天国から地獄 6
「え、えっと……友達?」
「ええ。私、せめてそれなら、アナタ様とお友達になりたいのです。ダメ……でしょうか?」
友達……か。
……いや、ダメじゃない。
ダメじゃないはずだ。
確かに彼女になるのは問題だ。
でも、友達ならなんの問題もない。
だって、それは別に翼を裏切っていることにはならない。
大体、友達としての付き合いなら、夢や杏にもしている。
だったら、問題ない。
でも……本当に?
「ダメ、ですか?」
上目遣いで僕を見てくる亜由美。
そもそも、目の前の美少女が可愛らしすぎるのが問題なのだ。
仮にストーカーだとしても、こんな子がいたら、僕はもう――
「あ、あー……友達、か」
僕は意味もなくもう一度言葉を繰り返す。
「はい。お友達、です」
「え、えっと……うん。それなら、問題ないかな?」
すると、ぱぁっと顔を輝かせて僕に飛びついてきた。
「ありがとうございます!」
「ちょ、亜由美……だ、抱きつかないで……」
「だって……嬉しくて……ふふふ。まさか、こうしてアナタ様とお友達になれる日が来るとは思いませんでしたから……!」
嬉しそうにニッコリと微笑む美少女。
うーん……中々どうして、今回の僕はかなり運があるのかもしれん。
そりゃあ、既に2回も凄惨な死を経験しているのだ。それくらいの報酬はもらってもいいかもな。
結局、その後、僕は亜由美とベンチに座って談笑し、最後にお互いのメールアドレスを交換して別れた。
しかも、亜由美とまた一緒に遊びに行く約束までして。
僕は幸せな気持ちで家路についていた。
「いい気なもんじゃの。お主」
と、神様が機嫌悪そうに声をかけてきた。
「え? あ、ああ。ま、まぁね」
「お主、後悔しておらんのか?」
「へ? 何が?」
「何が、って、素性も知れぬストーカーに、自分でホイホイ個人情報を渡して、挙句のはてにまた、会うじゃと? 気でも違えたのか?」
「そ、そんな……し、仕方ないだろ。亜由美が……」
「あまりにも可愛かったから?」
そういわれてしまうと僕は何も言えなかった。
本当に、本当に可愛かった。
きっと、あんな子が彼女にできたら、毎日幸せななんだろうな……って何考えているんだ。僕は。
僕にはれっきとした翼という彼女がいるんだ。なのに、どうして、こんな……
「お主、最低じゃな」
と、僕の考えを読み取ったのか神様が侮蔑の言葉を投げつける。
「……人の考えを勝手に読み取るほうが最低だと思うけど」
「仕方ないじゃろ。わかってしまうんじゃから。しかし、可愛い女子と遊びに行くのがよりによってその日になるとはの」
「え? その日って?」
「遊びに行くと約束したのは一週間後じゃろ。その日が何の日か忘れたわけではあるまい?」
瞬間、僕の身体から血の気が引いた。
一週間後。ちょうど僕が三回目の生き返りを果たしてからちょうど一ヶ月後……
つまり、僕が殺されるはずの日……その当日だったのである。




