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異世界チート魔術師(マジシャン) 作者:内田健

第二章:元高校生は冒険者として生活してます。

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小さくて大きな異変

第二章クライマックスのプロット確認終わりました。

二時間くらいでサクッと書いたので、粗いかもしれません(笑)
 東西の最長が四〇キロ。奥行きが最大で七キロ。最奥部には五〇メートル級の木が生い茂り、地上は常に夜のように暗いのだという。
 アズパイアから北上したところに聳える山脈に沿って鬱蒼と繁る北の森の規模だ。
 そこはアズパイアに住む者にとって、大地と自然の恵みを受けられる正に宝の山。狩人が来ない日はないし、冒険者も、採取や魔物退治でちょくちょく訪れる。
 狩人も入り込まない区域は、冒険者の領域である。
 ここにも、その日の稼ぎをあげにきた冒険者が二人。一人は背が高く細い棒切れのような男。もう一人は背が低く、丸い饅頭のような男。下生えの草を踏み潰し、邪魔な木の枝を切り払い奥へ奥へ進む。

「あーあ。ショボい依頼だなあ」
「やかましいな。無いよりましだろうが」
「そうだけどよう。今日飲んじまったら終わりだぜ?」
「明日も依頼探すしかないだろう。つーか酒なんか我慢しやがれ」
「ちっ。やっぱそうなるか」

 Dランク冒険者になって長い二人にとって、Eランクの採取依頼ではその日暮らしにしかならない。割のいい討伐の依頼などをこなせればよいのだが。

「おい。そういやお前、この間酒場で引っかけた女はどうした?」

 細い男がそう問うと、饅頭のような頭を左右に振ってため息をついた。

「ダメだダメだ。ヤッてもちっとも楽しくねえよ。スレちまってんだ」
「スレてる? 若い女だったろ?」
「歳だけはな。商売女だった」
「そういうことか」

 商売女は金さえあればいつでも買える。そうでない女狙いだったのだ。

「あーあ。金の剣士にカナデとか、羨ましいよなあ」
「お前は口を開けばいつもそれだな」

 背の高い男は苦笑する。

「お前あんな別嬪二人とチーム組んだら、昼も夜もたのしいに決まってんだろ!?」
「そいつは否定しない」
「あの二人とチーム組んでる男……えーと、名前何だっけ」

 金の剣士、ミューラと奏はギルドでも有名人。一方の太一は、あまり興味を持たれる対象ではなかった。見た目平凡な少年。いや、野郎だから当然の成り行きとも言えた。もっともごく一部は、太一のことをやっかみの対象としてしっかり覚えているのだが。

「タイヤだろ」
「そうだったか? トイチじゃなかったか?」
「そりゃあ高利貸しだろ」

 二人とも惜しい。足して二で割れば正解が出る。

「あー別にヤローの名前なんざどうでもいいか」
「それもそうだ」

 二人は、ほぼ同時に剣の柄を握った。こんな話をしていても、周囲の警戒を怠っていた訳ではない。さもなければ、明日をも知れない冒険者稼業で、長く生き延びることは不可能だ。
 じっと見つめる視線の先。見慣れた北の森の光景。

「来るぞ」

 結構な勢いで茂みから飛び出してきたのはゴブリンだった。一刀のもと袈裟懸けに切り捨て、饅頭男が叫ぶ。

「ラッキーだぜ! おい! 魔術でドタマ吹っ飛ばすなよ!」
「お前じゃないんだ! そんなへまするかよ!」

 次々と向かってくるゴブリンは隙だらけ。勢いはあるが、それだけだ。
 飛んで火に入る夏の虫とばかりに次々とゴブリンを仕留める。周囲に鉄臭い臭いが充満していく。ゴブリン討伐の証拠は、依頼が出ていなくてもギルドから報奨金が出る。この機を逃す手はない。
 最初は幸運とばかりに獲物を狩っていただけの二人。だがやがて疑問が出てきた。
 ゴブリンは臆病な魔物だ。だから群で行動して数の利を得ようとするし、それでも勝てないならすぐ逃げる程には臆病だ。
 これだけ仲間を殺されれば、臆して反転逃走し出してもおかしくない。
 なのに、彼らの勢いは止まらない。まるで何かに怯えるように。

「……どういうこった?」

 剣を血振りし、素直に疑問を口にする。もう、ゴブリンはやってこなかった。積み上がった死体の山を見て、二人は首をかしげた。

「何かあんのか?」
「さーな。確認するか?」

 顔を見合わせる。答えは出た。

「やめとこうぜ。触らぬ神になんとやらだ」
「言えてらあ」

 少し臆病なくらいでなければ、冒険者はやっていられない。長い経験の中で導きだした答えである。
 油断していそうに見えて警戒を怠らない二人だが、気配を消して忍び寄る存在に気付かない。
 アズパイアに訪れる脅威の始まり。
 彼らは、戻ってこなかった。





