帝国立魔術師養成学園の騎士候補生 二十
遅くなりました。すみませんでした。
剣と剣が連続で打ち合わされ、火花が散る。
「ちぃ!」
ミューラを相手取っていた騎士は、たまらず距離を取った。
高速で打ち合いながら、互いにフェイント、ブラフをふんだんにトッピングしていた。
そんな中、ミューラの剣の軌道が、騎士の剣をからめとり、弾き飛ばすような動きをしたことに、間一髪で気付いたのだ。
騎士という地位まで上り詰めた彼にとって、距離を取らされたことは屈辱であった。
それでも、いや、それができるからこそ、騎士という地位を手中に収められたのだが。
「たく、しぶといわね」
レイピアのように剣を突き出したミューラが、仕切り直しとなったことにため息をついて、構えを解いた。
「おのれ……っ!」
なかなか倒せないことをもどかしく思っていることが騎士の男にも伝わる。
磨き上げた剣をもってしても、年端もゆかぬ少女に鬱陶しがられるだけであるという事実を前に、彼の胸中は穏やかではない。
けれども、ミューラの態度もまた当然である。
既に、彼女は増援である騎士を一〇人は仕留めている。
数合打ち合えれば大健闘で、鎧袖一触にあしらわれた者もいた。
彼は、ミューラを相手にかなりの粘りを見せている方だった。
「リンに負けてるのよね……」
視界の端で、凛が一二人目を倒したのが見て取れた。
これ以上ここで手間取るわけにはいかない。
成果報酬があるわけでもないのでまったく実益はない。いや、モチベーションという意味ではいいだろうか。
「……ふっ!」
特に宣言などもしない。
ミューラの手に、剣が金属を打ち据える感触。
「がはっ!?」
急激にペースを速めたミューラに、騎士の男は対応できなかった。
あっという間に懐に入り込んだミューラが、男を弾き飛ばした。
階段を転げ落ち、気を失ったのか動かなくなった。
瞬間的にかなり強めの強化をかけた。
敵が多く、まだ戦闘の終わりまではかかると思われる中、強めの強化を使うと消耗が速いため避けたかったのだが、時間を取られるのではそうも言っていられない。
この辺り、持久戦のさじ加減はかなり繊細なところを求められていた。
その点、凛は非常に上手く、手堅く捌いていると言えた。
「さて、次」
周囲を見渡せば、戦場全体で、戦況を押し返し始めている。
学園の教師も生徒も、貴族の護衛も。それぞれの立場も関係なく全員が全力で立ち向かっているからである。
凛とミューラはその中で遊撃として敵の数減らしにフォローと駆け回っていたが、いかんせんフィールドが広いため、全てに手を伸ばせるわけではない。
彼女たちにはそれぞれ腕は二本しかなく、伸ばせる範囲にも限界があった。
双方に被害が出ている。すべてを救うことなどできはしない。
「……あれは」
ふと、その中で目立つ集団があった。
コロシアムの全域で戦闘が行われている。
どこもかしこも、打ち合わされる武器に怒号と悲鳴、そして魔術が飛び交っている。
そのさなかにあって、戦いにまったく巻き込まれていない一団があったのだ。
慌ただしさに忙殺されて最初は気付かなかったが、こうして周囲を窺う余裕が生まれたことで、目に入ったのだった。
開会式で、太一が強い視線を感じた、という情報は既に共有されている。
彼から聞いたその人となりが、集団の中央にいる人物と合致していた。
これだけの激しい戦闘で、自分たちだけが被害どころか狙われることすらない。
その一点をもって、自らを怪しいと公表しているようなものだった。
と。
ごおん!!
