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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二話 その愚連隊の真の隊長を、彼らは知らない
153/1818

そのゴブリンたちの行動を、誰も知らない

 結果を言います。杞憂でした。

 何がって? ゴブリン共が既に討伐されて居なくなっているんじゃないかってことだよ。

 下手したら死体だらけで折角来てくれたツッパリ愚連隊の戦闘が無くて暴走するんじゃないかなって思ってたんだ。杞憂だったよ。


 目の前には無数のゴブリン。

 嬉々として拳を振うツッパリたち。

 気圧される新米冒険者たち。

 負けじと突っ込むベテラン冒険者。

 呆気にとられる王国軍。


 なんかもう、即座に乱戦突入でした。

 愚連隊ヤバい。これはヤバい。

 僕らの数が少ないという欠点を補って余りあり過ぎです。


 まさに暴走機関。奴らが通った後にはゴブリンの死骸しか存在しない。

 血塗れの拳を携え、風に揺れるガクラン。漢たちが勝利の雄たけびを上げていた。

 アルセが楽しげに「おー!」とか一緒に叫んでるけど気にしない方向で。


「しかし……こりゃやべぇわ」


「いろんな意味でね。でも、ゴブリン達の動きがおかしいわ。なんでこんなに残っているの?」


「第一部隊と第二部隊で駆逐して、残ったゴブリンを私達で倒す、でしたよね?」


「ふむ……何やらただのゴブリンの集団。という訳ではなさそうだな」


 カインたちがツッパリの蹂躙を見ながらそんな話をしていた。

 でも、ゴブリンの動きどうこうとか言われても僕にはよく分かりません。


「ふむ……辰真、それとリエラ」


「なんですかクーフさん?」


「ツッパリを数人連れて町に戻ってみてくれ、どうも嫌な予感がする」


「え? でも……」


「第二部隊が闘ったにしてはゴブリンの数が多い。だがこれ程多いとむしろ陽動のように思えてくる。ゴブリン風情に戦略があるとも思えんガ、もしもの時、バズ・オークとエンリカだけでは荷が重い」


「……わかりました」


「あ、それだったらアルセとネフティアも連れて行って。こっちは私達とツッパリがいれば十分よ。番長さん、頼むわね」


「オルァ!!」


 というわけで、僕らは二手に分かれることになりました。

 この時はまだ、クーフの杞憂だろうって思ってたんだけど、まさかあんなことになるなんて……

 僕はアルセとネフティアを引き連れリエラと辰真の後を付いて行く。

 町に戻るツッパリは10名だ。


 町に戻ると、町門にいた兵士たちがリエラに気付く。

 一瞬ツッパリたちにぎょっとしたものの、リエラに気付くとどうかしましたか? と尋ねて来た。

 嫌な予感がするので町に返された旨を告げると、ギルドに向うように指示される。

 たらい回しですか? 


 リエラ達と共にギルドへ。コリータさんの姿は無く、珍しくギルドマスターがカウンターに座っていた。

 どうやら受付嬢が各所に連絡役として向っているため通常営業に差し障りが出ているらしい。

 ギルドマスターは僕らに気付くとまなじりをあげた。


「おや、君たちはなぜ戻ってきたのかね? 今は冒険者は皆出払って貰っているはずだが?」


「そうなのですが、カインさんたちに嫌な予感がすると言われまして、町の護衛に向ってくれと」


「むぅ? ゴブリンの大量発生でそのような事は必要ないと思うのだが……ふむ。まぁ良いでしょう。しばらく様子見を……」


「た、大変ですッ!!」


 ギルドに、危急を告げる使者が現れたのは、そんな時だった。


「どうした!?」


「北門にゴブリンの集団が、巨大なゴブリンも確認されてます! 王国軍が出撃していますが他の門にもゴブリンがいて分散する形で……奇襲されています。このままでは我が国はっ。冒険者の援軍を!!」


「まさか!? 本当に奇襲だと!? リエラ君だったか、すまないが北門に急いでくれ!」


「は、はい! 辰真さん、行きましょう!」


「オルァ!!」


 まかせろ。とばかりに叫ぶ辰真。ツッパリ10名を率いて北門へと向って行った。

 っと、待てよ。北門の他にもゴブリンがいるんだったよね。ネフティア、御免だけど頼まれてくれないかな?

 アルセの身体を使ってネフティアにお願いしてみる。

 東門の方を指差すと、ネフティアはコクリと頷いて走り出した。

 というかネフティア、今からチェーンソウ動かしちゃだめぇ!?


 そして僕はアルセを伴いバズ・オークたちのもとへと向う。

 使える者は豚でも使え。悪いけどバズ・オーク、この町の危機だ。遊んでる暇は無いぞ!!

 宿屋に飛び込み、どたどたと慌ただしく階段を上る。

 突然聞こえた怪現象に驚いた女将さんだったが。アルセが空を飛んでるのをみると、何かを納得したように作業に戻っていた。


 ドアを開いて飛び込む。

 バズ・オーク、エンリカ、大変なんだ。この国がゴブリンに……


「あ・な・た。はい、あーん」


「ぶ、ぶひ……」


 ベッドで娘を抱きながら切った果実をバズさんの口に放り込むエンリカ。

 照れながらも誰も見ていないと口を開いてソレを食べるバズさん。

 リ・ア・充? あは、あはははははははは。

 この非常時に、何してんだエロ豚ァァァッ!!! テメェ血は何色だぁこんちくしょぉぉぉぉ!!

 コレ書いててなんかに似てるなと思ったら、自分が描いた別作品も町や城を良く囲まれてました。まぁいいか。

 ということで、お約束のようにゴブリン包囲網撃退戦です。

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