◇◇◇◇◇





 二週間振りにアズパイアに戻った太一たち一行は、その足でギルドに向かった。
 行きは一緒だったバラダーたちとは別行動だ。帰りはどうするか聞いたのだが、同行を丁重に断られた。炭坑探索を行った冒険者として、村長に特別に馬車を出してもらったのだ。バラダーたちは自費で適当に戻ってくるらしい。
 あの出来事が、かなりの溝を生んでしまった。太一は仕方なく、応対をしたメヒリャに借りたお金を返済し、その場を後にした。
 歩きながらユーラフでの出来事を思い出していると。

「……変ね。多い」

 ふと、ミューラが口を開く。
 主語が省略されてて何を指しているのか分からなかった太一と奏は、ブロンドのエルフの少女に視線を向けた。

「あ、ごめん。えっと、冒険者の数多くな
い?」

 ミューラに問われ、周囲に目を向ける。

「……うん。多いね」

 夕暮れ時。依頼から帰ってきた冒険者が雑踏に溢れるのは太一たちにとっても見慣れた光景だ。だが、今三人が見る限り、普段に比べて三割から四割増しで冒険者が多い印象を受けた。
 首をかしげながらも、人の合間をひょいひょいと縫うように、途中奏とミューラに絡んできたオッサンを適当にあしらったりしながら、三人はギルドにたどり着いた。

「あ。タイチさん。お久し振りですね」

 受付ではなく、掲示板に大量の紙をペタペタと貼っていたマリエが駆け寄ってきた。

「あー、どもっす」
「ユーラフの炭鉱探索、終わったんですか?」
「はいこれ」

 ユーラフ村長のサインが入った依頼書を、肯定の言葉の代わりにする。マリエが「本当に潜ったのね……」と呆れている。太一たちの行動にマリエが呆れるのは、もう恒例だった。

「では完了手続きをするのでこちらにどうぞ」

 何だか専属みたいだな、と太一は思いながら、マリエに連れられて受付のカウンターに向かう。実は何気なく太一が思った感想はドンピシャである。太一と奏の事情を知るジェラードが、同じく事情を知るマリエを専属につけたのだ。彼女とのやり取りは多いが、他の職員とあまり接する機会がないのは、そう言った理由からだ。
 探索は無事完了。更に盗賊の討伐がボーナスで加算され、多目の報酬を受け取った。
 これで終わり。そう思って席を立とうとした三人を、マリエが止めた。

「実はお願いがあるんです」

 そう切り出すマリエ。
 また指名依頼だろうか。思わず身構えた三人に、マリエはこくりと頷く。

「ごめんなさい。バラダーチームが戻っていないので、ギルドが頼れるのは貴方たち三人だけなんです」

 何だか良くない流れだ。しかし、断るような空気でもない。

「皆さんには、この二つの依頼を受けて頂きたいんです」

 ブレザーの内ポケットから二枚の紙を出し、カウンターの上に置いた。それを手に取り、一切目を通さずにミューラへバケツリレー。冷ややかな視線は、一部の性癖を持つ者には快感だろう。

「えっと……何々。ムラコ茸の採取とフェンウルフの討伐? 何これ。Eランクの依頼じゃない」

 キョトンとする太一と奏。文面から見て、わざわざ指名してくる必要を感じない。それはマリエも自覚はあるようで頷く。そして、続けた。

「ムラコ茸の採取を受けたDランク冒険者二人組のチームが、まだ戻ってきていないんです」

 その二人が依頼を受けて既に四日。ムラコ茸の採取は、長くかかってもせいぜいが二日である。無論、Eランク冒険者が受けた上で、だ。Dランクになれる冒険者が、北の森で迷うとも考えにくい。何かがあったと考えるべきだろう。

「タイチ。これ、受けてもいいと思う」

 ミューラの言葉に異論はない。ムラコ茸を採ってくると共に、冒険者二人が戻らない理由の調査だ。だが、疑問が解決しきった訳でもない。

「ムラコ茸は受けます。でも、フェンウルフは何でっすか?」

 単体ではゴブリンよりも脅威だが、群れたゴブリンよりも危険度の低い魔物。それがフェンウルフ。
 いつぞやか、威嚇だけで逃走させた魔物である。Eランク以上の冒険者なら誰でもいい依頼。何で自分達なのか。

「冒険者、多く感じませんでしたか?」

 マリエの言葉に覚えがあった三人は頷いた。

「ここ数日、北の森の魔物が増えているんです」
「増えている?」
「ええ。実際に森に入った冒険者たちからは同様の報告が何度もギルドにされました。五日間で二〇件です。なので一度調査隊を派遣したんですが、どうやら三倍から五倍、エンカウント率が上がったようなんです」

 魔物と出会うことをエンカウントという。三倍から五倍。看過は出来ない上昇率だ。

「こちらはシンプルです。進んで探す必要はありません。出会ったら、威嚇等せずに倒してほしいんです」

 恐らく向こうからやってくる。マリエはそう言った。
 少しアズパイアを離れていた間に、何やら雲行きが怪しくなっている。
 遠因が自分達であるとは、この時は一切思わなかった。


 
書き上がったら更新のスタンスでいきます。

ちょっと書きためできそにないので…


では、次話でお会いしましょう。
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