反撃への一手目
「状況を整理しよう」
夕食後客室に戻って一服をしている最中。太一はそう切り出した。
あの後もずっと考えていた。待っているのがベストなのか。ベストを導き出せないとしてもベターな結果に近づけるにはどうするべきか。
様々なシミュレーションや推理をしたかった。凛とミューラに比べれば頭が良くないのは分かっている。しかし、無理だった。
結論を出すことが、ではない。
シミュレーションそのものが、だ。
何せ情報が足りなさすぎる。このままでは、「俺の頭じゃ答えが出ない」という結論さえも出せなかった。
鍋があっても材料がなければ料理は作れない。
「そうね」
「じゃあ、まずは分かっていることからだね」
テイラー夫妻の宿に、宿泊客が来ないように仕向けられていること。
テイラー夫妻にかけられている窃盗の疑いは冤罪の可能性があること。
街の人々はテイラー夫妻に関わろうとしないこと。
テイラー夫妻に関わらなければ平穏に暮らせること。
「……今更なんだけどさ、良く耐えてるよな」
改めて確認して、分かっていることがあまりに少なすぎる上に、状況の酷さが浮き彫りになった。
良く挫けずにここまで忍んだものだ。それはテイラーがどれだけミントを愛しているかの証明だ。彼一人だったらとっくに折れていただろう。
「……そうね」
「どうにかしてあげるためには、ミジックを切り崩さないと」
今のままでは何も出来ない。力で解決できるパターンとしては、力で攻勢を受けて返り討ちにした場合。こちらから力で攻め込んで、勝利を得ることは出来る。しかしそれは一過性のものだ。シーヤックにいるうちはいいだろう。しかし太一たちが旅立った後、ミジックが報復に出ないとは思えない。むしろ報復する可能性の方が高い。
その場合はこれまでのように大人しい手段を取る筈がない。テイラーとミントはより手酷い仕打ちを受けることになるだろう。
そして何より、力ずくでミジックにダメージを与える根拠が極めて乏しい。大義名分なんて大層なものは必要ないが、取る行動に説得力を持たせるのは重要。第三者に聞かせて「その行動は正しい」と言わせるくらいでなければ。
「やっぱ、ミジックに突っ掛けられるくらい固めないとダメだな」
昼間の男たちの態度から考えてミジックは黒。後は巧妙に隠されている絵の具の色を如何にして白日のもとに曝すかだ。
その為の最初の一撃。どこに撃ってみるか、それを考えていなかったわけではない。
ミジックの行為は、見逃してもよいと思える範囲を少々逸脱している。その辺りにチャンスがありそうだ。
「そろそろ情報屋を使っていい頃ね」
脈絡もなく告げられたミューラの言葉に、太一と凛が「やっとかー」という顔をした。
元々聞き込みに大きく期待していた訳ではない。それでも全く手掛かりが掴めなかったので辟易はしていた。
「じゃあ、種蒔きは済んだってことでいいのかな」
凛の台詞は質問というよりは確認だった。
「そうね。これで第一段階。次のステップに行くわよ」
三人はあらすじと手順を確認して頷き合った。
情報屋に聞きに行くにあたって、今回の留守番役は太一だ。最初は凛に任せていたのだが、持ち回りでも問題なくやれることが判明したので、交代制にしたのだ。
この近辺で火事になったときにどうなるか。テイラーは「すぐに隣家に燃え移って大火事になってしまうよ」と断言した。そうなれば窃盗どころではない重大な犯罪者になってしまう。実行犯は手下かもしれないが、命令を下したということでミジックにも重い罪が科せられるのは想像に難くない。
言葉は悪いが女一人にそこまで思い切るというのは現時点ではないだろう。そうすると、とれる強引な手段は限られる。二人にはあまり離れないようにしてもらうため多少の不便さと非効率さを呑んでもらうことになるが、そうすれば三人のうち誰が残ってもテイラーとミントを守ることは不可能ではない。輪番制に変更して、今日は太一が留守を預かる寸法だ。
