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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
1816/1818

後日談・そのまとまった帰還を、彼らは知らない

 おつかれーっと。

 僕らはアーデの大樹から転移してアルセの大樹前へと出現した。

 僕はすぐに分かったけど、異世界組は同じ大樹が近くにあったので一瞬混乱したようだ。

 あれ、虹色に光らなくなってる?

 みたいなこと呟いて目を白黒していた。


 戻ってきたのは転移した時と殆ど変らない場所だった。

 なんだけど、既に開催していた祝賀会はもう終わっているらしい。

 何もない草原が広がっていた。

 ちょっと、元の時期に戻れるかなって期待してただけにちょっと切ない。

 アルセの挨拶もう一度聞きたかったなぁ。


「ここが、異世界?」


「ふーん、なんか私の居た世界とあんまし変わんないわね」


 確かに。ファンタジー世界だからそこまで違いは無いと思う、あ、ブロンズさんストップ。


「ん? 何よ?」


「一歩先、バグってますからそこから前に行かないでください、多分顔部分だけ水中に入ります」


「はぁ? 意味分かんないんだけど!?」


「そこ、海になってんだよ。たまに空間の一部がバグって変な場所に繋がってるから歩く時気を付けてね」


「異世界恐っ!?」


「いや、これはバグ君がやらかした残滓だからね。まぁ、ある程度過ごしてると大体バグってる場所がわかるから。基本バグってる場所を天の声に教えるとしばらくした後直ってるよ」


 グーレイさんの言葉になんだそれ? と呆れるブロンズちゃん。

 まぁそうだよね、この世界細かいバグがまだわんさか残ってるんだよ。ある程度はバグ取り終わってるんだけど、ほら、僕らが異世界行ったせいでこっちのバグ取りが出来なくてさ、その間放置されてたんだよね。


「着いて来たのはいいけど、ほんと大丈夫なのよね?」


 クラレットさん達も一緒に着いて来た。

 アリーシャとギュスターブは相変わらず大男の肩に乗った少女状態なのが何とも。

 意外とカップリングがいいらしいので彼らはそのままゴールインまで向って貰おう。


「とりあえず街に行こうか。多分皆心配してるだろうから無事な顔を見せておこう」


「となるとグーレイさん、教会か城に向かうべきかな?」


「そうだね。ただし城だと門前払いもあるだろうから一先ずは教会で落ち付こう。確かあそこには複数人の休息室が有ったはずだ。休ませて貰おう」


 僕らは示し合わせて国へと向って歩き出す。

 とりあえず、街に着くまでは真剣にいかせてもらおう。

 魔物なんてこの周辺は雑魚しかでてこないけど、万が一ってこともあるからね。

 今の僕はバグが取り去られて真っ白な真人間なので攻撃も防御も何も出来ないからね。


 バグってたせいで冒険中の経験値は全く入ってないし。

 グーレイさん曰く、レベル差凄い事になってて下手すればデコピン一発で消し飛ばされるらしい。

 この世界で必死にレベル上げしなきゃ駄目なんだそうだ。

 リエラなんてレベル幾らかな?

 夫婦喧嘩なんてしたら僕はどれだけ殺されるかわかったもんじゃないぞ。いつもびくびくしながら生活しなきゃいけないのかな?


「お、ようやく戻って来たわね」


 街門まで辿りつくと、何故か仁王立ちのアカネさんが待っていた。

 どうやら駄女神辺りから帰還することを教えてもらったんだろう。

 よっすと手を上げてみれば、なぜか深いため息を吐かれた。


「全く、あんたは……皆がどれだけ心配したと思ってんのよ」


「いやいや、僕だって不可抗力の召喚だった訳だし、結果的にほら、グーレイさん達も居てくれた御蔭で無事に返ってこれたし」


 正直な話、僕だけで異世界飛んでたら生還無理だったんじゃないかな?

 だって結果的に神出て来た訳だし。

 二手に分かれたりしなかったし。

 壁抜けとか出来ないから真意に気付けなかったり、今までのような冒険は出来なかったはずだ。


 そうなると、結果的にはバグったことで上手く行けたってことになるのかな?

 って、あああ! アルセッ!!


 アカネさんの元へ向った僕らに、街の方から近づいてくる白いワンピースの女性。

 麦わら帽を目深にかぶり、手にはまた幼いアルセデスを引き連れやってきた。

 僕らの元までやってくると、弾ける笑顔で突撃。わっぷ。ちょ、ちょっとアルセ!?

 突撃抱き付きからの勢いよく回転は体に悪い。尻もち付かなくて良かったけど、結構な衝撃来たよアルセ!?


「ふふ、もうアルセったら。余程心配だったのね。それでこの子は……?」


 例によって名前は無いそうだ。

 僕らで決めろってことらしい。

 アーデは既に決まっちゃったし。アルセデスのえーと、アール、じゃ月並みだなぁ。デスとか?

 いや、女の子の名前にデスはちょっと。子でも付けちゃう? それはそれでどっかの誰かに被っちゃうな。

 よし、それじゃルーセでどうだ!


「ル―セちゃん、ですか、まぁいいのでは?」


「君にしては無難だね」


「ふふ、新しい端末体、貴女の名前、ル―セだって」


「おーっ」


 ル―セになった少女が笑顔で嘶く。

 ふふ、よろしくねル―セ。今日から一緒に、世界を見て行こうね。

残り2話ですよ~

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