雨宮「俺はまだ死ねない!」
このペースで書くと7話で多分SoAの文字数超えるよ。前のが短すぎたのが問題なんだけどね。
いや、うん。あの後二人ともヤケになっててさ。
4時間ぐらいぶっ続けで特訓したわけよ。
でも今って夏じゃん?暑いじゃん?
朝だからといって水分補給も無しにそれだけの運動するとどうなるか……
というか出来たこと自体が奇跡に近いよな……
結論から言うと熱中症。意識はまだはっきりしているから大丈夫だが……
気持ち悪い……水をくれ……
「ハナ……スポーツドリンク買って来てくれ……」
「普通の人には見えないっていうのもう忘れたの?」
「この世界には……自販機という便利なものがある……」
「あーはいはいわかったわかった、買ってくるから」
「た……のむ……」
死んでないよ?眠ってもない。
とりあえずハナに千円札渡して「ありったけ買って来てくれ」と指示をした。
ペットボトル6本が限界だけどな……
ハナが山の下のほうに降りていくのを見て、俺は木陰に移動し、木にもたれかかる。
眠い……夜眠れなかったことがこんなところの伏線になるなんて……
ん?向こうのほうからガサガサと木が揺れる音がする……
……だんだんこっちに近づいてきてる?
兎とか小動物ならいいが、猪とかだとヤバイ。
たしか熊はいないんだよな、この山。実はいるとかやめてくれよ?
あ、音がどんどんでかくなる。これは結構大物ですわ。
うーん、襲われそうになったとき逃げれるか……?
すごく近くなってくる、もう数秒で目の前にでてくるだろうな。
…………来る!
「ふはーやっぱこの森抜けるのめんどくさいなー」
…………出てきたのは同い年ぐらいの少女だった。
かわいらしい顔立ちで髪は長く、後ろでくくってポニーテールにしていた。
「そこの人、こんなところでどうしたんだい?」
俺のことを言っているのだろう。
適当に説明をしなければ。
「えっと……ちょっとこの辺で運動してたら熱中症に……」
「熱中症!?大変じゃないか!水持ってきてあげるよ!」
そう言うと少女はまたガサガサと森の中に入っていった。
!?今度はすぐに出てきた!しかもちゃんと水を持ってる!
「はいどうぞ。」
「あ、ありがとう」
「夏なんだから運動するときは水分補給をちゃんとしないと駄目だよ?」
「アハハ……気をつけます。」
ホントに次からはちゃんと準備しよう。
貰った水を数秒で飲み干してしまう。
死んでないけど生き返った気分だ。
「うーん、やっぱりここで休憩するより、もっとちゃんとしたところで休憩するべきだよ。僕の家で休んでいきなよ。」
「え……いや、そこまでしてもらうわけには……」
「遠慮はいらないよ。」
そう言うと少女は俺を軽々とおんぶする。
どうみても筋力の無い華奢な体なのに……どうなってるんだ?
「ショートカットするからね」
「え、あ、はい。」
森を抜けるということだろう。
さっきと同じように森の中に入る。
少女は森に入ってすぐに何かをつぶやいたような気がした。
次に俺は何が起こったのか理解できなかった。
どう考えても森は数メートル以上の距離はあるはずなのに、一瞬で家の前に来ていたからだ。
寝てしまっていたのか?いや、そんなはずは……
「さ、着いたよ。」
「??」
家の外観は立派な日本家屋だ。
表札もちゃんとついていた。
しかし、山の、森の中に家があるというのは
少女は俺を背負ったまま玄関の戸を開ける。
「ただいまー」
「え?さっき水もっていったばかりじゃない」
玄関で出迎えたのは、金髪のこれまた俺と同じぐらいの年齢の少女
この子と違って凛とした綺麗な、でもすこしかわいい顔立ち。
長くて綺麗な金髪はツインテールにしてある。
姉妹……ではないよな?国籍から違ってそうだし。
「いや、木陰よりはここのほうがいいかなって思って連れてきちゃった。」
「あ、どーも」
「えーと?」
「後でちゃんと説明するよ、とにかく僕の部屋で休ませるから。」
「ちょっ!時音!?」
どうやら時音という名前らしい。
さっき見た表札には『風晴』とあったのでフルネームは『風晴時音』かな。
俺は背負われたまま部屋に連れて行かれた。
部屋はあまり少女らしいとは言えないシンプルな部屋だ。
飾り気のない男のそれと似たような。
俺はベッドに横にさせられ、薄い布団を掛けられる。
近くにあった扇風機も回してくれた。
「えーっと、まぁ僕のベッドだけどゆっくり休んでね?」
「え、あぁ、はい」
「水持ってくるよ、ありすにも説明しとかないとね。」
そういって時音さんは部屋を一旦出たわけだが……
女の子のベッドで健全な男子高校生がゆっくりできるか!否ッ!