そんな轟音が響き、振動が足元に伝わってくる。
思わずそちらを見れば。
凛の前に立つ、巨大なハンマーを携えた大男。
たたずまいで分かる。あの大男は生徒では厳しいだろう。冒険者ランクで換算すればA相当に違いない。
大男の後ろには、学園の生徒たち。凛を半包囲するように立っていた。どうやら、彼らもミューラが見つけた集団と同様の立ち位置にいる者たちのようだ。
もっとも。
「ま、あっちはリンに任せればいいわね」
別に問題はあるまい。
確かに強いのは間違いないが、凛の方が強いと予測できる。
何せ、ミューラ自身、あの大男に負ける気がしないのだ。
数が多い分、普通であれば素早い決着は難しいだろうが、範囲、手数、威力の引き出しが多彩な凛にとってはむしろ得意な部類である。
ならば、あそこは彼女に任せよう。
ミューラはもう一つの集団に目を向ける。
あちらからビシビシと伝わってくる、強者の気配。
もう一つの集団もまた、きっと生徒や教師、護衛では厳しいと思われる。
「せっかちね。慌てなくてもちゃんと行くわ」
ミューラはそう言って口の端を上げ、そちらに足を進めた。
近づいていくにつれ、警戒度が強くなっていく。
これ以上の接近は許せないのか、ついに杖と弓が向けられたところで、ミューラは足を止めた。
「近寄るでない、雑草臭い小娘が」
その集団の中心。
即席にしてはずいぶんと豪奢な椅子に腰掛けたドレス姿の中年の女が、ミューラを出合い頭に罵倒した。
見た目は十分に若いのだが、その貫禄と佇まいが、見た目以上の経験値と時の流れを感じさせる。
その辺を見誤らないだけの眼力が、ミューラにはあった。
(雑草臭い……あたしが、エルフだからかしらね?)
そのような罵倒を受けたところで、心が動くミューラではない。
もはや事は実力行使をする段階まで進んでいるのだ。何を言われようと、叩き伏せてしまえばいいという、ある種シンプルでいい状況である。
逆に何を言おうとも、いざ敗北した時に全てが負け犬の遠吠えに変わる無様を味わう羽目になる。
趣向を凝らして言葉を重ねれば重ねるほど、それが強くなるのは間違いない。
「投降するなら痛い目に遭わずに済むわ。大人しく武器を捨てなさい」
ミューラの言葉は単純である。発言と同時に抜身の剣を持ち上げ、切っ先を集団に向けてぴたりと止めた。
全くブレのないその動きが、彼女の実力の一端を表現している。
「フン。やはり、森に引きこもる土人だな。貴族に対する礼儀を知らぬとは思ったが」
ドレスの女は、椅子に座ったまま手に持った扇を一閃した。
「一度、その身に思い知らせてやらねばなるまい。我々青い血に従わぬということが、何を意味するのかをな」
彼女の合図に合わせて、弓や杖を持たない者が一斉に剣を抜いた。
一部を除いてどう見ても有象無象だが、これだけ数が揃うとやはり圧巻だ。
今武器を構えている者たちは問題にならないと分析する。
そして、その一部に該当するのは、女の真後ろに立ち、微笑みを崩さない男である。
ミューラが気付いているように、彼もミューラが気付いていることに気付いているのか、その微笑みが面白いものを見るかのように変わった。
変化そのものは些細だが、注意を払っていたミューラが見逃すはずもなかった。
「そう。あなたたちなら、ちゃんと教えてくれそうでよかったわ。これまでの有象無象じゃとてもとても」
どうにかして男を引きずり出せないか。
何となく、ここで逃がすのは良くない気がするのだ。
ならば、前座はとっとと終わらせるに限る。小手調べなど必要ない。一気に本番といきたいところだ。
まずは挑発。様式美ともいえるもの。
ここで相手の反応を待っても良かったのだが。
ミューラは、自身の周囲に複数の火球を生み出し、リアクションを待たずに放った。
中年の女性については、周囲に展開させていたのだろう魔術師が火球を相殺している。
予想通り、防御については重点的に意識していたらしい。
最初に放った火球など、挨拶代わりですらない。
