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第六話 ギルドマスターとの試合

少し書き方変えました。

例 ~。」→ ~」

 ギルドには多くのいろいろな冒険者たちがいた。

 ゲームやアニメで見るような筋肉マッチョや、猫耳や兎耳持った獣人の方も数人ほどいた。


「この世界には獣人もいるのか……。でも街じゃ見かけなかったけど、数少ないの?」


「そんなことないよ。この街が特に少ないだけ。他の街にはもっと多くいるところもあるよ。全体数だと六:四くらいで人間の方が多いけどね。でもなんでこの街に少ないはよくは知らないわ」


 獣人族……異世界に来たって感じだな。


 冒険者新規登録受付の前に来た。


「すみません。ここで冒険者登録できるんですよね?」


「はい、そうです」


「あのー俺、新規登録したいんですが」


「はい、少々お待ちください。……こちらの用紙にお名前とご年齢をお書きください」


「……はい」


「では次にこの装置に魔力を流してください」


「魔力を流す? どうやって?」


「え?どうやってと言われましても、普通に?」


 普通にじゃ説明になってねーよ。


「魔力の出る感じを想像すればいんじゃない?」


 その感じがよく分からないのだが。


「とりあえずやってみるか。…………魔力流せた?」


「いえ、だめですね。魔力が流せていないという事はないと思いますので、ちょっと待ってください。装置が壊れているだけかもしれないので違うものに変えてみますね。これにもう一度魔力を流してみてください」


「…………どうですか?」


「だめですね。魔力が一般の方よりも極端に少ないようですね。でも安心してください。こういうことが今までなかった訳ではありませんし、対応策はあります。従来のやり方なのですが針で指を指して血液を二、三滴このカプセルの中に入れてください」


 針で刺す、か。研究所のこと思い出すな。あ、そういや俺の皮膚針通さないんだった。


「すみません。針じゃちょっと無理みたいなんで切れ味の良いナイフありますか?」


 そういってグニャリと曲がった針を返す。


「!? あ、はい。どうぞ」


 こんなに曲がった針をみて反応それだけか。意外とこの世界では針を通さない人なんてよくいるのかもしれない。


「ん! よし! これでいいですか?」


「はい。登録完了まで二分ほどかかりますのでそれまでこの辺りでごゆっくりしていてください。完了しましたらお呼びします」


「あ、このナイフありがとうございました」


 と言って刃こぼれしまくりのナイフを返す。


「……では少々お待ちください」


 んーなんか変な顔された。




 とりあえず時間がかかるみたいなので近くの椅子に座った。


「ねえ、そういえばあなたが今まで魔法使う所一度も見たことないんだけど使えるの?」


「分からね。使ったことないからな。」


「まさか魔力ゼロとかじゃないんでしょうね?あなたは転生じゃなくて転移で来ているし、チートも貰ってないみたいだから地球に居たときと同じ状態ってこともあり得るし、それなら魔力ゼロでもおかしくないよね?」


「いや、そんなこと言われても分からない。確かにチート貰ってないけどこっちの言葉や文字は読めるようになっているから魔力も貰っていてもおかしくはないけど……それよりその言い方からすると魔力ないと何かマズイことでもあるのか?」


「マズイっていうかこの世界の生物は皆微量ながらも魔力を保有しているからどうなのかなって。それにもしかしたら冒険者登録もできないかもって」


 んー。

 つまり魔力持っていないからこの世界の者でない。なら異世界人だと気づかれるってことか?もしくはなぜ魔力が無いのか調べるためどこかの研究施設に強制収容させられたり……また研究所に入れられるのは勘弁願いたい。


「そんなに心配することないわよ。いざとなったら私の知名度を利用してなんとかするわ」


「いろいろ頼ってしまってなんか悪いな」


「いいのよ。あなただって私の我が儘に付き合っているんだし」


 とは言ってもまだ何もやってないからな。戦闘の時には活躍するぞ!

 そういえば最近真紀に名前を呼ばれないな。いつも〈あなた〉だな。あなた=夫な訳でもないしやっぱ名前で呼んでほしい。(なに言ってんだ?)あの悲劇の主人公のように〈キミ〉や〈お前〉としか呼ばれないのは俺は嫌だな。


 その事言おうとした時、受付に名前を呼ばれた。

 後で言えばいっか。


「お待たせしました。えーとですね、魔力が検出されませんでした。あらかじめ言っておきますが計器の故障によるものでは御座いません。このことについてギルドマスターがお呼びになられています。案内いたしますのでお連れの方も一緒に私について来てください」


 そんな気はしてたけどやっぱり魔力なしか。折角異世界来たって言うのに魔法使えないのは残念。




 ギルドマスターは三階の部屋にいた。

 マスターは大柄の(太めの)中年男性だった。見たところ優しそうな人だったのでちょっと安心した。部屋に入ると受付の人は戻っていき、今ここにいるのは俺と真紀とマスターの三人だけとなった。


「君がアモウ ハヤト君かな?」


「はい」


「それでお連れの方はあの賢者殿かな?」


「はい。よくお分かりになられましたね」


「私は陰ながらではあったが一度は共に戦った戦友ではないか。服装なんかを変えても顔をみれば分かる」


 ん?どういうことだ?


