27/43
シナリオ
「南奈衛門! なぜ、こんなことをする!」
激情が知古の兵に投げかけられる。向けられた者は答える素振りさえ見せない。
「返事をせえ! なぜ黙っている!」
南奈衛門の眉がピクリを動いた。
「何をたわけたことを抜かしている! そなたがまっこと正しく、我が悪逆非道だとなぜ決めつける!」
竹馬の友がもはや、
「鬼に魂を売ったか、南奈衛門。ならば! それがしがおぬしを斬り、祓ってやろう! 調伏!」
斬って捨てるしか思い浮かばなかった。
「我が鬼に憑かれているというのなら、そなたは無知に、妄信に魂を売っている! 我こそそなたを清めてやろう!」
腕に覚えのある二人の剣士は共倒れした。
それを、冷笑を浮かべながら見つめる異形の影があった。
「……これは本当にゲームのシナリオ、なんだよなあ」
作屋守は送られていた資料の一部を読んで季節外れの肌寒さを感じた。あくまでこれはプロット案の一つでしかなかった。歴史的文献を切り貼りしながらくみ上げたものらしい。作屋守はもう一度章末を読み直すと喉を鳴らすほどに唾をのんだ。南奈衛門と殺し合う侍は、守護職佐久田××というキャラ名案だった。




