表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その演奏会で何が起こったかを彼女は知らない
182/1818

その変態を、僕は知りたくない

「な、なんだなぁぁぁぁっ!!」


 突進してくるロリコーン。

 迎撃とばかりに弓を引くエンリカ。


「コ・ルラ」


 ネッテの魔法が襲い掛かり、同時に矢が放たれた。

 ロリコーンはポスターを引き抜き氷結魔法と矢を撃ち返す。

 矢は衝撃で破砕されたが、氷結魔法はネッテの髪を揺らしてすぐ横を通り過ぎて行った。


「うそ……魔法を撃ち返した!?」


 ネッテとエンリカの攻撃をモノともせずについにロリコーンはアルセのもとへ辿りつく。

 荒い鼻息と共に下卑た視線を向けたロリコーン。アルセへと飛びかかる。

 その刹那、黒い影が舞った。


 僕らの誰も反応できなかった。

 そいつは颯爽とアルセとロリコーンの間に割り込むと、ロリコーンを蹴り飛ばす。

 ぷぎゃっと汚い悲鳴を上げたロリコーン。

 誰だ邪魔しやがった奴は。そんな顔で見上げた先にいたのは……


 黒いタキシードを着た初老の紳士だった。

 なんか見ただけで物凄い紳士力が伝わって来る。

 糸目で人の良さそうな白髪と白髭のおじさん。ステッキ片手にやぁと周囲に挨拶をする。

 だ、ダンディだ。


 そしてその紳士はアルセに振り向くと、彼女の視線に合うようにしゃがんで懐から包み紙を取り出す。

 ああ、なんだこれ? お嬢さん飴をあげよう。そんな言葉が聞こえた気がした。

 というか、あいつも鼻息荒いぞ!?


 アルセが恐る恐る飴を受け取る。警戒しながら飴を調べるが危険は無いようで、おもむろに食べる。

 花のような笑顔が広がった。

 それを見た紳士は鼻血を吹きだし満面の笑みを見せる。


「な、なんだなぁッ!!」


 怒りと共に起き上がるロリコーン。それに気付いて立ち上がる紳士。

 僕はとりあえず紳士に魔物図鑑を掲げてみる。


 ???

  種族:偽人 クラス:ロリコーン紳士

  装備:ステキステッキ、タキシード、シルクハット

  種族スキル:

   威圧の魔眼:幼女を襲う輩に対してのみ有効。

   紳士の嗜み:紳士として必要な技術。

   お嬢さん飴をあげよう:幼女に飴を与える。イチゴ味。どこで調達しているかは不明。

   お嬢さん大丈夫ですか?:指定した幼女の危機に必ず現れる。

   お嬢さん落としましたよ?:入手した物を幼女に与える。

   自分解放:衣服を脱ぎ去りありのままの姿を相手に見せる。

   鷹の眼:眼を鋭くして観察することで遠くの幼女も見逃しません。

   幼女の観測者:幼女の危機を察知すると全能力継続上昇。


 ……ろ、ロリコン紳士だっ!?

 ロリコーンと大差ねぇ!?

 しかもスキルへの突っ込みどころが半端ない。


 なんだよお嬢さん飴をあげようって。どっから調達したのか不明って。

 自分解放とか、最悪過ぎる。

 そして、ロリコーンとロリコーン紳士、二人の変態が対峙する。

 なんだこれ?


「なんだなぁっ!!」


 吼えるロリコーンに、ロリコーン紳士はカッと目を見開く。

 おそらく威圧の魔眼だろう。

 ロリコーンがたじろぐのが見えた。


 さっと、ロリコーン紳士が背後に隠したアルセに何かを告げる。

 魔物なので言葉は出なかったが、僕は何となく理解してしまった。

 お嬢さん、こいつは私が相手取ろう。今のうちにさぁ、安全な場所へ。


 そんな言葉が聞こえた気がして、僕は即座にアルセとネフティアをひっつかむ。

 チェーンソウをポシェットにしまうと、ネッテ達と共に走り出した。

 リエラとカインが青い顔で走るが、それでも皆がその場を脱出できた。


 変態だったけどロリコーン紳士に助けられたようだ。

 そんなロリコーン紳士はと言えば、ステッキを使ってフェンシングのようにロリコーンを迎撃していた。

 幼女に近づくために際限なく強くなるロリコーン、対するは幼女を害する敵が強ければ強い程に守るため、際限なく強くなるロリコーン紳士。それはまさに最強の矛と盾であった。

 そして周囲から幼女の気配が消えた時、二匹の魔物は弱体化し、闘う理由を見失った。


 いや、まぁ何とかなったけど、アレはヤバい。ロリコーン紳士が来なかったらアルセがどうなっていたことか。やはり早急に武器がいるな。

 エルフの集落に着いたらさっそく手に入れよう。

 どんなことをしてでもいい武器を手に入れる。

 また魔王みたいな敵が現れても何とか出来るようにっ。

 僕が、アルセを守り切る。


「そろそろ森に入ります。ここがオリーの森。東南東に向うとガラトスという町がありまして、その後国境を経てゲーテリア帝国が存在するそうですよ」


 と、エンリカが説明してくれるけど、正直そちらに行くような予定は一つもないのでどうでもよかった。


「ここがオリーと呼ばれているのはブロック・オリーが大量に出現するからです。もちろん他の魔物も出ますけど、ブロック・オリーがメインの魔物ですね。あまり強くないですけど群れますから気を付けてください」


「その前に一度野営するか。とてもじゃねぇけど俺もリエラもちょっと限界だ」


「飲み過ぎなのよ。まったく。でも、クーフと辰真が負けるような敵が魔王以外にいるなんてねぇ」


「ロリコーンか。特殊な魔物らしいから滅多に会わない点でいえばにっちゃう・つう゛ぁいみたいなもんだな」


「アメリスさんが飼ってるからよく見るけどねにっちゃう・つう゛ぁい。希少種なのよね。そういえば」


 しみじみといいながら、カインたちは野営の準備に取りかかるのだった。

 ロリコーン紳士

  種族:偽人 クラス:ロリコーン紳士

  装備:ステキステッキ、タキシード、シルクハット

  種族スキル:威圧の魔眼:幼女を襲う輩に対してのみ有効。

      紳士の嗜み:紳士として必要な技術。

      お嬢さん飴をあげよう:幼女に飴を与える。イチゴ味。どこで調達しているかは不明。

      お嬢さん大丈夫ですか?:指定した幼女の危機に必ず現れる。

      お嬢さん落としましたよ?:入手した物を幼女に与える。

      自分解放:衣服を脱ぎ去りありのままの姿を相手に見せる。

      鷹の眼:眼を鋭くして観察することで遠くの幼女も見逃しません。

      幼女の観測者:幼女の危機を察知すると全能力継続上昇。

 ドロップアイテム・ステキステッキ、タキシード、シルクハット、イチゴ飴、幼女の写真


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