「さすがはギルドマスター。一度見たものは記憶されていますか」


「ふ、そうならいんだがな。そろそろ本題に入るぞ。ハヤト君、君には魔力がないそうだが率直に聞く、君はこの世界の者じゃないね?」


 正直に言うべきか迷ったがこのマスターに嘘は通じそうにないので正直に答える。


「はい」


「やはりそうか。本名で言わせてもらうがマリレーヌ殿、その顔からするとすでに知っているようだが?」


「はい」


「だがどうやって知ったのだ?」


「最初は感だったのですが私も元は彼と同じ所にいたのでそれを彼に言ったら自分から話してくれました」


「しかしマリレーヌ殿の出生は隣国バルトではなかったかな?」


「私の場合は転生でここにきました。つまり意識だけ、ということです」


「今は亡き貴殿の友人らもまたそうか?」


「……はい」


「ふむ……なぜ私がこんなこと知っているのか気になるだろ?隠す必要もないから言うとな、昨日神託を授かった。〈異世界から魔力を持たない黒髪黒目の少年が明日訪れる。ギルドに入れてやれ〉と仰っていた」


 神様意外と気が利いているね!


「私としては断る理由がないので君を冒険者に迎えいれる。しかし君には魔力による身分証明ができない。そこでこれを持っておきなさい」


 手の平サイズの長方形の木の板を貰った。

 そこにはマスターの名前や他証明のためのことが彫られていた。

 マスターの名前はブライアン。なんかカッコ良い。


「それがあれば身分証明ができる、と言うよりは君の後ろ盾に私がいることを知らしめるものだ。自分で言うのもあれなんだが私はそれなりの権力を持っている。そしてそれを持っている者はその私に認められたという意味で多少の権力を持つことになる。君がその権力を悪用する用には思えんがそれを奪って悪用しようとする者はいるだろう。つまり私が心配しておるのは君がこれを所持するに必要な力があるか、ということだ」


 それを心配するのは当たり前だろう。魔法が大きな力を持つこの世界で魔力を持たず魔法の使えない俺は常識で考えると無力だ。


「では俺は何をすればいいのです?」


「私と試合をしよう」


「はい?」


「私が所有する訓練場に今から移動する。そこで君の実力を試させてもらおう。私の心配は無用だからな。こう見えて昔ドラゴンを倒したこともあるのだからな」


 マジですかってあれ?ホテルの受付の人この街にドラゴンと同等以上の人いないっていってなかったっけ?


「私の部下の一人に回復系魔法の上級者がおるから怪我の心配もいらんからな。じゃあこっちだ、ついてこい」




 移動を始めると、真紀から忠告を受けた。


「ねえ、一つ言っておくけどあの体系だからって油断すると負けるわよ」


「へえ?」


「だから、魔族侵攻の時見たから知ってるんだけどマスターは見かけによらず素早い動きもできるし、力もあるから油断するとすぐに負けるよ」


「なに! 油断するとこだった。ありがと、これで俺は勝てる」


「ほんとに? 絶対勝ってよ。じゃないとあなたお店の掃除とかしないとお金稼げないことになるわよ?」


「げ! それは嫌だな」


「じゃあ頑張ってよね」






 話が終わってしばらくすると訓練場に着いた。そこはなんとギルドの地下にあった。広さは学校の体育館二、三個くらいだ。


「武器はそこにあるのから勝手にとってもいいぞ。もちろん自分の武器を持っているならそれでもいいが」


「あの服はありますか? この服戦闘向けじゃないんで」


「それならそこにあるぞ」


「あ、すみません。お借りします」


 その服に着替えた。見た目普通の服だが大丈夫なのだろうか?


「審判はさっき言った治癒士が担当する。私の部下だが審判は公平にするから心配はしなくていい」


「今回治療と審判をしますマリーズです。多少の怪我なら治せますが無理はなさらないでくださいね」


「はい、お気遣いありがとうございます」


 怪我なら大丈夫なんだけどね


「では審判。ルール説明をよろしく願う」


「はい。今回の勝負は一回のみでどちらかが負けを認めるまで続きます。特に禁止の技などはありませんが致命傷となりうる攻撃は絶対止めてください。簡単なルールですが質問はありますか? ……無いようですね。では開始しますので準備してください」


