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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第六話 その結婚式にでた食事の素材を僕らは知る気はない
200/1818

その女の怒りを、妖精は知らなかった

「全弾……放射!」


 ちょぉぉっ!? エンリカさんがなんか新技使ってるんですけど!?

 慌てて彼女のステータスを確認。


 エンリカ・エル・ぱにゃぱ

  種族:エルフ クラス:弓使いアーチャー

  状態:妊娠中

  装備:ミスリルの弓、若草色のローブ、エルフの普段着、木の矢×200、矢筒

  スキル:集中

      乙女の咆哮:気合いを入れる事で相手の威嚇を跳ね退ける。攻撃力増大。

      渾身の右ストレート

      ドリアードヒーリング

      ウンディーネヒール

      ノームの一撃

      サラマンダーバースト

      チェイサーアロー:狙った獲物を追って行く矢を放つ。

      ストライクアロー:クリティカル率がアップ。攻撃力増大の技。

      最後の一矢:矢筒にある残り最後の一矢に必ず必中とクリティカル補正が掛かる。

      全弾放射:全ての矢を一回で放出する荒技。範囲攻撃。

  常時スキル:豚・偽人語理解

      魅了耐性・大

      命中率補正・大

      束縛する女の執念:束縛します。手に入れた獲物は逃しません。

      討ち滅ぼす女の妄執:邪魔者には全能力増大して相対します。連続くいしばり補正。致死のダメージを受けても気力でねじ伏せ生き残ります。

      くいしばり:致死のダメージを受けても一度だけ生き残る。

      母の一念:子供が近くにいる時、敵対者がいれば全ステータスに超上昇補正が掛かる。

      嫉妬する女の憎悪:夫に近づく女には100倍返しが基本です。

  種族スキル:精霊魔法Lv4

       精霊視

       森の民


 ……なにが、ありましたか?

 精霊魔法がレベル上がってサラマンダーバーストとかいうのを覚えている。

 ついでに全弾放射のスキル本当に入ってるし。


 問題は常時スキルの二つだ。母の一念? 子供思い過ぎるだろ。

 それよりヤバいのは嫉妬する女の憎悪。もはや完全なヤンデレじゃないですか。

 今回はこれがプリカに向かずに妖精たち女性陣に向ったようだ。


 矢が放たれる。

 地味にアップしていた命中率のせいで逃げ惑う妖精たち、その全ての服を矢が縫いとめ、放物線を描いて地面に突き刺さる。

 あれだけ居た妖精さんが殆ど地面に縫いとめられていた。


「ひ、ひえぇぇぇぇぇ」


 怯える妖精たちに殺意を込めた視線を湛え、エンリカ様が近づいて行く。

 生き残った妖精たちは身を寄せ合って怯えていた。


「今回は、この程度で許してあげる……次は、ないわよ」


 こくこくと頷く妖精を見もせず、エンリカはバズ・オークの腕を再び絡め取ってバンリの後を追って行った。

 僕はアルセと共に妖精たちから矢を回収してポシェットに入れていく。後でエンリカに再利用させとこう。


「怖い。エルフ怖い」


 どうやらエンリカの恐怖は妖精たちの共通となったらしい。

 可哀想に。いや、自業自得か。僕やアルセに被害が無かったから他人事だけど、悪戯を受けた人にとっては妖精憎しだろうしね。


 葛餅やネフティアも満足したのか妖精たちを解放していた。

 カインたちもようやく我に返ったようで、気の抜けた顔でネッテのもとへと向かって行く。


「しかし、ネッテはこっち来れたんだな」


「一度惑わせたけどアニアが後から教えてくれたから、森に返す前にこっちに運んだの」


「人間重かった。重労働だよ。報酬ないの?」


「報酬って……リエラなんかないか?」


「ルイーズさんの作ってくれた焼き菓子なら包んで貰いましたよ。これです」


 袋を開いた瞬間妖精たちが群がって来た。

 うわわ。と驚くリエラから焼き菓子を奪って行く。

 数が少なかったらしく奪い合いが始まった。


 エンリカへの恐怖は既になくなったらしく、妖精たちは姦しい程ににぎやかに乱闘していた。

 髪を引っ張ったり相手を蹴ったり殴ったり。とにかく焼き菓子を手に入れようと皆必死である。

 アニアが混じってる気がするのは気のせいだと思おう。


「ここが、妖精郷、か」


「クーフは来たこととかあるのか?」


「昔妖精は身近な存在だった。町中で悪戯をする妖精をよく見かけた。このようなモノが有ったことすら知らなかったな」


「ちょ、ちょっと皆さん、私を置いてかないでくださーいっ」


 リエラが何か叫んでいるが、その周囲にいるのは妖精をキャッチ&リリースで遊んでいるネフティアしかいなかった。

 妖精たちのキャットファイトのせいでリエラは身動き取れないらしい。

 もうしばらく、そのままでいてください。


 辰真があれ、放っといていいのか? とアルセに視線を送るが、アルセはその光景を見てきゃっきゃと楽しむだけだった。

 さて、僕らも行くか。プリカさん? そんな妖精の羽毟りたそうに見ないであげて。近くにいる妖精が怯えてますよ。

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