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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三部 第一話 その大発生の理由を彼らは知らない
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そのお嬢様の依頼を逃れる術を彼女は知らない

「あの、助かりました」


「いいのですわ。あの方自尊心が強過ぎて周囲の貴族仲間からも煙たがられておりますの。でも権力には弱いですからダンデライオン家の名を出せば一発ですわ」


 どうやらダンデライオン家というのはこの国の貴族でも高位の存在だそうだ。

 でも残念だったね。僕らの知り合いには第三王女、王族がいるんだぞ。貴族より高位なのだよチミ!

 つまり、リエラにいちゃもん付けてたら彼女の方がぎゃふんと言わされていたのである。

 結果的に、アメリスが助けたのはフィオリエーラの方だったのかもしれない。


「でも、丁度良かったわ。冒険者さん」


「はい?」


「指名依頼を出させていただきますわ。あなた、二週間後に控えた演奏会に私の代理ででなさい」


「……え? ええ!?」


「拒否などしませんわよね? 期待しておりますわ。何せ、あなたを私が助けたのですもの、なぁにちゃんと報酬はだしますわ。よろしくお願いしますわね。ちゃんとギルドに振り込んでおくから後で確認してくださいまし」


 言いたい事だけ告げたアメリスはほーっほっほと高笑いしながら去って行く。

 リエラがぎゃふんと言わされました。

 うん、貴族の生活は僕には向きそうにないや。

 アメリスがとても腹黒い存在に見えます。


「……えーっと、今の、指名依頼ですよね。受けなきゃ……ダメですか?」


 頑張れリエラ。きっと指名されたのは目の前にたまたま居たからだと思うけど。

 しかし、演奏会か……楽器、何か出来るのリエラさん? 僕は昔ピアノ習ったけどそれだけだよ。


「ど、どうしよう透明人間さん、わ、私音楽とか全く……」


 凄い動揺しているリエラ。なんか可哀想になって来る。

 なので前面から両肩をぽんぽんと叩いておく。

 意味は分かっていないようだが、あれだよ。頑張れ!

 見えないだろうけどいい笑顔でグッドマークを作っておいた。


 結局、リエラは何の考えも浮かばず宿へと帰還した。むぅ、折角のデートが殆ど何の進展もなく終わってしまった。

 フィオリエーラ、次に会ったら許すまじ。

 いや、まぁデートって感じにすらなって無かったし姿の見えない僕のことなんて何とも思ってないだろうけどさ。


 こうなったらもう一度あのスイカを揉んでくれるっ。

 それしかない。そうしよう。

 そうだ。僕はどうせ誰にも見えない存在なんだから、もっと自由に生きていいと思うんだ!

 帰ったらやりたい事を考えてみよう。そして実行するんだ。

 ふふ、ふふふふふ……


「透明人間さん、そういえばあの貴族の女の人に何したんですか……」


 冷めた視線で射ぬかれた僕は思わず土下座してました。

 ち、違うんです。あの胸がいかんのです。男としてなんかもう掴むしかないと思える魔性の胸がいかんのですっ。

 僕のせいじゃない! ……はい。すいませんっしたっ!! リエラさんの胸が一番ですっ!!


「な、なんかよく分かりませんが、む、胸に視線を感じる気がします」


 と、不条理な理由で警戒される僕でした。

 やっぱり自分の特性を利用してエッチなことをするのは自重しとこう。

 せっかく認識してくれたリエラに嫌われたくないし。


「お、リエラお帰り、随分長かったな」


 宿を取っていた場所へと戻り、部屋に入ると、カインがよぉと手を上げる。

 ネッテはアルセとネフティアの踊りを見ながら手拍子していた。

 クーフが居ないのはまた魔物を捌いているからのようだ。彼は武器屋に入り浸っている。

 ある意味引き籠りである。


 バルスとユイアは別の宿を取っているので別れたようだ。エンリカがいないのは向こうで別れのあいさつでもしてるのかな?

 ただ、元総長とバズ・オークがなんか殺気立つというか、周囲や窓をしきりに警戒している。


「カインさんネッテさんただいま帰りました……ってどうしたんですか? バズ・オークさんとツッパリさんが妙に殺気立ってる?」


「ああ、帰り道で襲撃されてな。まぁ雑魚い奴だったから楽に倒せたんだが……」


「ほら、前にも一度変な相手に絡まれたでしょ? 私達の誰かが狙われてるんじゃないかって」


 襲撃者、そう言えば女性だけで甘味処向った時に変な奴いたな。

 一度なら盗賊とかそんな感じだと思うのだそうだが、二度も同じようなことがあるとなると襲撃者は何らかの目的を持って僕らに近づいていることは確定らしい。


「なんにせよ、リエラも気を付けろよ。ただでさえ俺らは魔物使いとか言われて注目されてんだからな」


「は、はい」


「さて、そんじゃそろそろこれからの方針でも決めるか」


「まずはエンリカとバズ・オークの村に行かないとね。バズ・オークの村の方が近いし、そっち行ってエンリカの里帰りに付き合うのがいいわね」


「えーっと、その、私、二週間後に、その、アメリスさんの代行を依頼されまして……」


 リエラが申し訳なさそうに告げる。

 どうやらバズ・オークの里帰り、エンリカの里帰りの後に演奏会というリエラにとっての悪夢が待っているようだ。リエラそれまでに演奏大丈夫か?

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