表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三部 第一話 その大発生の理由を彼らは知らない
134/1818

そのアイテムの危険さを僕は知りたくなかった

「まぁ、本人しか見られない画像というのであれば私も見れませんし、どんな画像があるのかも分かりませんからなんとも言えませんけど、変な画像は撮っちゃダメですよっ」


 リエラ先生に釘刺されました。

 違うんだ。僕はやってない。リエラが思うようなことはしてませんよ。

 そんなえっちぃ画像は撮ってないんだよぉっ。


「まぁ、いいじゃないですか。どんな画像を撮ったかはわかりませんけど、彼も男ということですよ」


 コラそこ、余計なこと言うなっ。僕は無実だっ。


「それよりですね、手に入れたアイテム、あるんでしょ。変わったアイテムとかありますか?」


 オイコラ。話聞けよ。聞こえないだろうけどさ。

 えーっとアイテム? 何があったかな。えっと、死体が幾つか入ってるけど……

 まず取り出したのはクリオネモドキの死体。

 突然出現した死体に仰け反るコリータとリエラ。

 ひっとか声がでてた。何かゴメン。


「し、死体ごと持って来たんですか!?」


「す、凄い。こんな魔物初めて見たわ。えっと、クリオイーター? 種族は貝なの!? 裸空貝なんて新種よ新種! アイテムとして使えそうなのは……触手部分と肉も食用にできるのね。それと……エンゲージリング?」


「えんげ……なんですかそれ?」


 クリオイーターを前にして唸りだす二人の少女。ちょっと、この死体なんかでろんとしだしてるんですけど、溶けてないですか?


「とりあえずリングはこれかしら? うん、これね。悪いけどこの死体しまってくれる? あとで触手と肉を持って来てくれれば買い取れるよう部位買い取りの報告を全ギルドに通達しておくわ」


 と、いいつつ、コリータさんは手に持ったエンゲージリングを鑑定する。

 初めは感心する様子だったものの、だんだん険しい表情になりだした。

 慎重にクリオイーターが無くなったテーブルに置いて息を吐く。

 クリオイーター? 言われた通りにしましましたがな。


「これはチャームエンゲージリング。嵌めた相手は嵌められた相手に魅了されるそうよ。つまり誓いの指輪というよりは奴隷契約の指輪みたいなものね。一生その人に全てを捧げさせるリング。といったところかしら」


 ものっすごい危険な指輪っ!? というか、これを綺麗な女性に嵌めてしまえば……ふふ、ふふふっ!

 僕は即座にポシェットにしまおうとした。

 が、テーブルにあったエンゲージリングがポシェットに入る前に強奪される。

 強奪したのはリエラだ。

 奪われないようにしっかりと持って僕を睨む。


「ダメですっ! あなたにこれを持たせるのは危険な気がするのでクーフさんの柩に入れて貰って肥やしにしてもらいます!」


 いぃやぁぁぁぁぁっ!!?

 僕の、折角できるかもしれなかった僕の彼女がぁぁぁぁっ!!?

 嫌だぁ。エロ豚になるんだ。リア充になるんだ。オークなんぞに負けてられるかぁっ。


「あ、ちょっと、ダメですって。奪おうとしないでくださいっ。だめぇ――――っ」


 リエラさんが物凄く嫌がります。どうしたらいいですか。

 そんな僕に立ちあがったコリータさんがベシッと首筋にチョップ。

 いい角度で入った僕は崩れ落ちた。地味に痛い……


「アホなことやってないで次のアイテムお願い。そういう痴話喧嘩は余所でやってくれる?」


 おのれコリータ。この指輪嵌めてくれようかっ。

 物凄い研究材料にされそうだからやらんけど。僕はバズ・オークみたいに人生の墓場に行く気はまだないっ。

 ということで、不承不承僕は次の得物を取り出した。


「これはまた……スコーピードッグね」


 テーブルに現れたのは犬と蠍に別れた魔物。スコーピードッグというそうだ。


「ふむふむ。ドロップアイテムは蠍犬の尻尾、犬肉、鋏、馬鹿には見えない毒薬と。この毒薬ってなにかしら?」


 あれか? 犬の背中に瓶詰めの液体が入ってます。気持ち悪い。


「これの価値としてはこの国では尻尾と鋏ね。犬肉は需要が無いし。別の町なら食材にされてるでしょうけど、この近辺では取り扱いが無いので捨てて問題はないわ。あとこの毒薬だけど……」


「その、毒薬って、どこにあるんですか?」


 ??? ……リエラ、さん?

 コリータが取り出して目の前に持って来ていた毒薬らしきモノを、リエラは見えていないらしかった。

 まさかリエラがそうだったなんて……


「ふむ……どうやら知力が一定値以下だと見えないようね。これは暗殺者どもが欲しがりそうだわ」


 僕たちはリエラを可哀想な目で見つめた後、馬鹿には見えない毒薬を僕のポシェットにしまう事にした。

 リエラ……馬鹿、だったんだね……なんか、ごめん。


 そして次はマミィさんの私物です。彼女、イクシスというらしい。

 柩はクーフが柩にしまっているので手に入らないが、ドロップアイテムは古代人の柩、包帯、クリスタルソード、イクシスの日記。どうも体内にクリスタルソードを持っていたらしい。包帯は臭い。数千年前のものだからぼろぼろだ。


 そしてイクシスの日記、その内容は……水晶勇者に懸想する女の日記帳だった。最後の方は物凄いヤンデレ化していたのでデスノートといっても過言ではない。

 この日記見ただけで呪われそうだ。

 あ、ちなみにクーフというかソウタも出て来ていたが、どうも殆ど認識はされていなかったようです。エンリカの上位互換版という奴だろう。恐ろしい敵だった。


 最後から数ページ目を少しだけ紹介しよう。


 ――勇者様が好きです勇者様が好きです勇者様が好きです勇者様が好きです勇者様が好きです勇者様が好きです勇者様が好きです勇者様が好きです勇者様が好きです勇者様が好きです勇者様が好きです勇者様が好きです勇者様が好きです勇者様が好きです勇者様が好きですなぜ私の愛に気付いてくれないの? 恨めしい恨めしい恨めしい恨めしい恨めしい恨めしい恨めしいこうなったら来世では一緒になろう。そうだ、一緒に死のう、死んでくれますよね勇者様。そうだ一緒に死のう、死にましょう勇者様死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死――


 うん、病み過ぎです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