表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第五話 その二人の婚約を彼らは知りたくなかった
188/1818

その少女が弓使いになれない理由を、彼らは知らない

「ついに、来たんだな」


「ええ。ここが……エルフニア」


 カインとネッテがエルフニア入口で神妙な顔で呟く。

 何その魔王城を見上げるような最終戦争にこれから向いますって顔は?

 いや、確かにある意味魔王に会うようなものかもしれないけどさ。


「あなた。覚悟はいいわね?」


「ぶひっ」


 行き交うエルフたちがエンリカに気付いて声を掛けて来る。

 いちいち立ち話をするので、娘が邪魔になるだろうとバズ・オークが娘さんを引き連れ抱き上げる。

 小さな集落だからだろう。エンリカは多くのエルフ達に帰って来たのか。と好意的に受け入れられていた。


「あ、エンリカお帰り~」


 少し背の低い。可愛らしい顔立ちのエルフ娘が近づいて来た。

 頭頂部にアホ毛が生えている。

 歩き方もずいぶんとぽやぽやとした感じだ。可愛い。これはなんていうか、妹キャラだ。

 こう、なんていうか行動を見守りたくなるような、応援したくなるような妹キャラの登場です。カシャ。


「プリカ。元気してた?」


 ……どうしよう。プリカさんの名前聞いたら真っ先にプリペイドカードが浮かんだのですが。


「あ、エンリカの知り合い?」


「ええ。冒険者仲間よ。皆紹介するわ。幼馴染のプリカ・ドゥ・にゃるぱよ」


 にゃるぱって。やっぱり名前にそういうのが入るのか。エンリカの家だけが特殊じゃなかったんだね。

 プリカはアホ毛を揺らしながらこんにちは。と笑顔を向ける。

 アルセが向日葵のような笑顔なら、プリカのそれはタンポポのような柔らかな笑みだ。

 こう、向い合われるとほわっとしてしまう。


「それで、かなり早い帰還だったけど、もう社会見学はいいの?」


「ううん。私が戻って来たのはその途中報告っていうのかな。お父さんとお母さんに伝えたいことができたから」


「ふーん。あ、もしかして、彼氏できたの?」


「え? な、なな、なんでわかったの!?」


「んっふっふ。私はエンリカのことならなんだってお見通しなのだよ。えっへん」


 ナイ胸張って得意げに鼻息鳴らすプリカ。

 能天気さが前面に押し出ているせいかなんとも言えない独特の雰囲気がある。

 エンリカは彼女の思考を長年付き合ってるので理解しているのだろうが、フレンドリーに行動するプリカに、カインたちは戸惑っている様子だった。


「でもあのエンリカがねぇ。いいなぁ。私も早く弓扱えるようになって外の世界に出たいなぁ」


 プリカはまだ弓を満足に扱えてないようだ。

 何か理由でもあるのだろうか?

 折角なので魔物図鑑に登録してみよう。


 プリカ・ドゥ・にゃるぱ

  種族:エルフ クラス:村人

  状態:幸福

  装備:練習用の弓、にっちゃうパンツ、エルフの普段着、先の潰れた矢×1、矢筒

  スキル:心眼

      ドリアードヒーリング

      ウンディーネヒール

      シルフズトーネード

      ワイドアロー

      サイドワインダー

      ミドルマーダー 

  常時スキル:豚人語理解

      魅了無効

      麻痺耐性・小

      命中率阻害・小

      並列思考

      大食い

      幸福患者

  種族スキル:精霊魔法Lv3

       精霊視

       森の民

       魔物アンテナ

      

 エルフにはツッコミ待ちの奴しかいないのかっ!?

 僕は思わず膝を突いた。

 だって、だって見てくれよこいつの残念さ。

 状態異常幸福。これは幸福患者という常時スキルのせいらしい。常に幸福感に包まれるようになる。ある意味病気らしい。いっつも幸せそうにしてるのに、それが病気ってっ。


 そして命中阻害。多分弓が使えないのはこいつのせいだ。

 並列思考に大食いのスキルが相まって、おそらく弓弾く時に今日の食事なんにしよう。とか幸せそうに考えて射ってるんだ。だから命中阻害なんて付くんだよっ。

 なんて、なんて残念な女の子っ。


 というか、あのアホ毛は魔物を索敵するアンテナだったのか!? とか、なんだよにっちゃうパンツって! とかのツッコミはしないでおくよ。

 ミドルマーダーとかいう中距離殺害とかいう物騒なスキル持ってるのもこの際目を瞑っておこう。

 この子は多分一生この村で過ごす幸せな人生を送る娘なのだ。

 うん。幸せに生きてくださいっ。


「私は母さんたちに会ってくるわ。ちょっといろいろと問題が起こりそうだから、ちょっとこの子の面倒見ておいてくれない?」


 と、なんと自分の娘をプリカに押しやるエンリカさん。

 豚娘を押しつけられたプリカは困惑しながらも、まぁいいか。といった顔で頷く。

 そこへ、ようやくネフティアから抜け出したアニアが近づいて来た。

 なんだ妖精め、逃げ切ったのか。


「ちょっとエルフのお姉さんがた! 私達妖精に対してエルフの扱いが酷くないっ!?」


「あれー。妖精が村に入ってる」


「そういえば、あなたは何故ここに? 妖精は見つけ次第羽毟っていいって決まってるのだけど」


「ええ!? うっそ!?」


 自分の羽を隠すように無駄な努力をするアニア。


「本当だよー。妖精は悪戯ばっかりするから100年前くらいに今の村長が皆に言ったんだよ。村に万一妖精が入ったりしたら羽を毟り取って入口に晒しとけって」


 妖精共、一体何をした。


「まぁ、村長さんの毛生え薬を脱毛剤に変えたのは不味かったわね。アレは怒り狂うと思うわ」


 妖精の悪戯……限度越え過ぎだ。

 プリカ・ドゥ・にゃるぱ

 ・エルフニアに棲むぽやぽやエルフ。

  愛らしい顔に太めの眉毛。胸はないが終始笑顔の少女。頭頂部にはアホ毛が一本。

  タンポポのような柔らかな笑みと考えが分かりやすい食っちゃ寝な生活のせいでエルフニアの皆から愛されている。

  状態異常のせいで殆どの驚愕光景や事実を知っても揺るがない。

  種族:エルフ クラス:村人

  状態:幸福

  装備:練習用の弓、にっちゃうパンツ、エルフの普段着、先の潰れた矢×1、矢筒

  スキル:心眼

      ドリアードヒーリング

      ウンディーネヒール

      シルフズトーネード

      ワイドアロー

      サイドワインダー

      ミドルマーダー 

  常時スキル:豚人語理解

      魅了無効

      麻痺耐性・小

      命中率阻害・小

      並列思考

      大食い

      幸福患者

  種族スキル:精霊魔法Lv3

       精霊視

       森の民

       魔物アンテナ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