 準備って言っても俺素手だしなんもすることないな。


「ハヤト君、本当に素手でいいのかい?」


「はい、僕武器使ったこと無いんで」


「そうか、だが私は本気で行くからな?」


 そう言ったマスターの使う武器は長さが刃のとこだけで二mもありそうな大剣だ。長さだけでなく幅も三〇cmはありそうだ。

 真紀の言っていた通り見た目通りの人ではなさそうだ。


「では両者準備ができたようなので試合を開始しようと思います。三から〇までカウントしますので〇を言いましたら始めてください。ではいきます。サン、ニ、イチ、ゼロ!」


 最初に動いたのはマスターだ。俺の目の前まで急接近し、人間とは思えない速さで大剣を振り下ろしてきた。


 俺はそれをピボットで避ける。そして背後に回り込み回し蹴りを喰らわす。


 マスターは壁まで吹っ飛ぶが態勢を整え、足を使って衝撃を和らげた。


「なかなかやりよる……。だが、私の本気はここからだ!」


 あれ? まだ本気じゃなかったの? たしかにあれで終わられても困るけど。


「無限なる炎の襲撃、エターニティファイアー!」


 なんだそれ!?

 マスターの頭上に四つの魔法陣らしきものが形成された。


「嫌な予感しかしね~な」


 予感は的中。魔法陣から連続で出てくる炎の玉が俺を目掛けて飛んでくる。


 俺はとにかく走って逃げた。だがスピードもあり一つの大きさが顔ほどの大きさの炎だ、当たらなくても近くを飛んでくるだけで火傷してしまう。すぐに治癒するから問題ないのだがこのままだと決着がつかない。


「そろそろ逃げ回るのもやめるか」


 そしてマスターの方を見た。平然とした顔をしている。

 なんかムカつくな。だがそんな顔できるのもこれまでだ。


 俺はマスターへ一直線に走っていく。もちろんその間にも炎の玉は俺目掛けて飛んでくるが俺はそれを殴って防ぐ。もちろん痛いし熱いが痛さは一瞬なので後は根気だ。


「なに!?」


 マスターも動揺しているようだ。よし、このままスピードを上げて体当たりだ!


 さすがマスター。一気にスピード上げた俺に気付いたようで横に飛び退いた。

 俺はスピードに乗りすぎてすぐに止まれなかったのでそのまま壁に衝突した。カッコ悪いな。


「痛たたた、ん!」


 マスターも容赦なしだ。俺が壁に衝突して怪我したのに切りかかって来るなんて。

 たが多少の迷いはあるようで最初の切り込みより速さがない。


 これはカッコ良く決めるチャンスだ、と思い真剣白刃取りを試みる。


「!? お前なかなかやるな。だがこれまでだ!」


 成功した喜びもつかの間剣の刃が炎に包まれ始めた。そして俺の腕も燃え上がった。


「うわぁぁぁ」


 これはふざけて言ったのではない。本当に痛かったのである。骨折とは一味違った慣れない痛みだった。


 しかしこのまま手を離せば俺の負けになる。俺はそれだけは嫌だった。マスターには非常に悪いが剣を折る事にしよう。

 俺は手に入るだけ力を籠め、折った。そしてすぐその場から立ち退く。手はすぐに治ってゆく。


「なっ、わ、私の剣、が……」


 やっぱり剣を折るのは反則にこそならないがやめておくべきだったかもしれない。剣というのは武士にとって命の次、いや命と同等かそれ以上に大切なものだ。この世界の人も武士と似通った考えを剣にもっていても不思議ではない。


「あの、剣を折ってしまい本当に――――」


「それ以上言う必要はない」


「剣が折れたのは私が未熟な故のものだ。それに優秀な鍛冶屋に頼めば元通り修理だってできる。気にすることはない。それより君は私に勝利した。それも圧倒的にな。これで安心してあれを渡すことができる。冒険者として活躍することも期待しているよ」


とは言われたが今度から試合で剣を折るのはやめよう。






 その後マスターは治療をしてもらい(俺の蹴りで骨が折れてたみたい)、俺は元の服に着替えた後、マスターのオフィスへ戻った。そこで身分証明の板を貰い、冒険者になるにあたっていくつかのありがたいお言葉も貰ってギルドを出た。

 外はもうすっかり日が暮れて夜になっていた。時間が進むのは速いな。

 この世界では基本夜に店は開いてないみたいで、例外的に開いているのは大人の店くらいだった。そのため服屋も閉まっていたため服の購入は明日にすることとなった。


 宿に帰ったらそれぞれ自分の部屋に入った。汗も結構掻いたのですぐにシャワーを浴びた。そしてシャワーを浴びた後着替えが無いことに気が付いた。日本でホテルとかには部屋に浴衣とか置いているからこの部屋も探してみたが無かった。


「またこの服着るのかよ。下着だけでも替えたいわ……」


 特にシャツは替えたかった。明日下着類も買わないとな。


 仕方なく服を着て、ベッドに横になった。ぐっと睡魔が襲う。体の傷はすぐ治るのに脳の疲れは寝ないと癒されないのが今だに不思議に思える。

 寝るにはまだ少し早いかもしれないが起きててもやることないし寝るとしよう。


 そうして眠りについた。


読んでくださった方ありがとうございます!

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