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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その演奏会で何が起こったかを彼女は知らない
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その皆の知り合いを、僕らは知らなかった

「あーなんか緊張してきたっ」


 南門の先に陣取った僕らは、順番を待っていた。

 カインが珍しく全身を震わせて伸びをする。

 よほど緊張しているのか困ったように頭を掻いていた。


 本日は快晴なり。

 鳩みたいな鳥が飛び交う青空の下、マイネフラン王国は今日、ゴブリン大討伐作戦成功を祝い、国を挙げてのカーニバルを始めようとしていた。

 まずはファンファーレで始まり、今回の功労者を南門から北門へと行軍、凱旋をイメージする感じだね。

 ここから一度城まで凱旋し、そこから左右二手に分かれて中央の広場に戻って来る。

 全員が行軍を終えたら表彰の始まり。というわけだ。


 行程としては凱旋、表彰、演奏会。その後は夜中までやってる露店回って自由行動。

 なんか他にもいろいろ出し物はあるらしいけど、演奏会の会場を使っての大道芸とからしい。

 覗くのもいいけどとりあえず皆で露店回ろうという事になっているので、演奏会次第だね。

 下手したらそのままリエラ連れて別の町に逃げなきゃならないし(笑)。


「それがあなた方パーティーの総メンバーなのですね」


 カインの行動にネッテがクスリと笑っていると、近づいて来た一人の女性。

 黒髪に巫女服が似合う大和撫子という言葉がしっくりくる女性だった。

 白銀の胸当てが巫女服とちょっと合ってない気もしないでもないが、さほど違和感はない。


「えーっとあんたは?」


「ちょ、カイン。御免なさいモーネットさん。こいつ人覚えるの苦手で」


「あらあら。冒険者やってますと一見さんもいますしね。そういう方もいらっしゃいますから気にしておりませんよ。では改めて初めまして。『戦乙女の花園』というクランを率いていますモーネット・スパルタクスです」


 どっかで聞いたなスパルタクス。確かそんな感じの国があった気がするぞ。

 モーネットさんの笑顔に癒される僕は、ネッテとモーネットさんの会話を何となしに眺める。


「お。嬢ちゃん、こんなとこいたのかよ」


「はえ!? わ、私ですか!?」


 リエラに厳ついおっさんがアプローチして来た。

 驚くリエラと護衛するように近づいて行くクーフ。


「『グラスホッパーズ』のゴードン・ダンデライオンだよろしくな!」


 がははとリエラの背中を叩くゴードン。脅威ではないと判断したクーフが止めに入らなかったので、リエラがせき込む衝撃を受けていた。

 なんか、ここ最近リエラがツイてない気がします。頑張れリエラ。


「そ、そのゴードンさんが何か?」


「おう、聞いた話じゃお前さんがウチの奴隷を助けたらしいじゃねぇか。アメリスの嬢ちゃんに聞いたらお前さんのこと教えてくれてな。礼をしとこうと思ったわけよ」


「奴隷……ああ、あの時の」


 ああ、そういえばフィオリエーラ関連で結果的に助けた奴隷のお兄さんがいたな。


「ウチの倅の奴隷なんだがな。面倒がなくてよかったぜ」


「い、いえ、私は殆ど何もしてませんし」


 リエラは冤罪掛けられただけだしね。


「お、いたいた。っつか、ゴブリンの巣突撃した冒険者これで勢ぞろいだな」


 自分のパーティーを引き連れやってきたのは若い男だった。

 彼はカインに近づくと、フレンドリーに肩を組んでバシバシと叩いて来た。

 なれなれしい人だ。いや、厚かましいお兄さんだ。


「『赤き太陽の絆』のクラン長、アレン・ボルダートだ。よろしくな! いやぁ、俺らも上級冒険者だと自負してたんだが、まさかお前らみたいな冒険者が隠れてるとはな。どうだカイン。俺らのクランはいらないか?」


「いや、俺らは俺らでパーティー組んでるし。魔族が半分占めてるパーティーが入ってきたら、あんたのクランといえども色々ややこしくなるだろ」


「そりゃそうか。まぁ、気が変わったらいつでも来い。お前の実力なら歓迎するぜ」


「そりゃどうも」


「ところで戦場でお前に話しかけてたあのおっぱいちゃん……じゃねぇ。メリエちゃんだっけ、あの子紹介してくれよ」


「いきなりだなオイ……待てよ。もしかして……俺もあんま面識ねぇから紹介はできないが、こんなんどうだ?」


 と、また密かに撮っていたらしい写真を見せるカイン。それに一喜一憂し始めるアレン。

 うん、なんだろう。この学生が教室に持ってきたエロ雑誌見ているような光景は?

 よし、あいつらは放置しとこう。


「よぉバズ」


「ぶひ」


 そしてこちらも今回の闘いで知り合ったおっさんがやってきた。

 エンリカとバズ・オークは彼らに気付いて軽い会釈をする。

 ちなみに、今回もエンリカは娘を宿屋の女将さんに預けてやってきた。

 表彰が終わったら宿に戻って授乳タイムらしいです。なんかもう普通に立ち上がって鼻息鳴らし始めたようです。オークの成長速ス。チョッパヤです。


「今日も行っとくか? お前と呑むのは結構楽しい」


「ぶひ……」


「あら、私は気にしなくていいわよあなた。娘とゆっくりしているからあなたもゆっくりしてきたら?」


 エンリカの了解がでたことで、バズさんはバズラックとバズ同士飲み会に向う事になった。

 まぁ、いいか。なんか現代世界のサラリーマンみたいな感じになってるけど。


 ファンファーレが響く。

 さぁ、行軍の始まりだ。

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