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死の足音が聞こえる 5

 教室に入ると、既に杏は自分の席についていた。


 しかし、僕の方を見ようとはしない。


 僕も自分の席につく。しかし、隣の夢の席は空席だった。


 夢……大丈夫だろうか……


「人の心配している場合か。お主」


 と、神様の声が聞こえる。


「……しょうがないだろ」


「まぁ……森崎夢はともかくとして、今は杏のことじゃろう?」


「う、うぅ……」


「お主もこれでわかったじゃろう? ワシが言った意味、ハズレのカードを引いた、という意味が」


「……それでも、僕は杏を信じたい」


「ほぉ。純愛じゃのう。じゃが、それもどこまで持つか」


「うるさいな。消えてくれよ」


「はいはい。言われなくても消えるわ。この色ボケ男め」


 ハズレのカード? そんなことあるか。


 杏は僕にとって大事な幼馴染だ。


 それがハズレのカードとかそういう言い方はないんじゃないか?


 そりゃあ、さっきは少し怖かったけど、きっと、なんか……


 そう。たぶん、気合が入りすぎちゃったのだ。


 だから、あんなふうになっちゃっただけ。たぶん。


 僕は気を取り直すことにした。


 ちょうどチャイムが鳴って先生が入ってきた。


 昼休み辺り、杏に謝ろう。それがいい。


 僕は一人納得して授業に望んだ。無論、あまり集中はできなかったけど、その後は昼休みだ。


 僕は立ち上がった。早く杏に謝りに行かなければ。


「おい、隆哉」


 と、その時、ちょうど声をかけてきた人物。


 翼と澪だった。


「あ、ああ。翼」


「大丈夫か? その……杏のこと」


 心配そうな顔で僕を見る翼。澪も隣で不安そうな顔で僕を見ている。


「あ、ああ……まぁ」


「杏ちゃん……どうしたんでしょうか?」


「さ、さぁ? ちょ、ちょっと調子悪かったんじゃないかな? たぶん」


「なぁ、隆哉。お前……その杏と付き合ってんのか?」


「え……」


 つい戸惑ってしまう。


 もちろん、嘘をつくつもりはない。


 だけど、この二人の手前、そういうことを言うとなると、少し恥ずかしいのだ。


「え、あ、ああ――」


「付き合っているわよ」


 と、僕の後ろから声が聞こえた。


 驚いて振り替えるとそこにいたのは、もちろん、杏だった。

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