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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その森の秘密を彼らは知らない
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その微笑みの意図を彼女は知らない

 気の抜けたような顔で僕は皆のもとへ戻った。

 すると、先程のにっちゃう・つう゛ぁいが鳴らした轟音について思考しているミクロンたちがいた。

 ミクロンは顎に手を当て先程の音に付いて考察している。


 そんなミクロンに無い無いと否定しているのはネッテ。

 どうやら的外れすぎて現実的に考えられないようで、ネッテはミクロンの考えた音を出したものの正体を否定しまくっていた。


 ちなみに、内容はと言えば、未知の生物が出したオナラの音だとか。未知の生物が鳴らした警戒音だとか、攻撃音だとかまぁ、そんな感じだ。

 唯一近かったのは攻撃音ではないか。と言った時だろう。

 何しろ、既知の生物が出した攻撃音なのだから。

 にっちゃう・つ う゛ぁいの可能性は全く出てこなかった。


 リエラはミクロン達が動かないので倒れた大木に腰掛け、暇そうにアルセの踊りを見守っていた。

 アルセがなぜ踊っているのかは分からないが、手には木の枝を持っているところを見るに、リエラが渡したとかそんなのだろう。

 アルセは何か手に持たせると踊りだす事が多いからな。

 まぁ、可愛いからいいんだけど。


 ちなみに、バズ・オークは周囲を警戒していらっしゃった。

 僕が茂みを掻き分けたときは目敏くこちらを向いていたが、誰もいないとわかると視線を外して再び警戒業務を始めてしまった。

 御蔭でまたリエラが僕が歩いていた場所凝視して顔を険しくしてるし。


 しかし、凄かったなぁにっちゃう・つう゛ぁい。

 まさかの一撃だし。

 あんな凶悪そうな鳥が全く反撃というか回避すら出来ずに散ったしな。あれはヤバい。


 アルセ砲に丁度いいとか考えていたがさすがにアレを護衛に使うのは無理そうだ。

 開始地点が抉れる程の突撃だから、アルセが持ってたらアルセを背後に吹き飛ばす事になるだろう。

 そればかりか、真横でアレを持つ両手は吹き飛ぶアルセ自身に付いていけずに千切れ飛ぶ可能性だってある。


 僕はアルセ専用アルセ砲の発想を脳内ゴミ箱に捨てることにした。

 もう、にっちゃうつう゛ぁいには関わるまい。

 とにかく、今は落ちつこう。凄い物見て気分が昂揚しているから変なミスをしでかしそうだ。

 アルセの踊りを見て気持ちを落ち着かせるとしよう。


 なんて感じにアルセの方を見た僕は、同じようにアルセに視線を向ける生物を見つけてしまった。

 化け鳥さんである。

 先程にっちゃう・つう゛ぁいに弾丸突撃喰らった化け鳥である。

 いや、別個体ではあるけれど、どう見ても危険生物にしか該当しない。


 僕が気付いたのと、バズ・オークが気付いたのは同時だった。

 僕は慌ててアルセに駆け寄る。

 バズ・オークは化け鳥に向うと、シミターを思い切り振るう。

 横薙ぎに振われたシミターは、しかし化け鳥に難なく避けられた。


 ひょいと後ろに飛び退く化け鳥。

 思わずバズ・オークが舌打ちいや、鼻息を鳴らす。

 一度引いた化け鳥、すぐに気分を切り替えバズ・オークに飛び蹴りをかまして来た。

 手甲で受け止めるが、威力を殺しきれず、バズ・オークが吹き飛ばされる。


 地面を二転程してすぐに立ち上がる。

 バズ・オークはガードした腕を振って剣を構え直す。

 大きく息を吸い、威圧するような大声で吠え猛る。


 負けじと化け鳥も応戦。「タスケテ――――ッ!!」と情けない声で吼えた。

 その声で、ネッテ達も異変に気付いた。

 どうやらあの化け鳥、隠密スキルでもあるようで、バズ・オークが気付かなかったらアルセヤバかったんじゃないかと思えるほど、ネッテたちは気付いていなかったようだ。


 突然の奇襲で慌てふためくネッテとリエラ。

 ミクロンは化け鳥を見て思わず歓喜している。

 彼はすぐさま化け鳥の絵を書き始める。

 こいつはバカだ。研究バカという部類の戦闘を期待するだけ無駄の人だ。


「凄い。ヘルピングペッカーなど初めて見ましたよ。冒険者から噂は聞いていましたがこれは凄い。本当にタスケテ――――ッと鳴くのですねっ!」


 地味に敵対している鳥の名前がわかった。

 今は全く必要ない知識ではあるけれど。


「ちょっとミクロン、遊んでる場合じゃないわ! 手伝いなさいよ!」


「すみませんが、私は何もできませんよ?」


「ならなんでここに来た!? アホでしょ!」


 ネッテが珍しく吠えている。

 それはまぁいいや。放っておいても彼女は援護してくれるだろうし。

 問題は、リエラである。

 彼女はあまりに強力なヘルピングペッカーを見てしまったせいで身体がビクついている。

 足が面白いくらいカクカクしているところを見るに、完全に恐怖に飲まれているのだろう。


 ようやくアルセを抱え上げた僕はまだ踊りたそうなアルセをリエラの横へと避難させる。

 近くにやって来たアルセを見て、リエラは「あっ……」と声を出す。

 アルセはそんなリエラを見るとニコリとほほ笑む。

 その瞬間、なぜかリエラの震えが止まった。


「そ、そうだよね。アルセの言う通り、ネッテさんやバズ・オークが居るんだもん。大丈夫、私だってやれるよね!」


 頑張れ。とでも言われたと誤解したリエラがアルセソードを引き抜き駆け出した。

 ……って、リエラッ!?

 君初心者! あんな化け物に敵う訳ないでしょッ!?

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