凛とミューラは連れ立って街を歩いている。王族を迎え入れるためか、街の人々は大分慌ただしい雰囲気に包まれている。二人にちらちらと目を向ける者はいるが、誰も声をかけてこない。あれだけ聞き込みをしたので目立っているのだろう。
市民が見せる反応に、凛とミューラは内心笑む。期待通りのリアクションを見せてくれているのだ。
「……リン、着いてきてる?」
「うん。斜め後ろ。付かず離れず」
これも当然予想の範囲内。
索敵は凛担当。ミューラの気配探知もかなり優秀だが、凛のソナー魔術の有効範囲には物理的に及ばない。ミューラが劣るというよりも、凛が反則気味なだけだ。
「付かず離れず、か。結構やるわね」
凛はこくりと頷いた。このソナー魔術の範囲外となると、どれだけ探知に特化した隠密のような存在であっても、目標を正確に捉え続けるのにはかなりの難易度を要求する。
確実に尾行をするにはソナー魔術の範囲内に入るしかないのだが、そうなると今度は凛に存在が筒抜けとなる。隠密泣かせの索敵魔術。それが凛のソナー魔術だ。
件の追跡者は、凛の魔術には気付いているのだろう。その魔術の中身までは理解できていないだろうが、相当に感知が難しいこのソナー魔術を捉えているというだけで称賛に値する。
「ずっと泳がせておくんだっけ」
凛がミューラに顔を向けてそう確認する。
泳がせる必要がない場合、凛は長距離魔術で狙撃するつもりだった。かつて緻密な制御を要する魔術を一キロ遠方に向けて放ってみせた凛なので、そのくらいは朝飯前か。
「ええ。あたしたちの行動を、ちゃんとミジックに教えてもらわなきゃ」
「そうだね」
傍目にはにこやかに、華のある表情でそんなことを話す凛とミューラ。会話の内容を確認しなければ、雑談にしか見えない。
男にとっては保養となる表情で話をしながら二人が向かったのは冒険者ギルド。武器らしい武器を携えていない町娘姿の少女二人には似つかわしくなく見えるその場所に、凛とミューラは躊躇なく入っていった。
改めて言うまでもないことだが、二人とも抜群の美少女だ。どちらかといえば男社会の冒険者稼業、その本山冒険者ギルドにおいて、凛とミューラの二人はとても目立っていた。
慣れた様子で空いているカウンターに座る。若い女性のギルド職員が丁寧に挨拶した。
「どのようなご用件でしょうか」
面食らったギルド職員だが、表情の変化は一瞬。普通の女の子が初めて訪れた場合、まず間違いなく萎縮してしまう場所、冒険者ギルド。ここでこのような振る舞いが出来るのだから、装備品を身に付けていないだけで冒険者なのだろうと予測をしたのだ。プロの仕事である。
「お金を引き出したいのだけど」
ミューラは懐からギルドカードを取り出してカウンターに置く。職員の予測通りだった。
「かしこまりした。お幾らでしょうか」
「そうね。とりあえず、三〇〇〇万」
三人の間にある空気が凍結した。
「……」
「……」
「……大丈夫?」
「はっ!?」
怪訝そうなミューラに声をかけられて、トリップしていた意識が戻るギルド職員。彼女が一〇年かけて稼ぎ出す金額を事も無げに引き出すと言い出したミューラに、一瞬現実逃避してしまったのだ。
「し、失礼しました。ではご本人確認のために、ギルドカードに魔力をお願いします」
「はい」
カウンターに置かれたギルドカードに、白くて細い指が軽く触れる。とてもしなやかな動作。形の整った綺麗な爪の先から、微量の魔力が流し込まれ、ギルドカードに文字が浮かび上がる。これで彼女の身分は世界中の冒険者ギルドが保証することが証明された。
「……金の剣士、ですか……」
ギルドカードの文字を確認したギルド職員がそう呟く。
「アズパイアだけじゃなくて、ここにも話が届いてるのね」
「ここら一帯の冒険者たちの間では有名な呼び名ですから」
