表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第五話 その逆鱗の理由を奴は知らない
123/1818

そのポンパドールの堅さを、僕らは知らない

「オルァッ!!」


 スイングを行いだしたスマッシュクラッシャー。

 慌てて柩に隠れるツッパリとレディース。

 一斉に飛び交う無数のハンマーがツッパリたちに襲い掛かる。


 柩に物凄い衝撃。

 思わず数cmセンチ下がる柩を支えるツッパリたちが声を荒げて耐えきる。

 柩の防御陣からはみ出ているツッパリたちは数人単位で固まり、先頭の一人が果敢にもハンマーを受け止める。

 それを無数のツッパリが支える。

 まさに漢だ。まさか真正面から敵の狙撃を受け止めるとか。

 これがツッパリが提唱していた作戦か。


「ドラァ!!」


 っしゃ、負傷者は下がれ! 次の奴前へ! テメェらの男気見せてみろ!


「キュー!」


 第三陣前へ! 相手を休ませるな!!


「ウラァッ!!」


 第三陣のスマッシュクラッシャーが茂みから歩み出たその刹那、その左右の森から飛び出すレディースリーダー。手短にいたスマッシュクラッシャーの足元をチェーンウィップで薙ぎ払う。

 倒れたスマッシュクラッシャーが自身のハンマーに押し倒されてキューキューともがき始めた。

 引き連れたレディースとツッパリに指示を与えてスマッシュクラッシャー第三陣を転ばせて行く。


 ツッパリの一人のリーゼントがバチバチと放電を始めた。

 レディースの一人に振り下ろされようとしたハンマーにそのツッパリが頭突き。いや、ハンマーとリーゼントがかち合った。


「ドラァァァァッ」


 唸れ、俺のリーゼントォォォッ!! とばかりの咆哮と共に放電するリーゼントがハンマーを押し返す。

 何アレ、怖い。

 ツッパリがハンマーを相手取る隙を狙い、レディースの一人がヨーヨーみたいな何かを取り出しスマッシュクラッシャーに投げる。

 顔面に衝撃を貰ったスマッシュクラッシャーが仰け反り、ツッパリが圧し勝った。


 そのままツッパリはスマッシュクラッシャーにリーゼントを押し当て感電させながらもその身体を跳ね上げる。

 その姿、まさにカブトムシがクワガタを持ち上げるような綺麗なすくい投げでした。

 地面に転がったスマッシュクラッシャーは感電しながらもキューキューとジタバタし始める。

 しかしハンマーの重みで地面に縫い付けられて動けなくなっていた。


 他のスマッシュクラッシャーも同様だ。

 その殆どが倒されると同時に自分のハンマーに動きを遮られて戦闘不能に陥っていた。

 逃れられたスマッシュクラッシャーも武器を手放したせいで周囲のツッパリやレディースのいいカモにされていた。


 一部ツッパリなどは身動きとれないスマッシュクラッシャーの真横にウ○コ座りして顔を覗きこみながら「オルァ、ドルァ」といい気味だな。みたいなことをしている。心が狭いなあいつら。

 この状況に驚いたのはスマッシュクラッシャーリーダー。

 キュキュッ!? と焦った顔をしながら周囲を見回している。


 おそらく、真正面からぶつかれば双方の被害はさらに拡大していただろうし、数の多いスマッシュクラッシャーが押し勝てていたはずだ。

 だが、既に彼の近くには仲間は居らず、後方に待機させていたスマッシュクラッシャーたちもその殆どが無力化されていた。


 ジタバタもがきながらキューキュー鳴くので凄くうるさくなってます。

 一面ハンマーに身体を縫いとめられたスマッシュクラッシャー畑と化している。

 ちょっと、可愛い気がするのは気のせいか?


「オルァ?」


「……キュー」


 よぉ、どうする大将? そんな言葉を吐く番長に、スマッシュクラッシャーリーダーは溜息を吐いて背負っていたハンマーを構えた。

 そのハンマーは他のスマッシュクラッシャーとは比べ物にならないほどに、大きい。

 おそらく番長といえどもアレの直撃を喰らえば即死は免れないだろう。


「キューッ!!」


「ゴルァッ」


 気合いと共に短い脚を必死に動かし走り出すスマッシュクラッシャーリーダー。

 迎撃体勢を取る番長。掛かって来いやとばかりに気合いを入れる。

 大将同士の闘いが始まった。

 が、どうやらリーチの差が如実に出ているらしい。


 振り被りからの横薙ぎに放たれたハンマーを飛び退いて躱す番長。

 しかし反撃が行えない。

 右から左に流れたハンマーの隙を縫って踏みこもうとした番長に、返しのハンマーが襲いかかる。

 慌ててさらに飛び退く番長。


 前に踏み出しハンマーを振うスマッシュクラッシャーリーダー。その速度はあまりに速く隙がない。

 もしも他のツッパリも共に闘っていればあるいは倒せたやもしれない。

 でも、大将同士の一対一タイマンに手を出そうなんて無粋な奴はツッパリたちには居なかった。


 皆固唾を飲んで番長の闘いを見ている。

 重量級の素早い相手にどう闘うか。番長。僕らも応援しているよ!

 アルセと元ミイラ少女が踊っているのは応援かな? あの奇妙な動きは見ていて萎えるけど。首だけ奇妙に動いたりしてるし。あの動きは鶴の舞いか? 首だけ一人チューチュート○インみたいに動いてやがる。


「ダラァッ!!」


「キューッ!!」


 このままじゃ千日手だと、気合いを入れた番長。

 まさかの特攻です。

 リーゼントがバチバチと放電を始める。

 唸れ、俺のリーゼント! とばかりに突撃する番長。

 何か来ると横薙ぎを止めて振り上げたスマッシュクラッシャーリーダー。


 振り下ろされたハンマーと振り上げられたリーゼントが火花を散らして接触した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