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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二話 その愚連隊の真の隊長を、彼らは知らない
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そのギルドカードのチートさを彼らは知らない

「それでは、指令が出るまで町から出ないでくださいね皆さん」


「マジかよ!?」


「当然です、まずはどれ程の規模か調べて来ないと。騎士団が出るのでギルドからも幾つかのクランを出して討伐に向います。名のあるクランやパーティーには全て声を掛けますので、カインさんたちもいつでも連絡が付くよう待機しておいてください」


「エルフの森に行こうと思ってたんだが……」


「いいんですよカインさん。私達のことはゆっくりでも、今回のゴブリンに関しては国の危機でしょう?」


「ぶひっ」


 エンリカにバズ・オークが同意する。


「じゃあとりあえず宿を取ってそこの連絡先を伝えておきましょう。その間にこの町で出来る事をしましょうか……さしあたっては、そういえばリエラに依頼があったわよね?」


「あ、そうです。指名依頼が確か」


「はい。届いていますよ。こちらになります」


 コリータさんから渡されたのはアメリスからの指名依頼。詳細はまた彼女の屋敷でということらしい。


「そうね、宿に連絡係がいた方がいいでしょうし、二手に分かれましょうか?」


「それでしたら私とバズさんが残りますよ。二人・・きりで」


「ぶ、ぶひ!?」


「あー、じゃあそれでいいか。他の奴らは行こうぜフィラデルフィラル邸に」


 何かを察したカインが頭を掻きながら告げる。

 そうして踵を返そうとしたところに、コリータが手を叩いて思い出した。


「すいません、アルセちゃんたちのギルドカード出来ていたの忘れていました。どうぞ」


 と、リエラに全員分のカードを手渡す。

 リエラがそれを見て僕の分だけアルセの下に隠してクーフ、バズ・オーク、辰真、ネフティアへと渡して行く。

 そして手元に残った三枚のカード。そのうち一つを僕がポシェットに入れた。


 ソレを確認し、リエラはアルセにカードを渡す。

 受け取ったアルセがカードを上から下からと色々な角度からまじまじ確認し、ネフティアに笑顔で見せる。

 ネフティアも自慢するようにカードをアルセに見せた。

 一瞬後、なぜか踊りだすアルセと奇妙な踊りを始めるネフティア。

 気に入っているらしい。


「最後の一つですが、くずもちのぶんもあるみたい。どうするくずもち?」


 リエラの言葉にうにょんと身体を動かした葛餅はリエラからギルドカードを奪うと、自分の体内にため込んでしまった。

 自分で持っておきたかったようだ。いや、そこまで意志があるかどうかは知らないが。


「まずはカードの認識と書かれている場所に自分の身体の一部を押しつけて」


 ああ、なんか枠があるね。ここに押しつければいいの?

 葛餅でも押しつけるだけなら問題無いというか、既に体内にあるので普通に押しつけられてるようです。早いよ葛餅。

 とりあえずリエラに隠して貰って僕も一部を押しつけて登録完了。

 これでいいのかな? おお、なんか名前とかでてきた。僕は読めるけどこの世界では読めない漢字ででてきてます。


「では、一応ギルドカードに付いて説明しますね。カルエ、説明よろしく」


 と、コリータが呼んだのは、最近受付嬢になったらしい可愛らしい女の子だった。

 ふわふわした印象の少女はやや緊張した面持ちで「ひゃい」と返事をしてこちらに来ると、カウンターから僕らに告げた。


「ぎ、ぎぎぎ、ギルドカーどょのしぇつめいをさささ、させていただきましゅ」


 そこまで告げて、自分が何度も噛んだことに恥ずかしさが押し寄せたらしい。物凄い真っ赤になっていた。なんだろう。こう、がんばれって思わず拳を握ってしまう。


「はい、お客が説明待ってるわよ」


「ひゃいっ!? えっと、その、ギルドカードには皆ひゃんの名前とりゃンク、依頼成功りちゅが表示しゃれまひゅ。そ、しょれで、えっと、あの、……」


「カードの色」


「ギルドカードにはランきゅがありまして、下からこちらの橙、黄、緑、青、紫、赤、白、黒、銀、金、虹、透の順にランクが上がって行きまひゅ」


 随分ランクがあるんだな。初めは橙色なのね。なんかこの色合いは余り好きじゃないな。茶色とかは無いのか。


「ランクを上げる方法は、ギルド依頼、賞金首の討伐、常時依頼、指名依頼、緊急指令依頼をこなす事で上がって行きまふ。これにもランクがありまして、依頼用紙の枠に色が描かれてますのでギルドカードと同系統の色の依頼が適正依頼となりましゅ。もちりょん、実力に自信があれば高ランク依頼を受けりゅこともできまちゅが、失敗しりゅあ痛……すると当然ながらペナルティが発生しまちゅ。また、他者が受けている依頼を故意に妨害したり自分たちで成功させたことを報告しなかったりしゅるとこれもペナルティが発生します。ペナルティにも段階がありまちて、ええと……」


「簡単に言うと、ギルドランクが下がったり、場合によってはギルドのブラックリストに載せられて登録剥奪もあるから気を付けて、まぁ普通にしてればまずペナルティを受けることは無いわ。それと、緊急指令依頼は強制だから。これを断ると冒険者としての登録が一発で剥奪されるから気を付けて」


 コリータさんが適度にフォローしてくれる。

 新人さんがんばって! カシャッ

 いや、だからCG激写、なにやってんの!?


「ギルドカードが破損した場合は再発行に5000ゴス戴くことになっております。他者が使うことは出来ない仕様になっていますので失くしたからと焦る必要はありません。ギルドに失くしたことを伝えてもらえればあとはこちらで手を打ちます。落とした場合や盗難された場合でしたら教えていただければ直ぐに探せますので再発行の必要はないですよ。むしろ何も知らずに盗難すれば捕まるだけですし。個人情報は所有者から離れた場合本人の意志なく他者に見せる事は出来なくなりますし」


 うん、登録できたり、個人情報が漏れなく出来たり、失くしても居場所が分かるGPS機能付きと、なにそのチートカード? よく聞くよねギルドのカードって無駄に高い技術が使われてるって。

 この世界では本当にチートなカードだったようです。その技術、他のことにも応用すればいいのに。

カルエ

  クラス:マイネフラン国ギルド新人受付係

 ・笑顔の素敵な可愛い新人さん。ふわふわした印象と、つっかえつっかえの説明が大人気。

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