そう答える職員の声色にほんのりと畏敬の感情が混ざったことに、ミューラも凛も気付いた。ギルド職員が初めて訪れた冒険者のギルドカードを確認する際、名前の次に注目する場所、冒険者ランク。そこに記されていた『B』の一文字に、職員は素直に敬意を示したのだ。どんな理由があろうと、この文字の捏造は出来ない。それは世界の常識。たとえ貴族でも、王族であっても、このランクの改変は出来ないのだから。
「ご本人確認が出来ましたので手続きをして参ります。少々お時間を頂きますので、あちらでお掛けになってお待ちください」
ギルド職員に示されたのはロビーだ。半分以上のテーブルは他の冒険者たちが座っていて埋まっている。広さはアズパイアのギルドの一〇倍はありそうだ。町の規模から考えれば、これでも狭い方なのかもしれない。
ギルド職員が奥に引っ込む。その背中を見送って立ち上がる。街が変わるとどのような依頼が発生しているのか。二人はそれが気になったのだ。
掲示板を主に占めるのは街の外に生息する魔物や野性動物の討伐と、シーヤックから西北西に徒歩で二日ほどの距離にある森での採集。パッシブクエストとして、黒曜馬の討伐。討伐の証拠品を持ち込めば、事後申告でも依頼を受けたと見なされて報酬が支払われるということだ。
他にも船の建造における資材運びや貿易で輸入した品物を詰め込んだ倉庫の整理など、港町ならではの依頼も散見された。
その中でもミューラの目に留まったのは、銅カマキリの討伐依頼である。
体高一メートル程の巨大カマキリ。身体が銅で出来ており、鎌の切れ味は凄まじい。Bランクの魔物として位置付けされており、食欲旺盛な肉食の魔物で動物だけでなく人間も喰らう。
暖かい気候を好む銅カマキリは、本来ガルゲン帝国に入国し、ある程度南下したところの温暖な気候が主な生息地域の筈だ。何が原因か、北に位置するシーヤック付近に現れたらしい。依頼書には『討伐済み』を示す大きな赤いスタンプが押されている。討伐完了日付は今から一ヶ月前、つい最近だ。おそらくは他の冒険者に注意を促すために今も貼られているのだろう。
そうして時間を潰すことしばらく。
「ミューラさん」
名前を呼ばれて振り返れば、先程のカウンターに女性職員が戻ってきていた。
「こちらになります。中身をご確認ください」
示されたのは小さな皮袋。中には金貨が三〇枚入っていた。それを見て頷いたミューラは、皮袋を懐に仕舞った。
ここは大きなギルドの為大金も持っているが、小さな街のギルドの場合は事前に申請が必要だったりする。いきなり纏まった金を出せと言われても、ギルドの規模に合わせて金庫の大きさも変わるのだから当然だ。
「ご用件は以上でしょうか」
職員に問われる。もちろんそれだけではない。わざわざ引き出した大金、その使い道も当然決まっている。
「この街の情報屋の場所を教えてください」
女性職員に、魔力を通したギルドカードを提示しながら凛が問い掛ける。
より濃い情報が欲しい。ギルドで手に入るのは冒険者に関わるものだ。そこに、今凛たちが欲している情報は無いだろう。ならば、そのような情報を扱う専門家を頼るのが近道だ。
「情報屋ですね。かしこまりました。少々お待ちください」
女性職員が、座る椅子の背後にある棚から羊皮紙を束ねたファイルを取り出す。パラパラと捲られ、あるページに辿り着いたところで紙の動きが止まった。
「こちらになります」
示されたのは、シーヤックの地図でいうところの本土側、海沿いにあるバラックが集まった一角。俗にスラム街と呼ばれる場所だ。
凛は予め入手しておいたシーヤックの地図に、情報屋の住所をメモする。更に冒険者ギルドからの紹介であることを証明する合言葉も。
「ありがとうございます」
一通りメモを終えた凛はファイルを職員に返した。
「用件は以上よ。ありがとう」
