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オニヨンは素早い動きでオーガのリーダーの懐に入ると彼の左肩に賢者の剣を振り下ろした。オーガのリーダーはそれを大斧で受け止めたはずが、鉄の柄であるにもかかわらず二つに斬られてしまった。
「大斧が……。」
オーガのリーダーは斬られた大斧の柄を見たが、すぐにそれを捨てて、魔法でオニヨンを攻撃しはじめた。ファイアーボール、アイスバレット、ウインドカッター連続攻撃でもオニヨンは素早い動きでそれを、左右前後に躱していく。そして、オーガのリーダーが一呼吸入れて次の魔法を発射する前に、もう一度オーガのリーダーの懐に入ると、賢者の剣で右脇腹から左肩に向かって剣を振った。オーガのリーダーは体が真っ二つになった。
(これで終わりだ)
オニヨンが思ったときに、オーガのリーダーは自分自身にファイアーボール放った。すると二つに切られたからだが同時に燃え始めた。オニヨンは、燃えているオーガのリーダーからヒメジのいるところまで離れた。
「やはり、自分の体を燃やしたな」
オニヨンはヒメジに言った。
「そうですね。ダイアウルフの言うとおりでしたね」
「まあ、いい。これで試練の一つ目はクリアしたのだ。オーガのリーダーが燃え尽きたらオーガのペンダントを拾って帰るぞ」
「その前に、ザインさんを助けないと」
「そうだな。ヒメジ頼むぞ」
「分かりました。さあ、ザインさんこれを飲んでください」
ヒメジは、倒れているザインの上半身を起こすと回復液を飲ませた。するとザインはすぐに元気になり、その場に立ち上がった。
「ヒメジさん、ありがとうございます」
「いいえ、どういたしまして」
「それに、オニヨンさん、お強いですね」
「まあな。しかし、私の実力はこんなものではない。もっとすごいところをザインにも見せてやる」
「十分見せていただきました」
やがて、三人はオーガのペンダントを拾って自分たちのねぐらに戻った。
翌朝、約束の時間にダイアウルフが山から下りてきた。ザインはダイアウルフにペンダントを見せた。
「これは確かにオーガのペンダントだ。よくやった」
「それでは、一つ目の試練はクリアですね」
「ああ、そうだ、人間よ」
「それでは二つ目の試練は何ですか?」
「二つ目はハーピーの討伐だ」
「また、討伐なのですね」
「ああ、そうだ」
「そのハーピーはどこにいるのですか?」
「分からない。しかし、この付近に毎日出没しておる。一匹だけだが、神秘の森に入ってきては、この森の木の実を盗んでいきよる。まだ、祝福の実は盗んでいないが、それまで盗まれると、グリフォン様がお怒りになる。そればかりは避けなくてはいけない」
「わかりました。それで討伐した証拠は何を持ってくればいいのですか?」
「ハーピーの足だ」
「ハーピーの足ですか」
「そうだ。左右ある二本の足を両方とも持ってくるのだ」
「それは分かりましたが、二つ質問してもよろしいでしょうか?」
「いいぞ」
「一つ目は、ハーピーの目撃情報が多い場所を教えて貰えますか」
「この山を少し上がったところに何本かのリンゴの木がある。そこによく出現する」
「私たちはそこまで登ってもよろしいですか?」
「いいが、二つ条件がある。一つはそれ以上奥に入らないこと。二つ目にリンゴの実を食べないこと。いいな」
「承知しました。次に二つ目ですが、どの時間にハーピーは出現しますか?」
「奴らは日が昇っている間だけ出現する。多いときに一日に十回ほどは現れる。したがって日中にリンゴの木の近くにいると、ハーピーと遭遇する確率が高くなる」
「なるほど、分かりました。それで、この試練はいつまでですか?」
「明日の朝までだ。もういいかな。それではまた明日の朝、会おう」
ダイアウルフはそう言い残して立ち去った。
しばらく三人は無言になった。ハーピーは羽のあるモンスターである。三人は自分たちが飛べない以上、ハーピーを地上に着地させて戦う方法を考えていた。
「あの~」
「なんだい、ヒメジ」
ハーピーを地面に降りるようにするには罠を仕掛けるのはどうですか。たとえば、リンゴのみを一カ所に集めて置いておくような」
「だめだ」
「どうしてですか、オニヨンさん」
「ハーピーは器用なモンスターだ。ヒメジがカラスにパンをとられたように、飛びながら上手く足を使ってリンゴをとっていくだろう」
オニヨンに自分の案を却下されてヒメジは憮然とした顔をした。
「それなら、リンゴの上に網を仕掛けて置いて、飛びながらリンゴをとろうとしたときに、その網を落としてつかまえるのはどうですか?」
「ザイン、それはいい考えだが、網を落とすタイミングが難しいぞ」
「ザインが前に言っていた、ウインドウオールで飛んでいるバランスを崩すのはどうだ」
「オニヨンさん、それは広い場所なら有効ですが森の中だと広範囲に気流が乱れて私たちも暴風に巻き込まれてしまいます。あまり有効な方法とは言えません」
「それなら、どうする」
「あ、はい、はい」
「どうしたヒメジよ。今日は張り切っているじゃないか」
「えへへ。いいことを考えました。ザインさんの案に工夫した物です。麻紐を細くしてそこに粘り気のあるものをつけてリンゴの上に張っておきます。ハーピーがリンゴに向かって飛んできたらそれが体に絡みます。さらに、その時に上から粘り気のある網を落とすと、ハーピーを完全に絡み捕らえることができます。いわば蜘蛛の巣作戦です。いかがですか?」
「なるほど、ヒメジさん、それはいい考えですね。しかし麻紐はなんとかなるとしても、その粘り気のものはどうするのですか?」
「それは大丈夫です。私は小麦粉を持っています。それを水と混ぜて火にかけると粘りけが出てきますのでそれを麻紐にかけるのです」
「ヒメジ、でかした。よく考えたな。さすが年の功だ。それでいこう」
「ありがとうございます。それでは早速登って準備しましょう」
「よし、それでは行こうか」
三人は山を登りはじめた。
三人はリンゴの木の少し下ったところにある広い場所に着いた。
「罠はこの辺でいいだろう。役割分担するぞ。私とザインはリンゴをとってくる。ヒメジは網と粘り気のあるものを用意してくれ。それじゃあザイン行こうか」
オニヨンと、ザインは登りはじめた。ヒメジはアイテムボックスに繫がっているカバンから麻紐を取り出すとそれに両手をかざして、
(蜘蛛の巣の網 二つ)
祈りながら、
「オール クリエーション」
唱えると、麻紐が一瞬光り、蜘蛛の巣の形の網が二つできた。次に、カバンから鍋と小麦粉と水袋を取り出した。なべの中に小麦粉を入れて、水を適量加えた後、
(糊を作れ)
祈りながら、
「オール クリエーション」
唱えると、鍋か一瞬光り、半透明な糊が出来た。ヒメジはそれをブラックボックスの中に入れた。そして、
「糊よ、麻紐の上に出ろ」
唱えると、ブラックボックスから糊が蜘蛛の巣の網状にある麻紐の上に乗っていった。
「これでよし。上手くできたぞ。それじゃ、これを木にくくりつけていこう」
ヒメジは麻紐をカバンから取り出すと、二つの罠を設置した。
「ヒメジ出来たか?」
ヒメジが設置を終わって、休憩していると、二人が帰ってきた。
「ほら、この通り出来ましたよ」
「すごいじゃないか。それじゃこのリンゴもセットしよう」
オニヨンとザインは両手にいっぱいに持ったリンゴを網の下に置いた。