言うなれば戦闘開始の合図。そこまで威力もない火球は、攻撃というより「よーいどん!」くらいの意味だ。
もとより距離を置いて戦うつもりなどなかったミューラは、撃った火球を追うように既に駆け出している。
敵兵を倒すのに、これまでは刃を返していたが、ここでそのつもりはなかった。
特に誰か、と最初の目標を定めたわけではない。火球の対処に気を取られた者の中で、手近な相手を選んだに過ぎない。
条件に合致した相手を適当に選び、護衛兵の前に躍り出る。
その滑らかな動きは、目にも止まらぬ、というほどの速度ではなかったミューラを捉えさせなかった。
攻撃の段階に入っているミューラに対し、その護衛兵は後れを取っている。かろうじて、剣で防御をしよう、というところだった。
ミューラは魔術剣を使用。受け止めようと構えられた剣ごと、護衛兵を袈裟懸けに両断した。
剣と鎧の抵抗などまるでなかったかのように、肩から腰にかけてをきれいに切断され、護衛兵が崩れ落ちる。
動きを止めずに敵の真ん中に飛び込みながら、一回転。
周囲はすべて敵。当たるを幸いに、一度の斬撃で数人を切り伏せた。
防具も剣も一顧だにしないミューラに、護衛兵たちが大いにひるんだ。
一方的な蹂躙劇。そんな中、中年の女とミューラが相対する形になった。
だがそれも一瞬。ミューラは回転の勢いに逆らわず、ためらうことなく女に背を向ける。
身体が反転し始めた頃には、剣を持っていない左手が突き出されていた。
『焦熱閃!』
一点に集中するのではなく、膨大な熱量をもって眼前を薙ぎ払う。
大して射程が出る魔術ではないが、密集した敵陣に単身切り込んだミューラにとっては関係がないこと。むしろ、適切な選択だったと言える。
「ぐわあ!」
「あづっ! あづいっ!!」
「ぎゃあぁ!?」
露出していた皮膚が熱によって焼かれる。激しく熱された鎧や鎖帷子は、熱い鉄板を着込んでいるがごとく。
鎧を素肌の上に直接装備することはない。鎧下を着込むのが基本だ。けれどもそれは結局布であり、そんなもので、赤熱するほどの鉄板の熱を遮ることなどできはしない。
瞬く間に、半数以上の護衛兵が戦闘不能になった。
ミューラが下した護衛兵のうち、死亡したのは四割前後であるが、残り六割も全員が戦闘どころではなくなっている。
その有様を見て、ギリギリと歯を噛みしめるのは中年の女。
土人と蔑んだ小娘相手に、用意した兵力をいいようにやられてしまった。
ミューラが考えている以上に、屈辱を味わっていたのだ。
「さて、そろそろ終わりにしましょうか」
ミューラはいよいよ女に向かって歩く。
視線は女に固定しているようでいて、意識は彼女の後ろに向かっている。当然、それにも気付いていることだろう。
第一目標は、女の後ろにいる男の正体を暴くこと。
そして、第二目標が女の捕縛。
正直第二目標については全く問題ない。心構えや態度などから総合して、一応最低限の護身術は修めているようだが、定期的な訓練をしなければ、当然技も鈍る。
そのような相手に遅れなど取るわけがない。
問題は、得体の知れない男の方である。
こちらについては、間違っても簡単ではないだろう。
護衛があっという間にやられたのを見ても、まるで動揺が見られない。
「おのれ……恥をかかせおって!」
べきりと、持っていた扇をへし折る女。
如何ともしがたい感情に思わず物に八つ当たりをしてみたはいいものの、その程度で解消などできるはずもない。
女は昏い目に強い憎悪を宿して、ミューラをにらみつけるのみ。
向けられて気分がいいものではなかったが、今のミューラにはそれも些細なことだった。
(……後ろの男は、奥の手のはず。そちらを見もしなければ、声をかけることもない。ここまでやられれば、もう切り札を切るしかないはずなのに)
不可解なのはそこである。
さて、どうするか。
答えはすぐに出た。
思考を巡らせはしたものの、現実では一瞬。
ミューラは、歩みを止めることなく進む。
既に、後一〇歩で女がミューラの剣の範囲に入る。
最低限、生きてさえいればいい。
