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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二話 その愚連隊の真の隊長を、彼らは知らない
152/1818

その大行進の理由を、民衆は知らなかった

 その日、王国はざわついていた。

 王国の大通りをある行列が行進している姿を見たからである。

 普通ならば絶対にあり得ないその光景に、老若男女問わず思わず魅入ってしまっていた。


 まさに大通りを埋め尽くすような黒い悪夢の行列。

 頭を尖らせた漆黒の男達を、民衆は人間だとは思わなかった。

 皆、理解しているのだ。その行列を行っているのは同じ人間ではなく、魔物という部類の人間に害を成す存在であることを。


 それが、人間の町を、自分たちの町を一糸乱れぬ行軍で進んでいる。

 睨みつけられた子供が泣きそうになる。

 それに気付いた母親が慌てて彼の口を塞いだ。

 母親は震えていた。

 もしも子供が声をあげてしまったら。あの行軍が、魔物の群れが、一斉に彼女たちに襲い掛かって来るかも知れないと。

 決死の覚悟で息子の口を塞いでいた。


 だが、行軍を続ける魔物たちは、口々に「オルァ」と周囲に威嚇を行うモノの、乱れて民衆に悪さをする個体は無く、ただひたすらに門から門へ向けて行軍していた。

 危険は無いのだろうか? 民衆の胸に去来するのはそれだけだ。

 しかし、興味を覚えないでもない。


 なにせ、彼らの先頭を歩くのは、緑色の少女と、亜麻色の髪の少女。そう、アルセとリエラなのである。

 その姿はよく街中を歩いているので大抵の人が知っていた。

 魔物使いのパーティーがいる。

 そのパーティーに所属しているリエラがアルセイデスと共に先頭を歩き、無数のツッパリを従え行軍している。


 ギルドからの噂で聞いたゴブリン討伐と結び付けられるものが何人いたかは知らないが、口々に噂が伝播していった。

 リエラが魔物使いだと。彼女はゴブリン討伐のためにツッパリたちを引き連れて来たのではないかと。

 当然、リエラは全く知らずに僕に連れられてきただけだけど。

 そして今、カチコチに固まりながら右手右足、左手左足と手足同時に出して歩きながら周囲の注目の的になっていた。


 彼女の心情を表すなら。「何コレ? 何コレ? 私なんでこんなことに?」といったところだろうか?

 いや、アルセと辰真だけだと魔物襲来として危険かなと思ったので人間を一人連れてきただけなんだけど。そのせいでリエラが物凄い注目されてます。

 ああ、なんかお婆さんが拝みだしたぞ!?


 ツッパリの群れを率い、リエラが進む。

 やがて噂が噂を呼び、ツッパリ愚連隊を一目見ようと集まり始める民衆。

 貴族街からも物珍しそうに……あ、フィオリエーラさん発見。

 あの胸凄い目立つな。一目でわかったよ。


 騒ぎを聞きつけた兵士や冒険者がやって来るが、リエラを見た瞬間、呆然と行軍を魅入る集団に早変わりした。

 商人の馬車もわざわざ脇に止まって行軍のための道を開く。

 そんな大注目の行進は、やがてオーク村へ向うための門へと辿りつく。

 そこでカインたちが待っていた。


「ちょ、リエラ!? 何ソレ!?」


「わ、わかりません。アルセに連れて行かれたと思ったら門前にツッパリたちが屯ってて、なんか、行列に、わた、私、どうしたら!?」


 もはや半狂乱で告げるリエラに、カインとネッテは顔を見合わせる。


「まぁ、今更であろう。おそらく今回のゴブリン退治に協力を取りつけたのであろうな」


「そういえばアルセの二つ名がツッパリ愚連隊とかなってたわね……」


 直ぐに理由を察したクーフと納得したネッテ。

 ネフティアがなぜがグッドマークをアルセに向けてたけど、彼女の考えだけは僕もよく分かりません。アルセ、何で踊りだしたの?

 アルセ、ネフティア、なんか喋って。二人の行動、僕には理解できないから。

 互いに踊りだされても対応に困るからっ。


「あぁと、じゃあそこのツッパリ愚連隊? はゴブリン討伐に協力してくれるってことでいいのか?」


「「「「「「「「「「オルァッ!!」」」」」」」」


 一糸乱れぬ声の大きさに気圧されるカイン。しかし、なんとか落ちついた顔で納得する。


「まぁ、バズ・オークとエンリカが産休するから丁度イイっちゃいいんだが。冒険者連中にも教えとかないと同士討ちになりかねないぞ」


「それはギルドに任せてください」


 あ、コリータさん居たんだ。

 カインの背後に居たので全く気付きませんでした。

 どうやらギルド経由で先行する冒険者たちにツッパリを攻撃しないよう連絡してくれるらしい。


 そしてゴブリン討伐最終組が動き出す。

 30名程の冒険者に国軍200名、アルセ愚連隊80名。

 国軍はどの部隊にも200名配置されたらしい。

 総勢で1500名程いるらしいんだけど残りの900名は町の防衛と門の警護のために居残るらしい。


 最初の第一部隊で冒険者が多数出て行ったので、最終組の冒険者は少なく、国軍も新米が多い。

 ベテランなのは騎士団長と副団長くらいだろうか? でも若いのでおそらく団長になりたての奴か急遽抜擢された人だろう。

 気合いが空回りしてる感じが初々しい人です。


 まぁ、こんな最終組ですが、皆決死隊という様子はなく、和気藹々とした様子があった。

 と言うのも、最初のベテラン部隊が殆ど露払いしてしまうので最終組は殆ど敵と出会わないからだそうだ。

 なんか、圧倒的過ぎてアルセ愚連隊連れて来た意味ない気がしてきました。相手が弱過ぎて力を持て余したツッパリの暴動、起きたりしないよね?

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