天国から地獄 4
で、夜。
今夜、というのがどの時間帯をさすのかわからなかったが、とりあえず、夢が帰宅してから僕は公園に向かうことにした。
夢は夕飯を作っている最中、終始僕のことを心配そうに見ていた。
僕は笑顔で返していたが、どこまで作り笑いだと悟られなかったことか……
「……よし」
家の玄関で僕は気合を入れる。
「なんじゃ? 今からお主を好いてくれる女子と会うのに、まるで戦に向かう侍のようじゃの?」
「ああ。そうだよ。これは戦いだ。武器の一つくらい持っていかなきゃ」
そういっていつも玄関に置いてある金属バットを持つ。
「……はぁ、こんなんで大丈夫かな」
「まぁ、何もないよりかはマシだとは思うがのぉ」
「……これで小さい頃翼と野球とかやったんだよね」
「ほぉ。これまた、奇妙なめぐり合わせじゃな」
「奇妙、何が?」
「ククク……まぁ、とにかく公園に行くことじゃな」
神様との問答はそらくらいにしておいて、僕は外に出た。
そのまま僕は公園に向かった。深夜の公園は不気味に静まり返っている。
「……あ」
すぐにそれは分かった。
公園の電灯の下にたたずむ人影。
背中まで伸びる長い髪。
一瞬、澪の後姿かと思ってしまった。
「いや、でも違うよな……とりあえず行ってみるか?」
僕はとりあえず手にしたバットを握り締めそのまま近付いていった。
「おい」
と、神様の声。
「な、何?」
「お主、ありゃ、どうみても女子じゃぞ? なのに、そんな物騒なもの持って合おうというのは、どうなのじゃ?」
「え……わ、わかったよ」
仕方なく僕は、バットを地面に置く。
しかし、果たしてこのまま行って大丈夫なのだろうか? どう考えても危険である。
……といって、いつまでも考えていても仕方ない。僕はそのまま歩き出した。
一歩ずつ近付いていく。見れば確かにその子は女の子で、可愛らしい白いワンピースを来ていた。
と、その子がこちらを向いてニッコリと笑う。
「お待ちしておりました」
その笑顔は、素敵だった。優しそうな顔。そして、優しそうで穏やかな目つき。
思わず僕は見蕩れてしまった。
「ど、どうかされましたか?」
「え? あ、ああ。い、いや、なんでも……」
「笠木隆哉……さんですよね?」
名前を呼ばれた。どうやら、手紙の差出人はこの女の子のようだ。
「あ、ああ。そうだけど……そういう君は?」
すると女の子は躊躇うように俯いてから、少し経って顔を上げ、僕に再びニッコリと微笑みかけた。
「私の名前は……笠木亜由美と申します」