残り八歩になったところで、ミューラは一気に地面を蹴った。
狙いは右腕。上腕に深手を負わせて、抵抗する気力をなくすためだ。
女は、突然速度を上げたミューラに対応できない。
後数センチで切っ先が女に届く。その直前で、剣が逸らされた。
「……」
その滑らかな受け流し。
ミューラは一足跳びで後退した。
見れば、女の背後にいた男が、細長い剣をその手に持っていた。
(エストック……)
刺突に特化した剣。細長くいかにも脆そうなのが特徴だが、見た限り業物だ。簡単に破壊はできそうにない。
「厄介なことになりましたね。ここからは、私が受け持ちましょう」
ミューラにとってはうさん臭く。そして女にとっては恭しく聞こえる声で、男は言った。
「ほ、本当に? 助かったわ!」
女の口から出たのは、救いを心から喜ぶ言葉。
真後ろにいて、これまで一切手を出していなかったにも関わらず、それを気にしてすらいない。
まるで遠くから危機に陥った女を救うために現れた騎士に対するかのように。
彼女の癇癪を受けたミューラとしては非常に不可解である。
「さて、エルフのお嬢さん。次は私が相手です」
ミューラは腰を落とし、剣を構えると同時に火球を生み出す。
「おお、魔術と同時とは、ずいぶんと高く買っていただいているようですね」
男の言に情報がないかを考えつつも、戦闘中の身体は遅滞なく動く。
女の様子は異常だ。
まともな精神状態とは思えない。
今のやり取りだけで、そう判断するには十分だ。
罪を犯していたとすれば、それは消えることはないだろう。貴族である分、平民よりも厳しく贖うことになるのは間違いない。
ただ、正常な精神状態で無かったことは、酌量の余地があるように思えた。
もっとも、そうなる要因を招き入れてしまったことについてもまた、考慮に入れられるのだろうが。
仮に、ウィークポイントに巧妙に付け入られてしまったのだとしても。
「そう、分かったわ。なら、女性の陰に隠れていないで、出てきなさいな」
「土人が! わたくしの騎士を愚弄するな! この者がそのような真似をするはずがない!」
「それならいいのよ。……という風にあなたの主は申しているけれど、騎士であるあなたはどうするのかしら?」
「……もちろん、女性を盾になどするはずがありませんよ」
その言葉通り、男は前に出てきた。
椅子に座ったままの女の横を通り過ぎてから、一瞬忌々し気な感情が瞳に揺らめいたのは、隠しようもなかったが。
「それでいいわ。じゃあ、いくわよ」
言うと同時に左手を払い、火球を飛ばす。
それらは途中まで、全弾が男への直撃コースをたどっていたが、当たる寸前、軌道が変化して全て逸れていった。
男はそれに対して防御態勢を取っていたが、全てが逸れていったことでかすかに虚を突かれていた。
ほんの一瞬。
できた隙はほんの一瞬である。
ミューラは、そのほんの一瞬の隙を見逃さない。
即座に間合いまで入り込み、男の右手の小指目がけて剣を振るう。
小指を斬られては、まともに剣など振るえない。
それが分かっているからこその選択。
その正確無比な一撃に、浮かんだ微笑みをやや引きつらせ、ミューラの攻撃を防いだ。
完璧な身体制御で連撃が放てるミューラと、かすかに体勢が崩れた男。
このかすかな差は、決定的な差である。
特に。
(強いのは間違いない……でも、リンが相手してるあの大男には一枚及ばない)
であれば。油断さえしなければミューラに負ける道理はない。
続いて、男の右目を狙って刺突。
それを。
男は左手を握りしめ、甲で払った。
「!」
血が舞う。
ミューラの剣の切れ味は折り紙付きだ。エリステインでは、王族がミューラが使う剣と同種類の武器をいくつも持ってきた。
それらと比べてなお、ミューラの剣は見劣りしないほどには業物である。
だから、それを素手で払えばどうなるか。
浅くはない傷が男の手に刻まれる。
痛みはあるだろう。けれども、それは織り込みなのか、男は眉一つ動かさない。
(ふぅん? なら、これでも顔色を保てる?)
