後日談・その世界に残る人物を、僕らは知らなかった
シシリリアさんは唸っているので放置されることになった。
「とりあえず、お前らどーする?」
「さすがに元の鞘に収まる訳にはいかないわ。まさか主要メンバーが別世界に帰っちゃうなんて想定してなかったし、うーん、でも異世界かぁ、折角だし行ってみるのも、ありかしら?」
「あはは、ギュスターブ、どうする?」
「ん、アリーシャが残るなら残る。行くなら、異世界にも行こう」
「えー、私もギュスターブが行くなら行こうかなって思ったんだけどなぁ」
「んー、そうね。この世界に残っても父とは敵対しているし、私もグーレイさんの世界、お邪魔しようかしら? この世界にも帰っては来れるのでしょう?」
「ああ、それは大丈夫。既に世界がある場所は押さえてあるからね。いつでも戻ってこられるよ」
「じゃあ行くわ」
「ふむ……私は残るよ、元々世界行脚の途中だったしね。メロン君と一緒に行くのも面白いが、この世界も捨てたもんじゃない」
「ラウールならそう言うと思ったわ。好きに見て回るといいわよ。干上がるのにだけは気を付けて」
ラウールさんはこの世界に残ると。ガーランドさん達も温泉に居付くみたいだし、知り合いが別々の場所に行っちゃうってのは、ちょっと悪い気がしてくるなぁ。
まぁ本人たちが選んだ結果だから、僕が罪悪感感じる必要はないんだけど、ニャークリアさん、本当にこの世界残らなくていいの?
「ユーデリア、僕は君と一緒に居るよ。どちらがいい?」
「ふむ、信太の世界は強き者はいるのか?」
「んー、イージス艦とか? でも個人的に強い存在はこっちの方が多いかなぁ」
「では、こちらで」
「うん、そうだと思ったよ」
「いいのか、月締君?」
「良いんだ斬星さん。僕、向こうに戻っても対して友達居ませんし、親も放任主義なんで、ゲームやれない程度だからユーデリアと一緒に過ごせる世界の方がいいです。こっちもこっちでたのしいですし」
月締君たちは居残る、と。
「ふぇっふぇっふぇ。孫もここに居るしのぅ、番いの男も見付けた、リエラ、済まないけど両親に伝えておくれ、儂はこちらで繁殖することにしたって」
「え? あ、はい、Gババァさんお幸せに?」
Gババァは居残り組らしい。
ワトリだろ、くねくねちゃんだろ、キャットハムターだろ、ゴールデンオカブにパッキー、アーデが集めた魔物は全員こっちに居残るようだ。
くねくねちゃんとしては出来れば僕について行きたかったそうなんだけど、アーデの守護者として選ばれたのでこの地に残るそうだ。
会うと未練が産まれそうだからってことで結局裏世界からこっちに戻ってすら来なかった。
どうせグレイシアだっけ、あの世界に戻る時に一度アーデに挨拶するつもりだし、そこで会えればいいなぁ。
あ、ところでブロンズちゃんたちはどーすんの?
「ちょ、なんで私に最初に聞くのよリエラさん、じゃなくてそこのバグッ」
影の人たちもグネイアス王について温泉街までやってきた。
ゴールドさんは灼上さんにお熱だから異世界に行っちゃうとして、他の影三人はどーすんだろって気になったんだよ。
「べ、別に、異世界だっけ、行ってやらなくもないわよ」
なんで恥ずかしそうに顔を赤らめていうのだろう?
なんか僕が存在する事知らされたことで、過去のやらかしに気付かれたようで、責任取れやゴルァと脅されているのである。
殆ど関連してなかったんだけど、なぜか好意的なんだよなぁ、ニャークリアさんといいブロンズちゃんといい、なぜ僕に好意寄せて来れるんだろう? 謎である。
「あ、私はこっちに残ります。温泉、好きなので」
「雇われる国、探さなきゃよねぇ。グネイアスは滅んだし」
カッパーちゃんは居残り組。魔王ユーデリアの影として働きがてら報酬の温泉入り放題を確約させたそうだ。
シルバーさんは他の影兵と相談しながら身の振り方を考えるらしい。どちらにしろ、この世界に根差すことは確定事項ではあるらしい。
「な、なぁ、おでら、この世界居て、ええだか?」
「構わん。お前たちは強いのだろう。で、あれば、我と共に来るがいい」
ユーデリアさんは覇王として世界行脚を始めるらしく、お供に月締君、ついでにギガス兄弟を誘っていくようだ。
残るはノヴァ、カリオン、くまっぴょろんの三人だ。
呪人であるノヴァには何処の世界にも故郷は無いし、バグを取り除けばカリオン君は人類至上主義者、くまっぴょろんはどう考えても意思疎通不可能な熊の魔物だ。
「俺達は残るよ。グーレイ、アーデの守護も兼ねて、ね」
ノヴァたちは居残るようだ。
まぁ異世界向っても面子が面子だからなぁ。妥当な判断とみていいか。
とりあえず、彼らのバグ取りは僕のバグを取り除いた最後にバグを取るそうだ。
ノヴァ、大丈夫? 呪人に戻ったら存在するだけでヤバいと思うんだけど?




