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皆様いつも愛読ありがとうございます。いいわけ作者のいいわけですが、今回は物語を進める上で必要とはいえだらだらと主人公の半日の行動を書いてしまいました。それでも手を抜いて書いているわけではないですので、のんびり読んでください。
ヒメジは冒険者ギルドを出た後、再び薬草採取で町の外へ出た。今回は南の門を出た草原で薬草を探した。
「鑑定 イチレン草、二レン草、サンレン草、ヨレン草、ゴレン草」
唱えると薬草が生えているところに表示が出た。
「ここでは二レン草とゴレン草がたくさん生えているな」
ヒメジは採取を始めた。採取をするためには腰を曲げて薬草の根元を右手でつかみ、腰に力を入れて薬草を根っこから引き抜かなくてはいけない。一度や二度の作業ならたいしたことはないが、採取しては移動し、採取しては移動することを二十数回したところで、ヒメジは腰を右手の拳で叩き始めた。
「この年でこの作業はちょっと腰にこたえるな。腰痛に効果があるのか分からないが回復薬でも飲んでおこう」
ヒメジは、上等のハイポーションが入った二十ミリリットルの薬瓶をアイテムボックスから取りだし、蓋を開けて飲み干した。すると、みるみる腰痛がとれて、気持ちよいぐらい腰が曲がるようになった。
「ラジオ体操をいくらしても腰が痛まないほど調子が良くなったぞ。よし、もう一踏ん張りして薬草を採取しよう」
そうつぶやいた後、ふと、
(プロテクトリングつけているのに回復薬の効力がある。ということは、プロテクトリングをつけていても毒薬を飲んだら防御しないのかな)
不安に思った。その時である、プロテクトリングからヒメジの頭に、
「大丈夫ですよ。食べ物や回復薬など体に良い物は防御しませんよ」
語りかけた。ヒメジはその声を聞いて安心したが、作者としてはその設定をしておかなければ話が続かないので、読者に皆さんからなんとご都合主義な作品なのだとおしかりを受けても仕方がない。とりあえずごめんなさい。話を元に戻して、ヒメジは、それから順調に薬草を採取し、どの薬草も二十本以上は採取することが出来た。
(回復薬は便利が良い薬だ。とりわけ薬草採取のお供にはなくてはならない物だ)
これ以降、薬草採取の時にはエナジードリンクのように作業の途中で回復薬を一本飲むようになったヒメジであった。
夕方になり薬草採取を終えたヒメジは宿屋に入った。亭主に前金の大鉄貨三枚を渡すと部屋の鍵を受け取った。ヒメジはお腹がぺこぺこだったので部屋に入らずに食堂へ向かった。ヒメジは夕食に魚料理を食べたが、大きな白身の魚にあっさりとしたソースがかかってとてもおいしかった。
「ここの料理は何を食べてもおいしいな」
つぶやくと、宿屋亭主がその言葉を聞いて、ヒメジのそばにやってきた。
「そう言ってくれると嬉しいね。どんどん食べてくれよ」
「いいのですか?」
「俺のおごりだ。ドンドン食べてくれ」
「それではオニオンスープをおかわりください」
「それだけでいいのかい」
「お腹いっぱいでこれ以上食べられません」
「遠慮の塊だな。まあいい。オニオンスープおかわりだね」
店員の女性がスープを持ってきた。ヒメジはそれを一口飲むと、お腹いっぱいなのにドンドン飲むことができた。
「おいしい。香辛料がきいて、お腹いっぱいなのにまだ飲める」
「嬉しいこと言ってくれるね。うちのオニオンスープはひと工夫しているから、他の店では味わえないぜ」
「本当にそうですね。お酒も飲みたくなる味です」
「そうだろう。よかったらお酒を呑むかい?」
「いいえ、呑みたいですが明日の朝が早いので遠慮しておきます」
「そうか、そりゃ残念だ」
「また今度、呑みますね」
「おお、そうしてくれ」
宿屋の亭主が奥に入り込もうとした時に、ヒメジは亭主を呼び止めた。
「あの亭主さん、一つ尋ねしてもいいですか?」
亭主はヒメジの方を向いて、
「ああいいぜ、なんだい?」
答えた。ヒメジは亭主に了承を受けたので、気になっていたことを質問した。
「あす西の町に行くのですが、道中で盗賊や野獣に襲われることはありますか?」
「この辺りはフォース国でも結構開けている場所だから野獣は出ない。でも、盗賊は出るかも知れないな。西の町に向かう道ではないが、道中で盗賊が旅人を襲ったという話をいくつか耳に入ってきている。ただ、金目の物を奪うだけで傷つけたり命を奪ったりはしないという話だぜ」
「怖いですね。もし、盗賊に見つからないように、一部の人しか知らない脇道とかご存じでしたら教えてもらいますか?」
