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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二話 その愚連隊の真の隊長を、彼らは知らない
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その楽器の扱いを彼らは知らない

 一応出掛ける旨をエンリカとバズ・オークに伝えに向ったのだが、なんかお取り込み中だったので部屋の前で声を掛けるにとどめた。

 ギルドの方でも困りそうだったので、一度ギルドに顔を出し、僕らはセルヴァティア王国に行ってくる事をコリータさんに告げた。


 その期間なら準備期間に当るらしいので強制依頼は帰ってからでいいそうだ。

 ふむ。やっぱり無数の冒険者を集めるのに準備期間は数日必要らしい。

 そんなギルドを出た僕らは準備を整えゴボル平原へと向かう。


 エンリカとバズ・オークが居なくなったものの、僕らの戦力なら十分狼モドキを倒せる戦力だ。

 どうでもいいけどこの狼モドキ、本当の名前なんていうの?

 リエラが魔物図鑑に登録していたので見てみる。


 うん、種族欄の名前が狼モドキです。おい、それでいいのか!?

 なんかさ、この魔物図鑑、僕の知識を元に作成されてない?

 ねぇ、こいつの本当の名前、何なんですかリエラさん!


「あれ? 狼モドキの名前、狼モドキになってる……まぁいいか」


 リエラさぁぁぁぁぁんっ!!?

 諦めるな。真実を追求してくれ。気になって眠れないよっ!?

 しかし、僕の叫びは誰にも届かなかった……


 結局その謎は謎のまま、コーカサスの森を通ってセルヴァティア王国跡地へと足を踏み入れる。

 クーフを先頭にして僕らは跡地を探索する。

 クーフ曰く王宮内に保管されているはずとのことで、僕らは崩れかけの王宮へと足を踏み入れた。


 天井が所々崩れているので日の光が差し込んでちょっと神秘的だ。

 がれきをかき分け、立ち昇る埃にせき込んで、僕らは王宮の奥に眠る宝物庫へと向った。

 クーフの記憶が確かならこの宝物庫に存在しているらしい。

 けどクーフさん、こっちには水晶勇者の呪いとか、ないよね?


「ここダ」


 目の前に古めかしいながら荘厳な扉があった。

 クーフが馬鹿力を発揮して扉を開く。

 彼曰く、クーフ並みに力が無いと扉が開かないのだとか。彼らが滅んだ今となっては確実に開くことのない開かずの扉になっていたようだ。


 扉が開く。

 目の前に出現するのは理想の黄金郷……ではなかった。

 金銀財宝の類は一切ない。

 宝物庫とは名ばかりの、倉庫でした。


「なぁ、これ宝物庫か?」


「ふむ。なにせ数千年前のものだからな。ああ、思い出した。殆どのモノはそこの柩に入れてあるのだ」


 王宮で日常的に使いそうなモノばかりが置かれた宝物庫の最奥に鎮座する柩が一つ。

 柩内ならば時間が止まるので、必要なモノはこういう風に柩のアイテムボックスに入れているらしい。

 クーフ達の国ではこのアイテムボックスが主流なんだろうな。


 クーフが柩を開く。内部にミイラは入っていなかった。

 ここで王様のミイラ辺りが出て来るかと思ったけど、よく考えればクーフが国王なんだっけ? 出て来る訳がないか。

 柩内をまさぐり、とりあえず楽器を取り出して行くクーフ。


 ハープ、ティンパニ、ビオラ、バイオリン、トライアングル。

 色々な楽器が出て来る。グランドピアノが出現したのにはちょっと驚いた。

 アルセを連れて行って椅子に座らせ、ピアノをピーンと弾いてみると、うん、調律しなくても十分いい音が鳴る。


「これは……なんですか?」


「むぅ? なんだったかな?」


 リエラの質問に首を捻るクーフ。なんだろうかとそちらを見れば、シンバルです。

 折角なのでピアノを適当に叩いて遊んでいたアルセを連れ去ってシンバルを両手に持たせる。

 ジャーンと鳴り響く金属の音。思わず耳を塞ぐカインたちだが、その楽器の使い方は理解したようだ。


「ああ、思い出した。無数の音楽家たちの楽団に一人いたな。やかましい音を鳴らすのだが昔はそれが当然だと思っていたのだ。理由は知らんが立派な楽器だな」


「リエラにはこれがいいんじゃねぇか?」


 と、カインがトライアングルを手にして鳴らしている。


「そんな楽器で演奏会とかしたら末代までの恥ですよ!?」


 リエラが一人舞台でトライアングルをただ鳴らすだけ……貴族たちのブーイングは確実だ。


「あら? ねぇクーフ、ついさっきまでここに黒光りする巨大な楽器なかった?」


「むぅ? そういえばアルセが弾いていた楽器が見当たらんな?」


 あ、御免。ピアノは後でアルセに教えてみようとポシェットにしまっちゃったい。


「まぁ。いいだろう。どうせリエラには過ぎた楽器だ。それより使えるのなら……これはどうだ?」


 バイオリンを手にするクーフ。

 しかしリエラは首を捻る。

 それ、なんですか? そんな顔をしていた。

 クーフも首を捻る。


「はて、これはどうやって音を鳴らすのだったか?」


 どうでもいいけどそのバイオリン、ストラなんとかとかいう有名な奴じゃなかったっけ? いや、よく知らないけどさ。

 というか、弾く奴ないよあの棒みたいなの。


 皆が首を捻るが誰も答えを出せない。

 宮廷楽師の鳴らす楽曲を見ているネッテもこの楽器は知らないようだ。

 一緒に首を捻っていた。


 にしても、どこかに無いのかあの棒みたいな……あ、あった。

 折角なのでアルセに持たせてみました。

 その状態で皆の前に進み出る。


「あらアルセ、何持ってるの?」


「おお、それだ。ソレを使って音を奏でるのだ!」


 思い出したクーフがアルセから受け取り弦を引く。

 物凄い耳障りな音が響いた。

 結論を言おう。クーフに音楽の才能は無い。

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