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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第六話 その結婚式にでた食事の素材を僕らは知る気はない
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その仲間の行方を、僕らは知らない

 オリー・クイーン。

 その姿はまさに圧巻と言えた。

 根元では絶えずブロック・オリーが生み出されており、これは大発生するわ。と納得できる状況だった。

 大きな口開けてオリー・クイーンを見上げる僕らのすぐ前で、ブロック・オリー達は今も大量増殖を行っていた。


「とりあえず、倒しとくか」


「あ、ダメですカインさん」


「へ?」


「オリー・クイーンを倒すとブロック・オリーたちが枯れてしまうんですよ。数百年前に一度倒したことがあって、森の食糧源だったブロック・オリーの死滅のせいで当時はエルフニアや周辺の森は飢餓状態に入ったとか。以来オリー・クイーンは見つけても討伐はしてはならないんです」


 なるほど、オリー・クイーンはブロック・オリーを大発生させるけど、これを討伐するとオリー達を食料としている魔物や動物が飢えていく、そしてそれらが死ぬとエルフも飢えると。

 オリー・クイーンに育った個体を見かけたら、むしろ保護するようにしているそうだ。


「幸いにも、オリー・クイーンは身体が大きくなり過ぎて動けないらしいんです。なのでその場に根を降ろしてブロック・オリー達を生み出すだけになります。後で村長に知らせとかないと」


「オリーは妖精でも齧れるから結構助かってるんだよね。妖精族もオリーの恩恵にあやかってるよ。ありがたや~」


 オリー・クイーンをとりあえず拝むアニア。彼女はネフティアの頭に乗ったままだ。

 もう、他のとこ行くとネフティアが掴んで来るのであそこが彼女の定位置になったらしい。


「さ、オリー・クイーンは放っといて妖精郷に行きましょう」


 と、歩きだしたエンリカのもとへ、ブロック・オリーたちが群がって来る。

 どうやらオリー・クイーンの近くを通る彼らを警戒しだしたようだ。


「通行の邪魔だな。クーフ、道開けてくれ」


「任せろ」


 あ、メタル・オリーだ。本当に金属製のオリーだよ。

 しかもその後ろにはなんか黄金色に光るオリーが。ゴールド・オリー!? 新種、新種発見だよ皆、見て、アレ見……


「ふんヌっ」


 クーフの気合いの一撃。

 無数のオリーが一撃粉砕されていく。

 メタル・オリー? ゴールド・オリー? もう、どこ行ったのか分からないよ。とりあえず、経験値になったとだけ伝えておく。


「あの、今、なんか金色に光ってるのいませんでした?」


 リエラが気付いて声を出すが、後の祭りでした。とりあえず魔物図鑑には登録出来たから良しとしよう。オリーだらけだし、この中からゴールド・オリー探すのは無理だろう。

 って、また居た!


「ぬぅんっ!」


 クーフの一撃がオリー達を消し飛ばす。

 ゴールド・オリー? 消し飛びました。

 クーフさぁぁぁぁん!?


 僕は人知れず膝を突いて涙する。なんか、なんか金銭的に高そうな生物だったのに。

 アルセがそれに気付いて頭をぽんぽん叩いてくるが、慰めてるの? 追撃してるの?

 そんなアルセがおー! と感嘆を洩らす。

 顔をあげて見れば、気色悪い色合いのオリーが目の前にいた。


 とりあえず、図鑑に登録。

 マーブル・オリーだそうだ。

 なんというか、さまざまな色を混ぜましたといったような凄い色のオリーさんだった。倒してもコレは食べたくない。完全な有毒生物にしか見えません。


「オルァ!」


 アルセの声に気付いた辰真が一撃で倒していた。

 まぁ、倒した以上はこの死骸、ポシェットいれとくか。

 ゴールド・オリーの代わりにはなりそうにない奇怪なオリーを入手して、僕らはオリー・クイーンの居る場所を後にした。




「はーい、とうちゃーく。ここが妖精郷入口でぇいす」


 何も無い場所に向けて飛んで行ったアニアが指で指示したのは、普通に木と木の間であった。

 当然ながらただの森しか見えない。

 まるで、嘘を言うな。とばかりにネフティアがむんずと掴む。


「違うの、本当なのよぉ。ここに妖精郷があるの。っていうかいちいち掴まないでぇっ」


「ここをくぐればいいのかしら?」


「ぶひ?」


 ネッテが言われた場所に足を踏み入れる。

 その瞬間、僕らの視界からネッテが消えた。

 思わず驚くバズ・オーク。


「だから言ったでしょ。ここから先が妖精郷……あ、妖精と一緒じゃないと惑わされるって言うの忘れた」


「ね、ネッテぇぇぇ!?」


 思わず駆け出すカインさん。ちょっと、今の話聞いてました?

 咄嗟に動いたクーフが彼の腕を掴んで引き留める。


「お前まで迷う気か、とりあえずアニアと行くゾ」


「あ、ああ、すまん」


 アニアを掴んだネフティアを先頭にして僕らは妖精郷へと入って行く。

 アルセ、逸れたら大変だから手を繋いどこうね。

 一歩踏み出す。先程まで森だったのに、急に濃霧に覆われてしまった。

 真下すら全く見えない深い霧だ。


 そんな深い霧の中、無数の忍び笑いが聞こえた気がした。

 ゴールド・オリー

  種族:自立野菜 クラス:オリー

 ・二足歩行のブロッコリー。

  ブロック・オリーの変異種。体力が極端に少なくなった代わりに金のボディを手に入れた。

  動きが素早く直ぐ逃げる……という事はなく、ブロック・オリーに混じってわさわさ揺れている。

 ドロップアイテム・ゴールデンブロッコリー


 マーブル・オリー

  種族:自立野菜 クラス:オリー

 ・二足歩行のブロッコリー。

  ブラック・オリーの上位種。ブラック・オリーよりは柔らかいが身体強化の魔法を使う。

  無数の属性耐性を持っているため魔法が効きづらい。

 ドロップアイテム・カラフルブロッコリー

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