……つっても一気に気が緩みすぎて眠い。すぐにでm…………。
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「ハッ!」
「あ、起きた。」
どうやら完全に睡魔に負けていたようだ。
明かりがつけられている。何時間寝ていたんだろうか。
時音さんは小さなソファに座って漫画を読んでいた。
「はい、水」
「あ、ありがとう……」
渡された水を飲んで時間を確認する。
壁に掛けられた時計をみるともう9時前だった。
そんなに寝てしまうとは……
あ!……忘れてた……
「すみません、俺帰ります。いろいろとしてもらってありがとうございました。」
「え?夜の山なんて危ないよ。どうせなら泊まっていけばいいのに」
うん、俺もそうしたい。でも思い出しちゃった。
「じゃあ僕が送っていくよ。」
「え、いや、君が危ないじゃないか」
「慣れてるから大丈夫だって。」
結局俺は時音さんと一緒に下山することに。
「俺を見つけたとこまで行ってもらえますか?」
「一気に下まで降りなくていいの?」
「いや、ちょっと忘れ物が……」
「そうなの?わかった。手を離さないでくださいね?」
女の子の手なんてそうそう触れるものじゃないからな!
自分から離したりなんてしたくないぜ。
「……××。」
時音さんが何かをつぶやいたのが聞こえたような気がした。
気がつくと俺たちが特訓していたところにもう戻っていた。
もう慣れてしまったのか驚かない。俺の適応能力が速すぎておかしい。
とにかく周りを見渡して探す…………いた。ハナだ。
ハナは驚いた様子でこちらを見ている。
「……忘れ物ってもしかしてあの子?」
「え…えぇ……まぁ……」
「あんな小さな子を放っておくなんて!」
「えぇ!?」
あなたが俺を連れて行ったからでしょう!?
いや文句は言えないけども……
「あぁいや、僕が無理矢理連れて行ってこんなことになったんだから僕のせいか……」
「と、とりあえずあの子のとこまで行きましょう。」
なんだかなぁ……
「あの子は妹さん?」
「あぁ、うん。そう。」
他に言い訳も思いつかないしそれでいっか。
とりあえずハナのところまで行くと……
顔面に飛び蹴りが入った。うまく骨を折らないように痛みだけ与えてきやがる。
「どこで何してたのよ!」
「まぁまぁ落ち着いて、僕が熱中症で倒れてたとこをつれて行っちゃっただけで、お兄ちゃんに悪気があった訳じゃないからさ?」
「!?……そうなの。すみません。うちの兄が迷惑を掛けたようで」
「よくできた妹さんだね」
「えぇ、まぁ……」
「それじゃあ山の麓まで行こうか」
そこから俺たちは麓まで降りて時音さんと別れた。
いろいろと不思議な子だったなぁ
家への帰り道、ハナが唐突に話し始めた。
「速人、あいつ能力者よ」
「ん?時音さんのこと?確かにいろいろおかしいことがあったけど……なんで確信できるんだよ」
「昨日も昼も言ってこれで3回目よ?そろそろ覚えて欲しいわ。……私は普通の人間には見えないの。」
「!?……普通に話してたな」
「向こうに私が神の使いってことがバレてはいないようね、でも兄妹設定なんてその頭でよく思いついたわね。」
「あぁ、これで怪しまれないだろ?(俺が考えたわけじゃないけど)」
「……忘れ物が多いわね、私はあなたの思考も読めるのよ?」
「そういえばそうだった」
「まぁとりあえず彼のことはあなたの記憶でも探らせてもらうわ」
「記憶まで見れるの!?」
「そういえばこれは言ってなかったわね」
「普通に話すから記憶見るのやめてくれ、恥ずかしいから」
「…………わかったわよ」
そんなことを話しているうちにもう家に着いた。
なんか1日開けただけなのにすごい久しぶりに帰ってきたって感じがする。
ぐぎゅるると俺の腹が鳴る。そういえば俺、朝しか食ってねぇ。それも相当早かったよな。
思い出したらすっげぇ腹が減った。話とかは何か食った後にするか。
時音の身体能力の高さは三章ぐらいで説明する、覚えてたら。