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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三部 第一話 その大発生の理由を彼らは知らない
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その一団の強さを魔物は知らない

 数日の準備期間と休息を終えた僕たちは、さっそくバズ・オークの村へと向う事にした。

 こっちの村の道は一度通ったことがあるので出現する魔物についても大体理解している。

 ただ、魔物図鑑に登録がされていないので出会う魔物にいちいち図鑑を使うのが面倒臭い。


 ちなみに、カインが貰った魔物図鑑はネッテが、僕が貰った魔物図鑑はリエラが魔物の登録を行う役を買って出てくれていた。

 リエラが貰ったという事にしておいて、使わない時は僕がポシェットの中に保管することにしている。


 にしても、このポシェットも謎だな。

 どれだけ入るのかわからないし、ああでも、長期保管は出来ない事は理解したよ。

 腐りかけだった果実が腐ってたし。

 アイテムを取り出したらでろんとしてべちゃっと掌に……いやぁぁぁっ。


 ま、まぁちょっとしたトラウマになりつつもポシェットに付いての考察は少しずつ進んでいる。

 この謎を解く日も近そうだ。

 そして新たな謎として、なぜか魔物の死体は保存されてるみたいなんだよね。

 だいぶ前に入れてあった森の人、アンダカギオギオだっけ? あれの遺体が一つ入ってたんだよ。

 出した途端腐敗全くしてなくて新鮮な血液がドクドクと……いぃやぁぁぁぁっ!!?

 どう違うのか分かりません。


「しっかし、このメンツだと移動が楽でいいよな」


 とはカインの言で、呑気に歩きながら周囲の風景を楽しんでいる。


「そうね。いつもの旅なら周囲の風景に魅入る余裕もないもの。索敵はバズ・オークがしてくれてるし、遠距離のエンリカ、近距離はクーフとツッパリ君がいるし。そういえばツッパリ君の名前、結局決まらなかったわね。何かいいのない?」


「そういえば、結構考えたのに決まらなかったですね」


 そりゃそうだよリエラさん。誰がポチとかシロとかクロが名前で喜ぶっていうのさ。ペットに付ける名前じゃないんだ。元総長に相応しい名前付けようよ。サブとか……いや、これはむしろ下っ端系になりそうな。銀次とか、琥龍くりゅうとかいいかも。いや、なんかそれだと極道とかになりそうだから……辰真たつまとかどうでしょう。


「お、オルァ!?」


「どうしたのツッパリさ……ん?」


 僕が名前を考えた瞬間だった。ぱぁっと光り輝く元総長。光は直ぐに収まった。

 けど何が起こったのか理解できずに身体を探る元総長。

 リエラが気付いたのでちょいと魔物図鑑で自分を見てくれ。みたいなジェスチャーをする。


「……あれ? ツッパリさんの名前が決まってる……タツマ?」


 ……ええ――――っ!!?

 また僕が決めてしまったのですか!? 葛餅、辰真なんかごめん。

 皆がなぜ名前が決まったのか分からず首を捻る。

 理解したのはリエラだけだ。

 僕の居る方角を白けた目で射ぬいてくる。

 違うんです。ワザとじゃないんですっ。


「ぶひっ」


「皆さん、何か来ますっ!」


 ピクニック気分だったのが一瞬で引き締まった。

 エンリカが弓を構え、カインが剣を引き抜く。

 バズ・オークがナイトブローバ―を構えると、アルセが踊りだした。

 ……アルセさん、それ応援ですか?


「ギキャッ!」


 現れたのはよくゲームで見かける緑色の子供、ゴブリンである。

 鼻がとても長くブツブツのある気持ち悪い顔で、それが50匹くらいの群れで現れた。


「ゴブリン……ですか?」


「弱い生物だけど数が多いから脅威なの。それに知恵が付くと武器を扱うわ。弓兵に注意して!」


 とネッテが告げるが、今回弓を扱うゴブリンは居ないらしい。よくてぼろぼろのアックスや両手剣だね。それを片手で扱ってるけど。

 鼻が出っ張ってない個体はガタイがいいゴブリンで、そういう奴に限って武装している。


 襲いかかって来るゴブリン。その殆どが素手である。

 対するは辰真。襲ってきたゴブリン向けて素早く踏み込み爆熱アパカ。

 喰らったゴブリンは腹部が焼かれ、倒れた地面でのたうち回る。


 一丸となって固まったカインたちはネッテを中心に円陣を組みゴブリン達に対峙する。

 露払いはクーフ。

 飛びかかるゴブリンを柩で一纏めに屠って行く。


 ドルン、ドルン、ギュイイイイイイイイイイイイイイイイッ。


 そして動き出すネフティア。

 オリハルコンのチェーンソウが唸りを上げる。ブオンと左下から斜め上へと振われる武骨な工具がゴブリン達を切り裂いて行く。スプラッター映画はもうお腹いっぱいです。


「フロ・ストラ!」


 それは氷結魔法の広範囲バージョンだった。

 近づいていたゴブリン達ではなく、少し離れた待機組を一網打尽に凍て付かす。

 今ので30匹は戦闘不能になったようだ。


 バズ・オークがエンリカを庇いながら剣を振る。

 その隙間からエンリカの援護射撃。

 的確に頭を射抜かれて行くゴブリン。

 その連携で即座に五匹のゴブリンが消え去った。


 そして二匹ずつ倒すカインとリエラ……に装備されたミミック・ジュエリー。

 またたく間に五十匹ものゴブリンが蹂躙されました。

 圧倒的ではないか我が軍は。


「リエラ、くずもちに頼りきりになってるぞ」


「す、すいませんカインさん」


「楽なのは分かるがお前自身のレベルアップに繋がらないからな。とにかく次は自力で倒してみせろ」


 リエラは今、カインに剣を習っている。そのせいかカインが戦闘中もリエラに指示出しを行ったりし始めたのだ。

 まぁリエラがしっかり言われた通りにしてるので問題は無さそうだけど、イビリじゃないよね? 辛かったら言ってねリエラ。カインには見えない鉄槌が降るから。

 ゴブリン

  種族:グリーンスキン クラス:下級鬼族ゴブリン

 ・ゲームなどで有名言わずと知れたグリーンスキンの魔物。知能は殆ど無いが人と同じく武器を扱う。学習する魔物であり、長年生きた個体は厄介。

  オーク共々繁殖力が強く女性であれば他種族関係なく襲いかかるエロ魔物として有名である。エルフ族からは特に毛嫌いされている。

  身体の大きさは人間の五、六歳の大きさであり、オスは鼻の長さで階級が決まるらしい。ただメスゴブリンの方が位が高い。

  また、メスのゴブリンの中で一人だけ、ゴブリンマザーへと変化する個体が生まれ、これが生まれるとゴブリンキング発生の予兆であるとされる。

 ドロップアイテム・筋張った肉、棍棒、刺激臭な腰布、ゴブリンの鼻


 ゴブリンソルジャー

  種族:グリーンスキン クラス:下級鬼族ゴブリン

 ・剣の扱いを始めたゴブリンたち。

  その膂力から繰り出される剣は強力で、下手な剣士より強い。

  基本的に馬鹿なのでやり方によっては同士討ちさせることが容易い。

 ドロップアイテム・筋張った肉、剣、刺激臭な腰布、ゴブリンの鼻


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