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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三部 第一話 その大発生の理由を彼らは知らない
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その二人に横のつながりがあるのを誰も知らなかった

本日から数日は現在パーティーを組んでるカインたちのステータスと主人公のアイテム整理をお送りします。

「そろったわね」


 水晶勇者の墓探索という冒険から戻った僕らは、ギルドに着くなりギルドの職員コリータさんに呼ばれ、個室に全員集合させられていた。

 どうやら前回までのいろいろな功績とかで僕らがまた未知の何かに会ってるんじゃないかと個人的にいろいろ聞きたいそうだ。


 そんな彼女とギルドマスターのニコラウスさんがソファに腰掛け、羊皮紙を何枚か広げている。

 ここでの証言が外部に漏れることはないが、一応証拠としての文章は残したいのだとか。

 書記係はなぜかここに居るミクロンだった。どうも変態同士のコミュニティーというべきか、ミクロンとコリータさんはみつな連絡を取り合う仲らしい。


 会うなりなぜ私を冒険に連れて行ってくれなかったのですかっ!? とかミクロンが食ってかかってきたが、ネッテが苦笑いで対応していた。

 それを放置してニコラウスさんが対面のソファに皆が座るように促してくる。

 ああコラ、アルセ、ニコラウスさんの膝元に行かない。

 あ、でもニコラウスさん全然嫌そうじゃないな。カイゼル髭引っ張られてますよ?


 ソファにはカイン、リエラ、ユイア、バルスが座り、その横にはバズ・オークがエンリカを座らせて彼女の背後に立っていた。

 くっそ、このエロ豚無駄に紳士だし。

 エンリカをわざわざ座らせて自分は立つとか、五人掛けのソファだから仕方ないけどさ。


 リエラの頭にはミミック・ジュエリーの葛餅。ちなみにこの葛餅は僕が命名してるだけだ。元番長もそろそろ名前考えた方がいいかな?

 まぁいいや。そのリエラの膝元に、元ミイラ少女が座っている。

 ちょこんとリエラに座っている少女はまるで抱き枕兼お人形といった状態だ。微動だにすらしていない。


 バズ・オークの横にはクーフと元番長。

 そして皆には見えてないけど僕がカインの背後に立っている。

 僕は一応このパーティーに所属してるつもりなんだけど、リエラくらいしかまともに気付いてくれてないからなぁ。

 認識してくれてるのはアルセと元ミイラ少女もだし、バズ・オークはなんとなくもう一人いると気付いている様子を時折みせてくれるけど。基本空気みたいな存在です。なにせ認識されてない存在ですから。


「とりあえず、今回の冒険で手に入れた情報を教えてくれるかね。どうせギルドに報告するつもりだったのだろうし。特別ボーナスを出そう」


「珍しいな。ギルドがわざわざ一冒険者を優遇しだすなんて」


「期待しているのだよカイン君。調べさせて貰ったが、君は実力で勇者の称号を買ったそうじゃないか。そこまでお金を溜めるのは大変だっただろう。そんなベテラン冒険者が突然魔物をテイムし始め、さらに強力なツッパリまでも仲間に加えている。注目するなという方がおかしいさ」


 いやいや、勇者の称号金で買った以降はただの偶然です。


「まぁ、ミクロンさんと話した結果、皆さんの経験やステータスをここで公開して今後の資料作成に役立てようということになりまして、今までの冒険を教えて下さいな。その後は私が皆さんのステータスを書き出します。魔物だけでいいんですけど、折角ですし皆さんの今のステータスも把握しておいた方が戦術とか立てやすいんじゃないかと思いまして」


「まぁ、別にいいけど、今までの冒険ってどのあたりからを言ってんだ?」


「そうですねぇ、出生からの調べはこちらで調べましたし、勇者になったりしたところまでの武勇は余り他の冒険者と変わりませんでしたから、変化が起きたところからですかね。このパーティーが増えた切っ掛けとかわかります?」


 コリータの言葉にカインとネッテは顔を見合わせ、直ぐに一人の少女に視線を向ける。


「やっぱ、アルセと出会ってからだよな」


「そうね。あの出会いが無ければ今はなかったかしら。といっても一カ月と経ってないんだけど」


 当時を懐かしむように視線を虚空に向けるカインとネッテ。

 彼らが初めアルセに出会ったのは、普通に冒険者と魔物という間柄だった。


「アルセとは近くの森に冒険に来た時に出会ったのよ」


「いつも通りアルセイデスを倒そうとしたら、いきなり飛んで逃げだしてな。あの時は心底驚いたぜ。アルセイデスって飛行能力あったか!? ってな」


「それで逃げた先にはリエラが魔物に殺されそうになってて、アルセが体当たりで助けたのよね」


 ネッテの言葉に思い出したのか、リエラがちょっと恥ずかしそうになっている。

 未だに新人ではあるが、リエラの実力はあの頃に比べると上がっているはずだ。主に武器の充実で。


 それから、彼らは今までの冒険譚を話しだした。

 アルセ達が出会い、バズ・オーク討伐に出掛け、豚人族と人類のかけ橋を作った。

 にっちゃう探しを行い、気付いたらアンブロシアツリーと闘い、アルセが四つ葉になった。


 ミクロンの勘違いで僕が書いた【かいんのばーか】という文字が河の地形と同じだとかいう理由で意味の無い冒険が始まり、ミミック・ジュエリーをアルセが捕獲。

 柩を飲み込んだ蛇を倒したらクーフと知り合って、アルセがツッパリとガンつけ勝負で圧勝して、にっちゃう探しが再び起こって皆散り散り、アルセの頭上にある葉っぱが光り出したのもその頃だ。

 バルス、ユイア、エンリカに会ったのもその頃で、エンリカが初恋からバズ・オークと婚約したのもその頃だ。


 合流できたと思えばカインが葉っぱ人間の集落で火あぶりにされかけていたし、ツッパリたちのお礼参りでアルセが元番長を撃退し、その後に仲間にしたり、クーフの居た場所を探して水晶勇者の墓を探索し、元ミイラ少女が付いてきた。

 そして帰ろうとした矢先にツッパリとスマッシュクラッシャーの縄張り争いに巻き込まれたのである。


 ここ数日、本当に密のある冒険だった。

 よく生き残ったと本当に思うよ。

 僕も普通に魔物倒しちゃってたし、アレ? ミイラって魔族になるのかな?

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