ミューラと凛は席を立ってギルドを去った。その背中を見つめていた数多の冒険者たちだったが、誰もその後を追おうとしなかった。
情報屋を冒険者ギルドから紹介してもらえるのは、ギルドから信頼を勝ち取った者のみだ。
その基準はシンプルで、冒険者ランクB以上。女性職員とのやり取りに聞き耳を立てていた冒険者たちは、二人がとんでもない冒険者であることを知った。
理由も至極単純。情報屋が必要とするほどの冒険をするには、Bランクになれる程度の実力が最低でも必要なのだ。更に言えば、情報屋に支払う対価もかなりの金額を必要とする。Cランク程度では捻出に苦労する金額。それを払った位では揺らがない程度の財政基盤があると判断してもらえなければならない。その基準がBランク冒険者だ。
財政基盤としては申し分ない凛とミューラ。先の内戦の報酬金貨二〇〇〇枚は、太一、凛、ミューラの三人で六〇〇枚ずつ均等に分け合い、割り切れない二〇〇枚をレミーアに渡した。本当は五〇〇枚ずつ分けようと思っていたのだが、もう十分に金を持っているレミーアに「お前たちが好きに使え」と言われたのだ。金額換算六億。バラダーたちが冒険者として三人がかりで必死に稼いだ額に、一人頭で追い付いた計算である。
二人で一二億を超える資産を持つ二人は、冒険者ギルドから歩いて一時間程の場所にあるスラム街に来ていた。
浮浪者とならず者がたむろするスラム街は決して空気が良い場所ではない。運悪く迷い込んでしまった女性、或いはならず者に目をつけられて連れ込まれてしまった女性が、身ぐるみを剥ぎ取られよってたかって陵辱されてしまうという事件は年に数回起きている。シーヤックの社会問題にもなっているのだ。だが二人は浴びせられる数多の視線をまるで意に介さない。
スカートの裾や胸元に向けられる男の視線は、二人とも以前から数えきれないほど浴びている。有り体に言えば慣れたものなのだ。身近にいる女性たちは異口同音にそう言うし、思春期の少年である太一という実例でも確認済みだ。彼に見られるのは恥ずかしいが、彼が他の女性を見るのもそれはそれでモヤモヤするという複雑な感情を抱えているのは、今は横に置くことにする。
目に映るならず者に比べれば、総勢二〇〇匹のゴブリンの方がよほど強敵だ。
もちろん、何も知らない者から見れば、凛とミューラは鴨が葱を背負ってやって来たように見えたことだろう。
背後から殴り付けて意識を奪い、裏通りに連れ込んで思う存分楽しもうとした不逞の輩は確かにいた。角材を手に五人がかりで後ろから抜き足差し足で忍び寄り、残り五メートルのところまで近付いて、魔術を発現した凛とミューラが同時に振り返った。
距離五メートル。手に角材を持った状態で、自動小銃を手にした人間の前に立つことが出来るのか。力関係を地球上の基準で表現するとこうなるだろう。
数発のファイアボールを空中に待機させているミューラ。
氷の矢を一〇本ほど自身の周りに浮かせる凛。
葱を背負った鴨は、実は刃の翼を持った鷹だった。言葉など必要なく、一睨みでならず者どもを黙らせることに成功した。
魔術を使えるだけでも一般人とは一線を画す上に、二人は攻撃魔術を行使。それだけで力の差が判然としたのだ。ならず者は自分より弱い者から搾取する存在。自分より強い者に自分から手を出すという下策は取らない。
相変わらず向けられる視線には、劣情と共に恐れが混じる。その視線さえ意識の外においやってしまえば、二人の行く手を遮る者は誰もいなかった。
更に歩くこと二〇分。二人は目的地に辿り着いた。外観は周囲に林立するバラックと何ら変わりはない。陸から海に建てられた小屋からは木で出来た足が海面に向かって伸びている。海上の掘っ立て小屋。一言で表すならそんな感じだ。
それだと判断した根拠は簡単で、その一軒だけ、小屋と陸地を繋ぐ板を通せんぼするように、体格のいい男が立っていたからだ。見た目は浮浪者やならず者と変わらない。だが彼から滲む空気は浮浪者、ならず者のそれではない。
