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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第五話 その逆鱗の理由を奴は知らない
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その進化が魔王であることを、彼自身は知らない

「ドラァッ」


 唸りを上げるリーゼント。撥ね飛ばされる巨大ハンマー。

 打ち込まれる拳は余りに重く、スマッシュクラッシャーリーダーの身体がくの字に折れ曲がる。


「キュブッ」


「ダラァッ!!」


 追撃の回し蹴り。

 なんとかハンマーの柄で受けるスマッシュクラッシャーリーダー。

 でも受け切ることなど出来ず蹴り飛ばされ、地面を滑走する。

 なんて威力。先程まで同等程度の力だったスマッシュクラッシャーリーダーが全く相手になってない。


 しかもキレてるからか容赦がない。

 滑走するスマッシュクラッシャーに走って追い突き、蹴り上げからの飛び上がって追い付き両手を組んで真上から真下への打ち下ろし。

 地面に叩きつけられたスマッシュクラッシャーリーダーが跳ねあがった瞬間、真上から総長の膝蹴りが追突した。


 あれは痛い。というか、この技も似たようなの見た気がするぞ。メテオなスマッシュじゃなかったか? ああでも、最後の膝蹴りはなかったか。

 って、違う、あいつまだ続ける気だ!?


 既に死に体のスマッシュクラッシャーリーダーの胸倉を掴みあげる総長。

 ばっと真上に軽く放り投げ、力を込めた右拳を構えて腰を沈める。

 落下してくる獲物に向い、渾身のアッパーカット。

 インパクトの瞬間、スマッシュクラッシャーリーダーの身体が赤く灼熱した。


 高速で打ち上げられるかと思われたスマッシュクラッシャーリーダー。なぜか空間に縫いつけられたかのように拳を打ち込まれた状態で宙に浮かんでいる。

 もう、トドメは刺したとばかりに背後を振り向く総長。

 彼が背中を向けた一瞬後、赤い花火が咲き誇った。

 ば、爆殺アッパーカットだ……


 爆風が特攻服を揺らす。

 弾け飛んだスマッシュクラッシャーリーダーはもう、生還は不可能で、これを見たスマッシュクラッシャーの生き残りは慌てたように逃げ出していた。

 後に残ったのは周囲の木々や茂みに飛び散ったスマッシュクラッシャーリーダーだったものとか、キューキューもがくこかされたスマッシュクラッシャーたちである。


 ツッパリたちの、いや、総長の完全勝利だった。

 リーダーが死んだので多分スマッシュクラッシャーたちが反乱してくる事はもうないだろう。彼らの支配域もかなり削られるようだ。


 総長が歩いて皆のもとへとやって来ると、喜びながら彼の周りに集まり始めるツッパリたち。

 回復魔弾で復活した現番長もリエラに肩を貸されて立ち上がっていた。

 それに気付いた総長が「オルァっ!?」と驚いた顔をする。

 まるで、お前生きてたのか!? と驚いているようだ。


「ダラァッ」


 勝手に殺すなタコ! とばかりに現番長が自力で歩きだすと、総長の肩に手を置いた。


「オルァ」


 やったな。


「オルァ」


 ああ。これで義理は果たしたぞ。


「オルァ?」


 やはり、行っちまうのか?


「オルァ!」


 ここのリーダーはお前だ。俺は助っ人に来ただけ、後はお前がどうにかしてみせろ番長!


「オルァ……」


 少し不安そうに声をだす現番長に、総長はふっと微笑む。

 まるで、お前なら十分務まるよ。そう告げているようだった。

 肩から手を離した現番長の肩を叩いて歩きだす総長。

 彼はツッパリたちの人垣をかき分けると、少し離れた場所にいたカインたちのもとへとやってきた。


「オルァ!」


「ぶひっ!?」


「え、えっと、改めてお願いします? みたいなこと言ってますけど、このツッパリさん、仲間としてまだ付いてきたいみたいです。どうします?」


「え? ああ、えっと……お前がいいなら、よ、よろしく?」


 カインが思わず手を差し出すと、総長はそれを軽く握った。

 総長が改めて仲間になった。

 すげぇやカイン。魔王を仲間にしちまったぞ!?


 先程の闘いを見せられた上にクーフから魔王どうこうと言われていたせいかカインがちょっと恐縮している。

 他のメンバーもちょっとぎこちない。

 全く変わらないのはアルセと元ミイラ少女だけである。


「オルァ!」


 と、何を思ったかアルセに近づいた総長はアルセの顔に自分の顔を寄せると、思い切り睨みつけた。

 あいつ、まだ諦めてなかったのか!?

 威嚇を始めた総長。しかしアルセは笑顔を絶やさない。

 それを見てしまったリエラとユイア、ネッテまでもが腰が抜けたようにその場に座り込んだ。

 総長と化したツッパリのメンチはそれ程に恐ろしい様だ。


 アルセ負けるなーッ。というか地味にその背後に無表情の元ミイラ少女がいるのがなんともいえない。

 バルスが剣を地面に突き刺し倒れるのを防いでいる。

 歯が物凄い速度でガチガチなってますけど大丈夫か?

 ここには下着を洗うような場所はないぞバルス君。


「く、クーフ、アレ、仲間になったんだよな?」


「う、うむ。そのはずだが、おそらく強くなった今の自分ならアルセも倒せるんじゃないかと確かめているのやもしれん」


「それでも笑顔のアルセはバケモンだよ。あいつ魔王相手に一歩も引かねぇし……」


 カインもクーフも膝が震えている。

 それ程に総長の威嚇は高威力なのだろう。

 そんな魔王様はアルセの笑顔を取り去るべく更なる一撃を放つ。


「ドルァァァァ――――ッ!!!」


 魔王の咆哮。

 その一撃で、バルス君が決壊した。小ではなく大の方でした。可哀想に。

 しかし、皆それに気付けない程に震えている。

 というか、ツッパリやレディースたちも膝を突いている。


 立っているのは現番長とスケ番、あとはクーフとカインだけである。

 いや、対象となってるアルセと元ミイラ少女はどこ吹く風だけどね。

 僕? 当然、財布を差し出して土下座中です。

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