「そんな道なんてないよ。だが冒険者ギルドに依頼を出して用心棒を雇えば安全だぜ」
「用心棒ですか。いくらかかりますか?」
「そうだな、B級の五,六人のパーティーで西の町までだったら銀貨一枚かな。結構値段がかかるが、身の安全を考えれば安いものだぜ」
「銀貨一枚ですか・・・」
「そうだな、銀貨一枚と言っても大金だからな。お前さん、失礼だがどう見ても銀貨なんか持っていそうにもなさそうだな。いや、怒るなよ。この王都に住んでいる人々でも、金持ちでもない限り、せいぜい大銅貨ぐらいしか持っていないぜ」
(残念ながら、金貨、銀貨は持っていますよ~。でも、持っていることが知られたらますます狙われるだろうな・・・。よし、持っていないことにしておこう)
「そうです。そんな大金を持っていません。亭主さん、用心棒を雇う以外の方法はありませんか?」
「後は自分の身は自分で守るしかないな。武器を持って戦うか、一か八か試しに逃げてみるかどちらかだろうな」
(やっぱり・・・。両方とも自信がない。どうしよう)
「まあ、そんなに落ち込むなよ。西の町に道中で襲われると決まったわけではないぞ。どちらかと言えば王都から東側の方で盗賊に襲われたという話が多いからな」
「そうですね。襲われると決まったわけではないですものね」
ヒメジは少し安心した。
「もし、盗賊にであったら普段の自分の行いが悪いと思ったらいいぞ」
そう言いながら、亭主は仕事のために奥に引っ込んだ。それを聞いたヒメジは、
(なら、私は品行方正、誠実実直なので襲われることは絶対にない)
根拠のない自信を持った。そして、残りのオニオンスープを飲み干すと代金を女性の店員に払った後、席を立って食堂を出た。
部屋に戻ると、すぐに、市場のかばん屋で買った一つ大鉄貨二枚する大きめの巾着袋を二つカバンから取りだした。そして一つの巾着袋には金貨四枚、大銀貨五枚を入れてアイテムボックスに放り込んだ。もう一つの巾着袋には残りの貨幣を入れると懐にしまった。
(これで大丈夫だ。いちいちアイテムボックスから直接貨幣を取り出すのが面倒だったから、これで便利になるぞ。金貨、銀貨は大きな取引をしない限り滅多に使わないからアイテムボックスの中に保管しておいて、普段使う貨幣はもう一つの巾着袋に入れて懐に入れておけば出し入れしやすくなる。懐に入れた巾着袋はもし盗賊に襲われた時に奪われてもよい捨て金としておけばいいしね)
寝るにはまだ早い時間なので、次に、前日に作った回復薬を十八リットルの薬瓶に入れた。ヒメジは非力なので寸胴を持ちあげて薬を薬瓶に入れられない。そこで、ガラスでできた二十ミリリットルの薬瓶をアイテムボックスから取りだした。それに両手をかざして、
(穴の空いたU字管を作れ)
祈りながら、
「オール クリエーション」
唱えると二十ミリリットルの薬瓶が一瞬光り、それが消えると穴の空いたU字管が出来上がった。ヒメジはそれに薬を満タンにためて寸胴と十八リットルの薬瓶に端を入れると、寸胴の液体が途切れることなく十八リットルの薬瓶に移動し始めた。ちょっとしたサイフォンという理科の学習を応用したのである。
「よし、一本入れたぞ。次の薬瓶に薬を移そう」
先ほどと同様の作業を何度も行い、十一本の十八リットルの薬瓶、一リットルの薬瓶十六本と二十ミリリットル四十本を満タンにした。
「はあ、終わった。量が多いから大変だった。さあ、もう一踏ん張りしようか」
ヒメジは、宿屋の井戸へ行き、一つの寸胴に水をためた。そしてニレン草を四本その中に入れ、両手を寸胴にかざして、
(毒薬)
祈りながら、
「オール クリエーション」
唱えた。すると寸胴の中の水の色は光り輝くとみるみる透明から濃い紫色に変わっていった。出来上がった毒薬を先ほどと同じように十八リットルの薬瓶四本に入れた。また、購入した武器にはすべてその毒をしみこませた。
「これで終了。ふう~、疲れたな、もう寝るか」
ヒメジはすべてアイテムボックスへ入れると、自分の部屋に戻った。部屋でカバンの中にパン、干し肉、バナナのような果物と水袋があることを確認すると、すぐにベッドに倒れ込んだ。そしていつの間にか寝てしまっていた。
皆様、読んでいただきありがとうございます。今回で、主人公の旅の準備は出来ましたので、近いうちに王都から西の町へ出発します。この後の展開ですが、たくさん前振りをしているので、ベタな話を予想された方が多いのではないでしょうか。おそらく予想通りだと思いますが、どのような物語になるのか楽しみにしてください。




