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いつも愛読いただきありがとうございます。今回はゴブリンが主人公を襲撃します。さあ、主人公はゴブリンを撃退できるでしょうか? 楽しみにしてください。

 七日目の朝はどんよりとした曇り空であった。ヒメジは定期便の出発時刻に余裕を持って宿屋を出た。東門に着いた時にはまだ雨が降っていなかった。しかし、出発直前に騎手に銅貨三枚を渡して馬六匹で動く幌馬車の定期便に乗った時から、雨が降り始めた。

「こりゃ、大ぶりだな」

騎手がつぶやいた。幌馬車なので客は雨に濡れることは少ない。定期便は定刻通り出発した。客は十人で、大きな幌馬車に乗車しているため少し席に余裕があった。数人は顔見知りのようでひそひそと会話をしていたが、他の物は静かに黙って座っていた。

馬のひづめが、

「パカ、パカ、パカ、パカ」

響いている以外に聞こえる音は幌に当たる雨音だけであった。やがて、雨粒が大きくなり、幌に当たる雨音が、

「ポト、ポト、ポト、ポト」

から、

「ザアー、ザアー、ザアー」

と変わっていった。その頃になると、顔見知りどうしで会話していた人も無口になり、雨音の大きさに不安を感じていた。幌馬車の中があまりの無口で異様な雰囲気にヒメジも不安に感じ、つい隣の若い男に声をかけてしまった。

「すごい雨ですね」

「ああ、最近これだけ大雨になった記憶がないほど降っている。ところで、この大雨をおじさんはびびっているのか?」

「いや、怖くはないですが、すごい雨音なので、幌馬車が大丈夫かなと思って」

「おじさん幌馬車に乗るのが初めてだろう。以外にこの幌馬車は丈夫さ。嵐が来てもつぶれないよ」

「そうなのですか?」

「ああ、心配は不要さ。まもなく雨が上がるだろう。さっきより明るくなってきている」

「そうですね、西の方が少し明るくなってきていますね」

「あと一時間もすれば晴れるさ」

「そうだといいですね」

「俺の言うことは間違いない」

「えらい自信を持っていますね」

「そりゃ、この辺りの天気は西から変化するからな」

「よくご存じですね」

「まあ、子どもの頃からいろいろなことを父親に教え込まれたからな」

「お父さんにですか。随分教育熱心だったのですね」

「ああそうさ。子どもの教育は生きがいを感じているようで、今でもいろいろ口を挟んでくる」

「お父さんとは一緒に住んでいるのですか」

「ああ、住んでいるが、今は少し父親が鬱陶しいので、旅に出た。もうひとつきは家に帰っていない」

「そうですか。それは随分長い旅ですね。ところで、お兄さんは冒険者ですか?」

「どうしてだい?」

「軽装ですが武具を持っていますし、ギルド証も首からぶら下げているので・・・」

「ああ、そうだよ。冒険者さ。よくわかったね。といっても、この身なりなら誰でもわかるだろうな」

「それなら、お父さんも冒険者ですか?」

「いや、冒険者と言うよりは頑固者だな」

「頑固者? そんな職業はないですよ」

「ああ、すまない。父親は文を読んだり人と話をしたりしているので働いていると言えば働いているし、人々の衣食住の生産に寄与していないので働いていないと言えば働いていないな」

「よく分からないお仕事をされているのですね」

「まあな。そういうおじさんはなにをしているのだい?」

「私は、薬の作成を勉強しているところです」

「その年でかい? 薬の作成なんて難しいだろう」

「そんなことはないですよ」

「でも、回復薬ならロウポーション程度を作っているのでしょう」

「もうちょっといい物を作ることが出来ます」

「それはすごい。随分勉強しているのだな」

(本当はオール クリエーションで作っているので勉強なんてしていないけれど、正直に言っても分からないだろうからごまかしておこう)

「まあ、そういうことで」

「なるほどねえ。おじさんえらいな」

「それほどでも」

「勉強は何歳からでもやって損はないから、まあ頑張りな」

「ええ、もし将来、薬で困ったことがありましたら声をかけてください。お安くお譲りいたします」

「そりゃ頼もしいですね」

二人の会話が弾んでいるとき、急に馬車が止まった。そして騎手が、

「モンスターだ」

大声を上げた。まだ雨は降っていたが、隣の冒険者の若い男はすぐに外へ飛び出していった。ヒメジは一瞬出ることをためらった。ヒメジは武器を持ったモンスターと戦うのははじめてで、剣術を習ったことがなく、年齢が高い上に戦闘力が低くて勝ち目がない。雨に濡れているわけではないのに体中がガタガタとふるえだした。しかし、先ほどまで仲良く話をしていた冒険者の若い男を一人だけ行かせることも年長さとしての矜持が許さなかった。

「ええい、どうにでもなれ」

ヒメジも外に出ると、冒険者の若い男の後を追った。ヒメジが幌馬車の前方に行くと四匹のゴブリンが武器を携えて立っていた。


 冒険者の若い男はすでにショートソードを右手に持ってゴブリンに向かって突進していた。

「ええい」

一番手前のゴブリンをショートソードで切りつけた。左肩から右脇にショートソードで斬られると、ゴブリンは仰向けに倒れたが、傷口が浅かったのか、なんとか立ち上がり斧を構えた。別のゴブリンが冒険者の若い男に斧を振りかざした。冒険者の若い男の頭に振り落とされた斧が空を切った。冒険者の若い男が後ろにステップして跳んだのだ。攻撃してきたゴブリンが空振りして体制が前のめりになったところで左から首にショートソードをたたき込んだ。ゴブリンは深い傷を負ったが、こちらもまだ生きていた。ヒメジはダガーを出して幌馬車の前に立ったが、足はがたがた震えていた。そして石になったように足が固まって前進することが出来なかった。冒険者の若い男は傷を受けていないゴブリンに攻撃を仕掛けようとショートソードを上段に構えた。それを見たゴブリン達は冒険者の若い男に勝ち目がないと思ったのか、

「&%$#*@」

ゴブリン語? で捨て台詞を言って四匹とも逃げていった。ヒメジはそれを見て安心した。すると足の震えが止まり自由に歩けるようになった。そこでヒメジは冒険者の若い男近づいて声をかけた。

「お疲れ様でした。強いですね」

「一応B級冒険者なのでゴブリン程度はなんとかなります」

冒険者の若い男はショートソードを鞘に戻した。

「なるほど、強いはずですね」

「おや、おじさんもダガーを持って戦おうとしていたのですか?」

「いえ、いえ、ただの護身用です」

ヒメジは何もしていないのにダガーを持っていたことが恥ずかしくて、ダガーを鞘に戻すとすぐにカバンに入れた

「しかし、皆さん幌馬車の中に隠れているのに、おじさんは私と一緒に戦おうとしたのは勇気のある証拠です」

(いえ、あなたが飛び出していったのでつられて出ただけで勇気なんかじゃないです)

思いながら、

「とんでもないです。『窮鼠猫をかむ』という感じで飛び出しました」

口では頑張った感を出して言った。

「それでも素晴らしい」

「あなたほどでもないです」

二人で褒め合っていると、騎手が、

「二人ともありがとうよ。ところでずぶ濡れじゃないか。急いで幌馬車に乗って休んでくれ」

叫んだので、二人とも話をやめて幌馬車に乗った。


いかがでしたでしょうか。主人公は相変わらずへたれです。このへたれな主人公を元の世界に戻すためにはどのような物語にすれば良いか現在頭を悩ませています。

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