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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その遺跡の秘宝が何だったのかを彼らは知らない
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そのお約束の結末を彼らは知らない

 薄暗い。ひんやりしている。

 それが遺跡に入った僕の感想だ。

 別に光の類は全くないのだけど、内部構造が少しだけ見える。

 どうも建物内部全体が光を発しているようなのだ。


 昼夜灯いらずというところだろう。

 ダンジョン探索としては松明片手にしなくていいぶん楽ではある。

 そんな遺跡ですが、中はかなり広い。

 横幅は八人くらいが横に並べるスペースを有し、天井は三メートルくらいある。


 今は朝方のせいか光が差し込んでいるので遺跡の内部まで見通せるのだけど、なんか厳かな感じがするなぁ。

 でも、僕の知ってるピラミッドとはかなり違う。

 ファラオ像みたいな巨大像が幾つも立ち並ぶ坑道を進むと、神殿のように壇上になっている上部にクーフが持っている柩と同じモノが置かれていた。


「この辺りからクーフは持って来られたのかしら?」


「違うな。これはフェイクだ」


「フェイク?」


「うむ。呪いが詰まっているだけの柩だな。開けたモノに不幸が降りかかるだろう。開けるか?」


 皆が首を左右に振った。

 というか、どこのパンドラの箱? 希望は詰まってないですか?

 とりあえず、この柩は放置の方向で。


 その背後の方にかなり小さな坑道があったのでそちらに向う。

 どうもここからが本番の様だ。

 外からの光も差し込まなくなったようでアルセが震えだす。が、突如淡く発光する葉っぱ。

 アルセが自家発電を始めたらしく、以後普通に歩きだした。


 先程と違い人一人が通れる狭い通路が続く。

 大人数な僕らはクーフを筆頭にアタッカーを手前に、フォロー要員の魔術師は後方に、そして一番後ろはリエラとアルセ、そして僕。

 バズ・オークをバックアタック用にしようという案もあったが、後方から来るような場所があった時、つまり分かれ道が存在した時にということで、一本道の今は後ろからの遭遇は想定せずに進むことにしたらしい。


 しばらくすると、少し広い部屋に出る。

 全員が部屋に辿りついて周囲を見回していると、突如背後の通路に隔壁が落下して来た。


「罠ッ!? マズいっ」


 思わず天井を見るネッテとカイン。

 が、彼らの心配は斜め右に外れていた。

 対面の壁が上がって行く。

 どうやらそちらも隔壁だったようで、新たな通路からのっそりと出現してくる一体の……蛇。


「こいつは……」


「やっぱりこいつがここにいるってことは、この場所にクーフが居たってことは確定ね」


 そこに姿を現したのは巨大な蛇。あのクーフが入っていた柩を飲み込んでいた蛇と同じ柄の蛇だ。

 当然ながら身体はスマートである。

 柩飲み込んで膨らんでたりはしていない。

 ついでに言えば獲物を見付けて獰猛に舌を吐きだしている。

 そいつが部屋に入り込むと同時に隔壁が閉じた。


「ふむ。どうやら部屋が存在するとそこには敵がいるらしいな。これを倒して先に進めということだろう」


「オルァ!」


「ブヒッ」


「というか、敵は一体だけですよね。過剰戦力のような……」


 やる気を見せる元番長とバズ・オーク。ソレを見たエンリカが気の毒そうに呟いていた。

 まぁ、当然だよね。

 なにせ、走り出した元番長が眼光で動きを止め、拳を叩きこみ、怯んだ蛇にナイトブローバ―が突き刺さる。

 トドメはクーフの柩を真正面から打ち下ろされての頭蓋骨陥没死。

 あまりに可哀想過ぎます。とりあえず両手を合わせておこう。南無ー。


 敵が倒れると開かれる隔壁。しかし僕らが入ってきた方の隔壁は開いていない。

 僕たちは警戒しながらもクーフの柩兼アイテムボックスに蛇の死骸を突っ込み開かれた通路へと歩き出した。

 またもしばらく狭い通路が続く。

 そして、居たよ蛇。

 この狭い通路を狭そうにのたうっております。邪魔過ぎる。


 先頭のクーフは長身な上に武器が武器なので蛇を相手に攻撃が出来ない。

 ソレを察した元番長がクーフの背後から前へと躍り出て闘い始めた。

 狭い通路で肉体武闘。しかし元番長の強さはもはや蛇を相手に全く引けを取らない。

 ばかりか拳一つで圧倒している。


「オルァッ!」


 トドメの一撃が蛇の眉間に突き刺さった。

 力尽きた蛇にカインが渡したアルセソードで元番長が確実なトドメを加え、邪魔な死体をクーフの柩に収納して再び行軍を開始する。


 そして、二つ目の部屋に辿りついた。

 そこには先程と違いクーフの柩のような物が設置されている。

 そして再び辿ってきた通路が閉まる。


「ふむ。もしかするとだが、先程の部屋が我の居た部屋だったのだろうか?」


「あそこにはこの柩ありませんでしたしね。中身入ってるのかしら?」


「というか、そろそろ敵が来るんだが、余裕だなお前ら」


「あら。蛇だけだったらツッパリとバズ・オークで十分でしょ?」


 と、柩を調べ始めるネッテとクーフ。

 その背後では二体現れた大蛇相手にバズ・オークとエンリカ、元番長とバルスとユイアが共同で戦っていた。

 リエラ? 一番後方だったせいで戦闘に参加することすらできなかったよ。

 僕の目の前でいいのかなぁ? といった表情で戸惑い浮かべていますよリエラさ……あ、アルセさん? 何をしてるので?


 アルセが壁の一角に手をおこうとしているのに気付いた僕はリエラに知らせる。

 気付いたリエラと僕で慌ててアルセを止めようとするが、彼女の手は無情にも壁に付けられた。

 そして、運悪くそこに存在した罠のスイッチが作動する。ガコンッとアルセの手が壁に沈み込みしっかりとスイッチが押されていた。

 笑顔のアルセ、リエラ、そして僕を道連れに、僕らの地面が消え去った。

 お約束に嵌るのカインじゃなかった―――――っ!!?


 あ、アルセェェェェェェェェ――――!?

ル―インイーター(再出)

  種族:蛇 クラス:ル―インイーター

 ・古代遺跡に生息する巨大蛇。主食は主に人や他の魔物。狭苦しい通路に数百体と生息している。発情期には広い部屋で蛇玉として存在し、モンスターボックスでは最難関の一つとして冒険者に恐れられている。

 なぜ毒消し草を持っているのかは今のところ分かっていない。

 ドロップアイテム・蛇肉、蛇皮、毒牙、呪いの眼球、毒消し草

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