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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三話 その魔王の脅威を僕ら以外知らない
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その場所で起こったことを、僕は知らない

 えーっと、どういえばいいんだろう?

 西門に着くと、赤く染まった大地を前に、祈りを捧げる兵士達が居らっしゃいます。

 その先には誰もいないのに……新手の宗教か何かか?


「おー?」


 異様な光景に、アルセも興味津々だ。

 皆何をやってるんだろうね。カシャッ

 ちょっとCG激写、どうしてこんなの取ってんの!?


 とりあえず、尋ねてみたいけど今は僕とアルセしかいないのでここで何が起こったのかは全く分かりません。

 えーっと、ネフティアどこだ?

 どうやらネフティアも居ないらしい。

 ゴブリン軍団も全滅しているようなので、この場所の安全は確保されたと言っても良いだろう。


 一応、ネフティアが居た形跡は死体の損壊具合を見ればわかるので、闘い終わって戻ったか、別の門に向ったんじゃないかな?

 よし、じゃあバズ・オークの護衛に向おう。




「あ、アルセちゃん。どこ行くの!」


 なんと、宿屋街を走っていたらエンリカと出くわした。

 宙に浮きながら小首を傾げるアルセに、エンリカが聞いてもいないのに話しだす。


「あ、赤ちゃんなら宿屋の女将さんが見てくれるから、行って来なさいって。うずうずしてたみたいで、私も夫を助けてきなさいって送り出されたの」


 すると、アルセが笑顔できゃっきゃと暴れる。

 エンリカが来てくれて嬉しいのか? それともエンリカが顔を覗きこんできたからおかしくて笑ったのか。よくわからない。


 エンリカと共に南門へと向かう。

 既に臨戦態勢のエンリカは弓を手にしていつでも矢筒から矢を引きぬけるようにして走る。

 やる気だしまくってるなぁ。セレディさんとの殴り合いが良いカンフル剤になったのかもしれない。これからきっと武闘派へと成長していくんだろう。弓を扱う拳闘士か……恐ろしいおかみさんになりそうだ。バズ・オーク、往生しろよ。


「あそこね!」


 門を越えた場所に扇状に広がる兵士達。

 その中で、ピンクっぽい肌色の肌が嫌でも目立つ。

 バズ・オークさんが陣頭指揮を執ってます。


 ブヒィ! と鼻息洩らすと、横に居るエルフの男がその指示を皆に伝えて行く。

 その指示だけでゴブリンの軍勢と互角以上に闘っていたバズ・オーク。

 しかし、そこへオーガの群れに追われていた冒険者が合流したようだ。


 冒険者たちは騎士団に保護され一度後方に引いて回復作業を受けていたが、直ぐに前線に走る。

 遊撃隊として参加して少し、ついに彼らがトレイン行為で引き連れて来た五体のオーガが現れた。

 うっわ。レッドオーガ程じゃないけど強力そうな生物だ。


 が、そんなオーガの群れに走り込む一人の少女。

 ひらひらと揺れるスカート。赤く染まった純白の服とスカートが風にはためき、藍色のツインテールをなびかせ少女が踊りかかる。


 ギュイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ


「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!?」


 ああ、ネフティアさんこっち来てたのね。

 僕の目の前でスプラッター映画が……オーガ相手に一歩も引いてないというか、むしろ圧倒しています。

 さすが、ツッパリ相手に駆除とか言い張る古代人の一人だ。

 アルセも手を叩いてネフティアに賛辞を贈っている。


「よし、ここからなら……チェイサーアロー!」


 エンリカもさっそくとばかりに参戦。

 遥か遠くのオーガ目掛けて矢を引き絞る。

 いや、さすがに遠い……


 ヒュンっと風を切る矢が無数の兵士とゴブリンを飛び越える。

 オーガの一体を切り裂いたネフティアに、今襲いかからんとしていたオーガの喉に突き刺さった。

 命中率良すぎです!? 命中率補正・中は伊達じゃないらしい。


「ブヒッ!!?」


「あなた、援護に来たわ!!」


「ああ、奥さんまでこの戦場に、すみませんお二方」


 エルフの騎士さんがエンリカを見てお礼をいう。

 ゴブリンと闘いながらなので言葉だけだったが、彼らにはそれだけで良かった。


「ブヒ!」


「大丈夫よ。宿屋の女将さんに預けて来たの。さっさと終わらせて家族水入らず、ゆっくりしましょう!」


「フゴッ!」


 バズ・オークに気合いが入った。

 大声で吼え猛ると、自らオーガに走り込んでいく。

 おいおいバズ・オークさん?


 妻にいいところを見せたいと思ったのだろうか? ゴブリン達を薙ぎ散らし、一気に距離を詰めるとオーガの一体に切りかかる。

 ガッとナイトブローバ―がオーガの胴に食い込むが、強靭な筋肉に阻まれ刃の半ばまで埋まった状態で止まる。


「GA!!」


 オーガの一撃。

 バズ・オークは剣を手放し難なくかわすと、背中に取りつけていたポールアックスを引き抜き、ナイトブローバ―へと叩きつける。

 剣がさらに奥まで刺さると、さすがにオーガも痛みで身をよじった。

 凄いなバズ・オーク。あ、そうか。アルセが近くに来てるから忠誠豚将軍のスキルが掛かってるはずだ。


 でも、困ったな。さすがに武器がオーガ相手には力不足みたいだ。

 アルセの蔦はオーガまでならなんとかなるからアルセソードなら……ああ、アルセソードここにあるじゃん。

 よし!

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