後日談・その異世界生活を、彼らは知らない
SIDE:月締信太
グーレイさん達が異世界に帰ってから一カ月が過ぎた。
温泉街魔王領に戻ってきた僕らは、僕の記憶と魔族領式、そしてガーランドさん達の知っている人間式の結婚式を合算させて城下街の教会で僕とユーデリアの結婚式を取り行った。
正直、憧れてた事もあったし、誓いのキスでウェディングドレスのヴェールを取った時のユーデリアの笑顔は一生忘れないと思う。
まぁ、何を勘違いしたのかウェディングケーキを手刀割りしたり、魔王になりたい候補者100人組み手みたいなのことやったり、お色直しで素肌ガングロに染めて来て来場者全員を唖然とさせたりしてたけど、問題無く済んだと思うんだ。うん。問題、なく……
結婚式を終えたら今度は魔族式の契約儀式があって、人間式の重婚廃止の礼というよくわからない儀式も行ったけど。
要するに契約儀式は互いに裏切らないという契約を交わして、他の男女と恋仲になったり重婚するのを僕とユーデリアのみ廃止する、ようするに全ての儀式がこの人ただ一人と生きていきますっていう誓いの挨拶みたいなものだった。
んで、名実ともにこの地の魔王となったユーデリア。
王都も温泉街に移してしまい、領地でゆったり、を考えてたんだけど、魔王の座を狙う阿呆が多くて都度被害が出てしまうので、王城の方を普段の生活拠点にせざるをえなかった。あそこはもう瓦礫だから幾ら壊しても問題無いし。
城下街に家を構えて戦場には瓦礫の城を選ぶ形で何人かぶっ飛ばしている。
でも、この生活、ちょっと殺伐とし過ぎてるんだよなぁ。
ユーデリアのバグ、結局取っても性格このままだったし、というかユーデリア自身がこの性格に戻してほしいといいだしたからなぁ。
本人的には言いたい事をはっきり言える今の覇王な性格の方が元の悲観的な性格よりもよかったようだ。
僕としては前の方が……いや、守られてるだけの女で居たくない、そう言ってくれた彼女を嫌いになる訳がないじゃないか。
一緒に、魔王の座を守って行こう。
偶に温泉に入って、ゆったりした生活を送るんだ。
ああ、そうそう、結婚式は結局今までに三回行われたんだ。
一つは僕らの結婚式。
ソレを見たガーランドさんとエストネアさんが温泉上がりで会話中に、んじゃ、俺らもするか?
という軽い告白で結婚が決まったそうだ。
もともとしばらく冒険したらどこかに骨をうずめようかと考えていたガーランドさんとエストネアさん。ニャークリアさんとジャスティンだけが残ってしまうのが気掛かりだったらしいけど、ニャークリアさんは異世界に行っちゃったので、パーティーが三人となり、自然瓦解。
結局ここでしばらくの骨休め、のつもりがそのまま骨を埋めることになったようだ。
ジャスティンさんは別にいいんじゃねぇか、俺は俺で適当にまた別のパーティー入るし。ってことで二人を大手を振って送り出してくれたわけである。
んで、折角ならってことで知り合い集めて王城近くの教会使って結婚式を行ったのだ。まぁ僕らと同じだね。あそこの教会、邪神崇めてるらしいんだけど荘厳だからついつい使っちゃうんだよ。
結局家に関しては僕らと同じ魔王別邸を仮住まいにするそうだ。
部屋余ってるから別にいいんだけどね。
二人ともずっと互いを想い合ってたんだけど、ジャスティンさんやニャークリアさんの手前居ちゃ付ける訳も無く今まで冒険をし続けていたらしい。
といっても、二人はうすうす気付いてたようで、ジャスティンさんに結婚すると報告しても、おお、ようやくか。って言われただけで肩透かし喰らったらしい。
ガーランドさん達は罵声浴びせられて俺だけ一人かよ、とか憎まれるかもと覚悟してたらしいけどね。ジャスティン君としてはそこまで気にしてないそうだ。
自分は結婚したい時は適当な女の子ナンパするから問題ねっすと強気であった。
そして最後に三度目の結婚。
いや、これを結婚と呼んでいいのかどうか。
魂が抜けきった男、僕名前知らないけどあのちっさいおっさんと、Gババァさんの結婚式が取り行われたのである。
なんでも貞操を守るために必死に口八丁やってたちっさいおっさん、襲われるのは今もまだ回避してるらしいんだけど、その為に結婚することになったらしい。
もはや時間の問題だと思われるんだけど、ちっさいおっさんは逃げ切れると思っているらしい。
Gババァさんはもう子作り準備万端だって自分の部屋にベビーベッドまで運びこんでるのに。
まぁ本日も夜の攻防頑張るんだろう。
いつまで貞操を守りきれるか、百鬼夜行のメンバー内では賭けの対象になってるらしい。
とりあえず、Gババァさんが懐妊した時期より半年前位が賭けの対象日になるそうだ。
折角だから僕も結婚初日から一週間くらいで賭けたんだけど、どうかなぁ。
Gババァさんから出来たら連絡すると言質取ってるから言い逃れはさせないよ。