。
澪が……地雷?
そんな馬鹿な話があるか。
そんなはずはない。絶対にあり得ない。
神林澪といえば、この十数年、僕達の幼馴染でありながら僕達を見守ってきてくれたお姉さんのような存在だ。
小さい頃に両親を亡くしているせいもあってか、昔から澪は信じられないほどにしっかりした子だった。
僕達が喧嘩すればいつも澪が仲裁していたし、困った時には澪は役立つ助言をくれたのだ。
だから、今回だって、考えて見れば最初から澪に相談すればよかったのだ。
なんで気が付かなかったのか。まぁ、状況が状況だったからかもしれないけど。
僕は神様の制止を振り切ってそのまま行こうとする。
「や、やめろ! 本当に、お主、今度こそ、痛い目を見るぞ!」
「痛い目? フン。三回も殺されているんだ。これ以上痛い目なんて見ようがないよ!」
そういって僕は神様の制止を振り切り、走り出した。
そのまま小石川神社の石階段を駆け下りて走る。
目指す神林神社は目と鼻の先ほどの距離なのだ。
僕は走った。
今度こそ、成功させてやる。
きっと、澪に助言をもらえれば何もかもうまくいく。
そう信じて。




