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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
1801/1818

後日談・その国が滅んだことを、周辺国は知らない

「あの、ちょっといいか、グーレイよ」


 さぁ大団円だ帰ろうかーっという段になり、僕らは一度集まって生存確認を終えたところで、声が掛かった。

 声を掛けて来たのはこの国の王、グネイアス王だ。

 グネイアス、消し飛んだけどね。


「やぁ、グネイアス王、何かな?」


「国、消し飛んだんだが?」


「まぁ、神が出て来たしねぇ、こればっかりは私ではなんとも出来んよ」


「予言通りになったんだが!? 英雄が居たのにっ!!」


「済まないが、その予言回避できるって言ってた?」


「……できる、かも?」


「じゃあ、諦めてくれたまえ。人が生きていれば国はまた立て直せるさ」


「荒野になっとるんだが!!」


「ほら、もうすぐ反乱で国滅ぶ寸前だったわけだし、一からやり直せると思えば……」


「せめて、せめて住む場所位作って行ってくれぇ」


「えー」


 話聞いてたんだけどさ、これって駄女神さんとグーレイさんの能力でなんとか出来るんじゃ?


「いや、私も一応神だからね、基本下位世界には不干渉なんだよ。創造神ならある程度改革は出来るけど、出来そうかいパンテステリア君」


 ―― 今アルセちゃんと協力してバグ取りに忙しいから無理ー。もうすぐバグ取れそうなんですよ。お? あ、あーっ! やった。リエラさん切り離し成功! 今度こそ確実っ ――


「おお、確かにリエラ君が薄い幽霊みたいな状態から普通の状態になったね」


 ―― グーレイ、どの道皆のバグ取り終わらないとこっち戻せないよ? ――


「そう言えばそうだったか……はぁ」


 ―― それと、駄女神さんのバグも取り除かないとですよね。こっちはポモになった人と猫になりたかったワニさんが協力してくれてるのでもうすぐ終わりそうです、ただ、消えてしまった名前については、その、諦めてくれ、と ――


「酷いっ、あちしなんも悪い事してないのにぃっぎにゃーっす!!」


 いや待って。名前、ポモになった人って何さ、ポモってそもそもなんだよ!?

 あと猫になりたかったワニ? 上位世界の人不定形なんだろ、猫になればいいじゃん!?


「ふむ、バグ君のバグが取れるまでもう少し掛かりそうだね。それが終わるまではこの世界に居ないといけないのか」


「また湯治でも行くかグーレイ。もう冒険の必要もないならあそこでサウナめぐりしたいんだが」


 ガーランドさんなんかもう冒険者というよりは引退間近にしか見えないんだけど、そのまま温泉街に定住するつもりかな? あそこ魔族領なんだけどなぁ。


「正直今回の闘いだけでも冒険者としてはお腹いっぱいよ。しばらく温泉でゆっくりしたいわ」


 エストネアさんまで!?


「ふむ、そうだね、温泉街に行こうか」


「いや、待たんか。国の復興やってから行けッ!!」


 えー、そりゃ無茶振りだよ国王さん。


「今までそこら中の国侵略してたじゃん、この際だから首都移せば良いんじゃないの?」


「魔族領にか!? むぅぅ、いや、駄目だ。ここがグネイアスの首都だからな、ここは譲れん。なにより、ここの守り手が居なくなるのはお前さん等も困るだろ」


 むぅ、確かにアーデの大樹をお世話できる人が居ると嬉しいか。

 でもあの三人組が居るから問題ないような?

 あ、待って。グーレイさん、アレ!


「ん? どうし……これは!?」


 アーデの樹を起点にし、緑の蔦がそこいら中に這いまわる。

 不規則に這っているように見えた蔦は、少しずつ形を作り、まるで家のように組み合わさり蔦の家が軒を連ねて行く。

 今までそこにあった街を再現するように、緑の蔦製の国がゆっくりと巻き戻るように造りだされていた。


「よかったじゃないか、グネイアス王。アーデからの贈り物だぞ」


「つ、蔦の城? こ、これ大丈夫なのか?」


「アーデの大樹が枯れない限りは、あと、アーデの大樹に対して不埒なことをしない限り、かな」


「王族で代々守るのが一番か」


「残念だが、グネイアス王、今の王族には次の国から消えて貰う」


「貴様は!?」


「あるいは、王位を捨てて街に住むか、俺達もさすがにここで処刑なんてことはしたくないからな」


「お、おのれ反乱分子……グーレイよ、奴らを倒せッ」


「いや、倒さんし」


 僕らは無理矢理呼ばれたメンバーだしね、むしろさっさと元の世界に還してくださいってもんですよ?


「そういえば、魔王を倒したら元の世界に帰れるんじゃなかったか?」


「……知らん。返し方なんぞ知らんわいっ」


 もはや頑固ジジイみたいな王様は儂なんも知らんもーんっとへそ曲げてしまった。

 いや、自業自得じゃん。


「とりあえず、王はどうでもいけど王妃さんや王女さんはちょっとくらいどうするか考えてやってくれ」


「ああ、そこはさすがに酷いことはしないつもりだ。俺達はグネイアス王の国政を変えたかっただけで、女を凌辱したい訳じゃない。彼らが了承してくれるなら普通の市民として受け入れるつもりさ、さすがに王族のままでは居させられないけどね」


 確かに、もう戦力的にはどう考えても反乱軍勝利揺るがんでしょ。

 僕らが介入でもしなければ。

 それが分かっているからかグネイアス王もぐぬぬと唸っている。


「それで、王妃さんと王女さんはどうなんだい? 王族にこだわりたいのならここに居る反乱軍を自力で鎮圧しなけりゃいけないけど」


「今まで王族として暮して来たのでいきなり民になれと言われても……」


 まぁ、困るよねー。とりあえず温泉街連れてく? グーレイさん。

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