払われた剣がわずかに離れた。その瞬間だけ魔力強化を二段階一気に引き上げ、力のベクトルを反転。
男の反応速度を上回らせ、拳を半ばから斬り飛ばした。
「ぐうっ!?」
男の顔が激痛にゆがむ。
更にそのまま顔面に向かう剣を、スウェーとバックステップを駆使して辛うじて回避する。
手首のスナップだけで放たれたにしてはかなりの威力を誇る斬撃。
もしも回避が遅れていれば、男の首は胴体と離れていただろう。
「まだやる?」
血糊がかすかに付着した剣を払い、ミューラは男を見据えた。
手首を抑えた男の微笑みにヒビが入り、脂汗が額に浮いている。
その光景を見ていた女がひっきりなしに声をあげているが、戦闘中の二人にはただの音でしかない。
「こうも、力量に差があるとは……まさか鎧袖一触とは思いませんでした」
どうやら、敵わないことを分かっていながらも、戦いを挑んできたらしい。
その度胸と根性には敬意を表するが、それだけだ。
「やらないというなら、降参するといいわ。殺されたくなければね」
ミューラは、太一や凛と違い、必要とあらば相手を殺すことにためらいを持たない。
別に殺せない太一と凛をどうこう言うつもりはない。殺さなくて済むなら、その方がいいに決まっている。
世界が違うのだ、価値観が違って当然というものだ。
「それが賢明なのでしょうね……ですが、降参はいたしません」
「そう」
やるというのなら、斬る。
別に意思表明も必要あるまい。
言葉にせずとも、十分に伝わっているはずなのだ。
「っ!?」
油断した。
男の足元に浮かんだ魔法陣に、ミューラの反応が遅れた。
見覚えのない術式。
何が起きるのか。それは分からないが、まずは妨害である。
ミューラは慌てて石の槍を作り出し、男に向けて放った。
「残念ながら、手遅れです」
男の脇腹に槍が刺さる。焦ったためか、仕留めるには至らなかった。
刺さった石の槍ごと、男の気配が薄くなっていく。
その足元から、凄まじい量の煙が吹き上がった。
「……!?」
斬られた手を抑えながら、腹部を真っ赤に染めながら、男は笑う。
それは、勝者の笑み。
勝負に負けたが試合に勝った者の笑み。
煙に隠れる直前、わずかに見えたのがそれだった。
逆に険しい表情で歯噛みするのはミューラ。
追撃の槍は、煙に包まれてしまった男が立っていた場所を空しく通過して、壁に突き刺さった。
痛手は負わせたが、取り逃がした。
「やられた……」
やがて煙が散っていく。
当然、男の姿はそこにはない。
ご丁寧に、血痕さえも残っていない。煙はずいぶんと広がったようだった。通路から建物の中に入ったのかもしれないし、縁から飛び降りたのかもしれない。
これでは、どこから逃げたのかを探すのは骨が折れる。
加えて。
椅子に座っていた女は気を失っているのか、項垂れてぴくりとも動かない。
が、ここを放って敵を追うわけにもいかない。周囲に手が空いていそうな者もいなかった。
「……まあ、逃げられる前に深手を負わせたことだし、痛み分けとしておきましょうか」
気にし過ぎても仕方がない。やることがなくなったわけでもないのだ。
いったん思考を棚上げし、ミューラは女の捕縛を始めるのだった。
2019/07/17追記
書籍に合わせて、奏⇒凛に名前を変更します。