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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三話 その魔王の脅威を僕ら以外知らない
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AE(アナザーエピソード)・リエラたちの激戦を僕は知らない

 北門には、予想もつかない程のゴブリンが群れを成してやって来ていた。

 辰真と共にやってきたリエラは、その数の多さに戦慄する。

 震えるリエラに、元気をくれたのは葛餅だった。


 葛餅は驚愕におののくリエラの頭から腕にやって来ると、リエラの頬をつんつんと叩く。

 我に返ったリエラに、さっさといくぞ。とばかりに剣の形を取ってみせる。

 慌てたように腰からアルセソードを引き抜いたリエラは葛餅にアルセソードを持たせる。

 すると、ぐにょんと伸びた葛餅は、待っていたとばかりにゴブリンに切り込んでいた。


 リエラも慌てて距離を詰めるが、彼女が前線で戦う騎士団のもとへ辿りつく頃にはすでに延びた葛餅が蹂躙を始めていたところだった。

 葛餅がいればリエラ必要無い。

 そう思えるほどの活躍に、自分の存在が否定された気がして泣きそうになるリエラ。

 直ぐに被りを振って逆の腰に差していたゴールドダガーを引き抜く。


「ドラァッ!!」


 辰真がツッパリと共に激闘を繰り広げている。

 はっきり言ってここに居るどの騎士団や冒険者よりも強い。

 一人突出しているように感じる。


 それでもゴブリンの多さが際立つ。

 まるでこの門に全ての戦力を集中させているかのような凶悪な集団。

 その先に、リエラは見た。


 一際巨大なゴブリンがいる。

 胸がある。大きく突き出た腹を震わせ、ゆっくりとこちらに向っている。

 リエラは直ぐに理解した。アレが、ゴブリンマザー。


 ゴブリンがなぜ人間を襲うのか、正直なところその理由は未だに解明されていない。

 人間の女性を手に入れ子を産ませるため。

 それが俗説ではあるが、ならばなぜ国を滅ぼしに来るのか?


 無数の犠牲を出すと理解しているのにこんな事を行う意味が、果たしてそんな通俗の理由だけだろうか?

 疑問には思うがリエラがその答えに辿りつくことは無かった。


「あら、あなた確か、カイン様のパーティーに居た……」


「え? あ、こ、こんにちは?」


 思わず返事して見た相手は余り面識のない女性だった。

 顔の印象は殆ど無いが、たわわに実った二つの果実、もとい胸は一度見たら忘れそうにない破壊力があり、リエラは思わず自分の胸と見比べた。……死にたくなった。


「私はメリエ。メリエ・マルゲリッタというの。あなたがここに居るってことはカイン様も居残り組?」


「居残りというか、冒険者の皆さん皆ゴブリン討伐なんじゃ? 私はカインさん達が嫌な予感がするから町に戻ってくれって言われて……」


「凄いっ。さすがカイン様! ゴブリンが奇襲して来るのを見抜いたのね!」


 なにやら独自解釈を始めたメリエが胸を揺らして嬉しそうに手を叩く。

 何か疲れる人だな。と思ったリエラは苦笑いを返しておく。


「私、元々三人組で活動してたんだけど残りの二人がホモ疑惑で喧嘩別れしてしまって、さすがに一人でゴブリン討伐に参加するのもどうかなって思って、ギルドに告げたらゴブリン討伐で国が手薄になるから予備人員でもいいって言ってくれたのよ。まさか本当に駆り出されるとは思ってなかったけど」


「ホモ疑惑……」


 なんとなく、覚えがあったリエラはある酒場での出来事を思い出して思わず謝りたくなった。

 それ、アルセと透明人間さんのせいだと思います。と。

 しかし、むしろメリエは仲間と別れてせいせいしているような様子だった。


「まぁ、あまり好みの二人じゃなかったし、イケメン系だったから一緒に居ただけだし。むしろ今は……ねぇ、これも何かの縁だし、よかったらカイン様に紹介してくれないかしら、こう見えても風魔法と雷魔法は得意なのよ」


 リエラは思う。ネッテさんがいるから魔法使い枠は埋まってるような。ユイアさんもいるし、二人もいれば十分な気がする。それにセレディさんの件もあるし、キャットファイトが起きそうな原因を気軽にパーティーに引き入れて良いものだろうか?

 次は下手したらネッテとメリエの魔法バトルになりかねない。


 電撃と氷結の乱舞、周囲の被害はエンリカとセレディの比ではない。

 その未来を思い描いて思わず青くなるリエラ。空返事だけして煙に巻こうと決意した彼女を、誰が断罪できようか?


 そんな二人が会話している間にも、辰真と葛餅は頑張っていた。

 無数のゴブリンを倒している内に、テンションが上がってきたのだろう。辰真の姿がいつの間にか番長になっている。

 赤くなったポンパドールが放電を交えてゴブリンを跳ね上げ、それを葛餅がアルセソードで切り裂く。


 負けじと騎士団がゴブリン達と戦うが、辰真と葛餅の撃破数には到底及んではいなかった。

 騎士団は名折れとばかりに騎士団長が号令飛ばして奮戦するが、彼らがツッパリたち並みの活躍をするより早く、奴が現れる。


「ゴブリンマザーだ! 総員気を付けろ!!」


 騎士団長の指示が飛ぶ。

 リエラもメリエも会話を止めてゴブリンマザーに視線を向けた。

 巨大なメスゴブリンがゴブリン達を投げ飛ばし現れる。

 対するは同じくゴブリン達を投げ飛ばし彼女の前に立った一人の赤きポンパドール。


 ゴブリンマザーと番長辰真の闘いが、今、始まろうとしていた。

 ゴブリンマザー

  種族:グリーンスキン クラス:上級鬼族オーガ

 ・メスゴブリンの中で数百年に一度の割合で出現すると言われている上級鬼族。

  無数のゴブリンを絶えず産み続け、爆発的にゴブリンを大発生させる危険な生物。

  大軍となったゴブリンは周辺の人間魔物関係なく襲いかかると言われている。

 ドロップアイテム・筋張った肉、刺激臭な布、安産のお守り

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