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エンディング
ラスボスを切りつけた。血しぶきが空を染めるくらいに吹きあがった。異形は砕けた甲冑となって剥がれ落ちた。女がいた。千鳥足で口角から一筋の血を流している。彼女は笑った。美しい、たおやかな、おしとやかな笑みだった。それなのに、感動の最中襲って来たのは恐ろしさだった。悪寒の波が背中ばかりでなく全身、四肢の先まで飲み込んでしまうほどに。
「終わりではありませんよ、これから始まるのです」
その声は間違いなくリサだった。ゲームの、プログラムされた音声か、あるいは誰か声優が演じたキャラだったが、作屋守に聞こえたのはリサの声だった。その声を聞ける今が奇特だった。これはもうそう、歓喜に包まれたのだ。
もう一度女は笑った。その笑んだ口は耳まで裂けていた。or女の笑んだ口が耳まで裂けているわけではなかった。or笑んだ唇の間から牙とも見える歯が鮮やかに光った。
作屋守はゲーム機の電源を切った。or女は作屋守というキャラ名のゲームの電源を切った。