「……ギルドにここを紹介された冒険者だな?」
男は抑揚のない、低い声でそう告げた。放たれるバリトンボイスにはえもいわれぬ圧力があった。
「……我々は“情報屋”だ。情報において我々を上回る者などいない」
何故分かったのか、そう顔に出す前に機先を制されて面食らう凛とミューラ。
これは手強い、と感じた二人は気を引き締めた。
「……合言葉を言え」
「世を照らす光は影と共にあり」
何故か五七五で作られた合言葉を口にする凛。こちらにも俳句、或いは川柳に似た風習でもあるのだろうか。
「……確かにギルドに紹介を受けた冒険者のようだ。……ついて来い」
凛の合言葉を聞いた男は、背を向けて小屋へと歩き出す。その後を追って、ミシミシと軋む板の上を歩いて小屋へ向かう。開け放たれた背の低い扉を屈んで潜る。
中はとても殺風景だった。六畳ほどの部屋。床に直接敷かれたカーペットの上にテーブルが一つ。小屋の中にあるのはただそれだけ。殺風景で逆に印象に残るような、そんな部屋である。
そして。
「良く来たね。冒険者の娘っ子ども」
スラムがどうとか部屋の印象がなんだとか。
全てを吹き飛ばしてしまうほどのプレッシャーを放つ老婆が、玄関の対面に置かれた大きなクッションに座っていた。
「あたしゃ足がこの通りでね。このまま失礼するよ」
彼女の言う通り右足はあるが、左足の膝から下がない。更に右目には黒い眼帯。満身創痍……というには眼の力が強すぎる。
身体そのものはかなり小柄なのにこの存在感。半世紀昔に戻れたなら、現役の彼女が見れたことだろう。
「……ほう。あたしを見て侮らんのか。ただの娘っ子じゃあなさそうだねぇ」
「何を仰るんですか。隠そうともせずに」
「ほっほ」
老婆はしわがれた手の平を下に向けて上下に動かした。座れ、ということだと判断して腰を下ろす。
「中々に鋭いのうお前さんら。最近のBランク冒険者はこの程度にすら気付けん輩が多いでな」
「あれで気付かないニブチンがホントにいるわけ?」
呆れた顔をしているのはミューラ。目の前の老婆はこれでもかというくらい露骨にプレッシャーを向けてきていたではないか。
「いるとも。なまくらなBランクじゃな。一定以上の強さを持っとれば、気付ける筈なんじゃがの」
「……」
老婆の言葉に、二人揃って一瞬言葉が出なかった。
あるレベルを超えなければ感知できないプレッシャー。そんな器用な真似を目の前の老婆はしていたというのだ。試されていたということがまるで気にならないほど、老婆が見せた器用さに言葉を奪われた。
二人の様子を見ていた老婆が目を細める。僅かに上げられた唇に、老婆の心境の変化が込められていた。
「ふぁふぁふぁ。精進することじゃな若人よ。あたしに出来てお前さんたちに出来ぬ理由はないじゃろ」
「────」
「して。今日は何を知りに来たんじゃ?」
完全に主導権を握られている。経験では完敗。そしてこの老婆の底もまるで読めない。
「さあ聞いてみるが良い。金さえ払えばなんでも教えてやろうぞ」
情報屋。
金を払えばその情報屋が知りうる範囲の情報を得ることができる場所。
凛とミューラは気を取り直し、それから聞く体勢を整えた。
ここから先は、この老婆の言葉、一言たりとも聞き逃しは許されない。
ミューラは小さく息を吐いて老婆を見据えた。
「聞きたいのは、シーヤックの商人ミジックの情報と、ミジックの後ろ楯の情報よ」
明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いします。
今回の話はかなり慎重に書いてるので筆が遅いです。
今後も更新までには間が空くと思いますがご了承下さい。
2019/07/17追記
書籍に合わせて、奏⇒凛に名前を変更します。




