山脈迷宮
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29 山脈迷宮
俺達は今、未知の漆黒通路を歩いている。
そもそも何故進む事にしたのか、その説明を一応言っておこうと思う。
この通路を見つけた時に俺達は話しあった結果、一人一つずつの意見が出た。
一つ目は未知の場所を開拓するのは開拓使の役目だから調査をするべきと言うマヤの意見。
二つ目は新しい敵がいた場合、リュートさんの新しい技が見れると言うミドリの意見。
まぁこれはスルーしてもいいだろう。
三つ目は鉱石を見つけ、採取すると言う俺の意見である。俺達が探している鉱石の名前は熱鉱石。熱せれば熱するほど、冷ました時に硬度が増すと言う滅多に手に入れる事が出来ない代物なのだ。
でも、俺はゲーム時代にこの鉱石の入手場所を知っていた為このクエストを受けたのだが、どう言うわけか俺達の前にはこの漆黒の通路が現れ、話し合った結果進むことになったのだ。
なんて説明してたらお客様が来たようだ。
突然、地面が盛り上がりそこからゾンビが五体。通路の先からスケルトンが三体現れた。
大した敵ではないな。
「マヤ、ミドリ。さっさと片付けるぞ」
「了解です」
「はい! リュートさん!」
俺は二人に声をかけるとルシフェルを抜いて一言。
「秘奥義、《ファイヤーソード》」
それと同時に剣から紅蓮の炎が噴き出した。
俺の右横ではマヤが同様に炎を使い、左横ではミドリが風を剣に宿していた。
俺は二人の攻撃体制が整ったのを見ると指示を出した。
「敵は八体。三体のスケルトンはミドリが、他を俺とマヤで潰す。いいな?」
「了解です!」
「分かりました! リュートさん!」
「よし! 攻撃開始!」
俺達は八体の敵に向かって走っていった。
ーーーー
その最初の戦いから数十回の攻防を終え、俺達は今だ漆黒の通路を歩いている。
この山脈迷宮に入って既に二時間も経過したが、今だ変化はない。正直この変化なき戦いにも飽きてきた。
終わりが何処にあるのか分からないこの通路をだだ歩くだけ。出てくる敵も相変わらずゾンビとスケルトンの混合チームだけ、倒しては進み、また倒しては進みを繰り返す……ある種の作業にも近い、いや、作業をしている。
こんな事ならこの通路を諦め、別のルートを選んで鉱石を探した方が楽だったのでは……
そんな事を思いながら再び現れたゾンビとスケルトンを倒し、少し道を歩いた瞬間、変化はそこに現れた。
「何だこれ?」
そこに現れたのは巨大な扉だった。
通路と同じ漆黒色のそれは、事細かな部分まで黒一色であり、装飾すら黒。
とにかく黒しか使われていないその扉に唯一光を与えるものは通路の壁に掛けてある光源、松明の光を煌びやかに反射させる二つの金色に輝く取ってだった。
俺達は扉の前で休憩を兼ねて座ると、扉について話し合った。
「この扉の先には何があると思う?」
「ボス部屋と考えるのが妥当だと思うです」
「私もそう思います。ちょっと扉もボス部屋の扉に似てなくもないと思って……」
「確かに似てなくもない気がする。俺も二人の意見と一緒かな。宝部屋にしては豪華すぎるし……なら次はその部屋で待ち構えているのは何か、だな」
俺は続けて二人に言った。
「通路ではゾンビやスケルトンしか出なかったから更に上位種、ボス攻略で戦ったスケルトンキング、或いはジャイアントゾンビ? 、いや上位種ならワイバーンやエルダーリッチも入るのか……うーん、さっぱり見当もつかないな」
と、二人も俺と同じ推測をしたのか眉間にしわを寄せている。
まぁ中に入って見れば分かるか……
俺はそんな事を考えると立ち上がった。
「行きますか?」
マヤが問いかけてくる。
「ああ、時間は有限だ。さっさと倒してパウロに鉱石を届けてやらないといけないしな」
「そうですね。その鉱石を渡さない限りリュートさんとも手合わせが出来ないですし」
何故かキラキラとした目でこちらを見てくるミドリを無視して、俺は保険としてアイテムボックスから一本の鞘に入った剣を取り出した。
それはパウロの店で見つけた刀もどきで、名前は睦月。
俺はそれを右手で取れるように剣を右肩からかけた。
今の俺の姿は愛用の皮鎧の上から、買ったばかりの紺のコートを来ている。前は止めていない。右腰にはルシフェルを右肩からは睦月の鞘が見えている。
「どうして睦月をかけるんですか? リュートさん?」
「もしかしたら未知の敵が現れるかもしれないからこれは保険、かな?」
「なるほど、未知の場所に行く時は保険を作る。頭のノートに書いときますね!」
「あ、ああ、そうしてくれ」
頭のノート?
今になっても最初の時のミドリとの変化に困惑しながらも、俺は一度だけ深呼吸をすると二人に言った。
「二人共、中に入ったらまずは状況確認、魔力を使って敵がいるかを調べろ。いいな? それが終われば状況によっては俺が全体攻撃魔法を使って敵を殲滅、一体の場合はチェインを使って攻撃パターンを調べる。
後衛の魔法支援は俺が、前衛は二人に任せる」
「了解です! 前衛は任せてください!」
「私も頑張ります!」
「まぁ、程々にな。それじゃー行くぞ」
「「はい!」」
俺は二人の了解を得ると、取手に手を置くと扉を開けた。
扉は重音な音を響かせながらゆっくりと開いていった。
そして中に広がる光景に俺達は魔力探知をする事も忘れ、あんぐりと口を開けて前を見ることしか出来なかった。
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