雨宮「説明説明&説明」
説明回って難しいね。まだ序盤だからキャラが喋る機械みたいになっちゃうんだよね。それで時間かかったんだよ。済まぬ。…………実は遊んでました。済まぬ。
午前5時、俺は目を覚ました。昨日寝たのが0時だ。
疲れているはずなのにあんまり眠れなかったな。
押入れを開けて昨日のことが現実なのか確かめたいが……
ハナが寝ているのを起こすのも可哀想だな。起きてくるのを待とう。
現実かどうかは台所にでも行けばわかる。
昨日のことが現実だったらインスタント食品が山のようにあるはず……。
夢であって欲しいという希望を持って台所を覗くと…………あった。
現実だと認めるしかないようだ。諦めるしかないのか……
一ヶ月も一人暮らし体験は酷すぎるだろ。いやハナいるけどさ。
俺は適当に朝食を取り、自分の部屋で宿題をして暇を潰す。
早起きしても三文得したりしねぇ。行動起こしてないけども。
6時ぐらいになるとハナが起きてくる。
「おはよう、意外と早起きなのね」
「眠れなかっただけだ、いつもはもっと遅い。」
「ふーん。」
興味なさそうだな、まぁこんなことに興味もたれても困るが……
「せっかく早起きしてるんだから特訓しましょう」
「いきなりだな……まぁすることないし別にいいけど」
「暇人ね、友達とかいないの?」
「『いないことはない』とだけ言っておく。」
ちゃんといるよ?学校で話す奴ぐらいちゃんといる。
俺が友達だと思っていれば向こうが違うと思っていても俺の中で友達であることは変わらない!
……何を言っているんだろう。
とにかく能力を使う特訓だっけ?
俺は適当に着替えて部屋を出る。
「どんなとこで特訓するんだ?」
「人のいないところがいいんじゃない?見世物になりたくはないでしょう?」
「……そうだな。」
家を出て、俺たちは家から少し近い山に行く。
この山は熊とかはいないらしいけど、変な噂があってあまり人が寄ってこない。
噂の内容は別にいいだろう。よくある怪談話だ。
山奥に家があってそこに化け物が巣を作ってるとかそういう類
「で、何をするんだ?」
「まずは自分の能力で何が出来るかを確かめなさい」
「……能力ってどうやって発動させるんだ?」
「……そういえば、昨日能力については一切触れなかったわね。理解しやすいように能力そのものについてから説明したほうがいいかしら?」
「頼む」
「そうね、能力は体の普段使わないエネルギーをイメージのままに発動するものよ。」
「え?てことはなんでもできんのか?」
「違うわよ、強く脳裏に焼きついているイメージが基本。それを神の使いが能力に固定して、そこから派生させて、別の能力にすることが……出来ないこともないわ。」
「最後回りくどいぞ、つまり……?」
「……つまり、『能力は基本イメージがあれば使える。さらにその基本から出来ることを見つけていくと新たな能力とできる。』ということよ。ついでに言うなら、イメージだから理論から外れた能力の奴もいることを補足しておくわ。神としてはあんまり捻じ曲げて欲しくないらしいけど。」
「ふむふむ、ところで俺の能力って何なんだ?」
「『加速』ね。アタリともハズレとも言えないけど、それは使う人間次第よ。」
「『加速』……逃げてるときだからそういうイメージになったってことか。」
「あの時だけでそこまで強いイメージは持てないはずよ、もとから何か速く動くイメージがあったんじゃないの?」
「いや、そんなこと考えてねぇよ。何でだ?」
「知らないわよ、そんなこと」
「まぁいっか、さっそく使ってみるか」
「まだ説明は終わってないわよ。使うにはまだ条件があるの。」
「まだ何かあるのか」
「能力を発動するときにはイメージともう一つ条件があるのよ。これをしてないと、これがないと使えないってやつ。」
「そんなのまであるのか。で、『加速』の条件って言うのは?」
「さっきから思ってたけど意外とノリノリね、どんな心境の変化があったのよ。」
「まぁアレだ、ヤケクソってやつだ。変えられないならそこで何とかするしかないって。」
「そこまでヤケクソでもないじゃない……『加速』の条件は『動いていること』よ」
「動いている間は使えるってことか」
「能力に似合わず意外と簡単ね、とりあえず説明は終わり。実践してみなさい。」
「よしっ!」
気合を入れて能力を使う特訓開始だ!
まずは自分を加速させるか
歩きながら頭の中にイメージを作る……速く動くイメージ……うーん?
「駄目だ、イメージできねぇ」
「諦めるのが速いわよ、速いのは速度だけでいいの」
「いやそんな事いわれても困る」
「……イメージの作り方ね、技の名前でもつけたらいいんじゃない?火の能力者だって技に名前つけてたじゃない。」
「アレ意味あったのか!」
「名前があるとイメージしやすいってことね。『加速』とかどう?」
「それはなんかイメージと違うな。どっちかっていうと『音速』とか」
「決まったならもう一度やってみなさい。」
「あぁ」
ハナがクロックアップ知ってることはおいといて
名前も決めてそれっぽいイメージも出来たし、もう一度挑戦!
「『音速』!」
おお!速いぞ!すげぇー!
でも、逃げてるときのような速度は出てないな。
あの時はこれの2倍ぐらい速かったんじゃないか?
ところで……能力はどうやって止めるんだ?
やっべ聞いてなかった!どうすんだこれ!
あ、動いてないと駄目ってことは立ち止まれば止まるのか。
一旦立ち止まるか。
「うっ!」
立ち止まった途端脱力感が襲ってきて、そのまま倒れる
なんだこりゃ……
倒れている俺のところまでハナが来て言う
「普段使わないエネルギーだからそうなるのが普通よ。まぁすぐに慣れるわ。あと……」
「何だよ……」
「音速って言うほど速くなかったわ。改名が必要ね。」
今言うことなのかそれ……?
「ってあら?意識は飛んでないみたいね。燃費がいいのかしら」
「知らねぇよ、あとこうなることは先に言え。」
「言ったら使うの恐がるかもしれないでしょ?」
「いや恐がらねぇよ。てか無意識に使ったときより遅いのに消耗激しいってどういうことだよ。」
「意識して使ってるから自分で加減することが必要なのよ。でも普段使うことの無いエネルギーだから、その加減ができない。だから無意識に加減して使いこなせてるときより、消耗が激しいという訳よ。速度が遅いのはイメージした速度が遅かっただけでしょ。」
なんだかなぁ……相当速いイメージあったのに……
こんなとこで横になってても仕方ない、一旦家に戻るか。
起き上がることは出来そうだな。
「よっこらせっと」
起き上がり帰路に着こうとすると
「どこへ行くつもり?」
「体だるいし今日はここまでだろ?」
「何のために私がいるのよ。その程度の消費なら普通より少なくて済むわ」
「は?どういう……」
聞こうとしたそのとき、ハナが俺の手を掴む
掴まれた手から、よくわからないがエネルギーが流れ込んでくるような……
気がつくと体の脱力感は消えていた。
「私のを分けてあげたのよ、消費が少ないからあと40回ぐらいやっても私に影響は無いわ。」
「だからそういうのは先に言っとけよ。」
「あなたが聞こうともせず動くんでしょ?」
そういえば……その通りですね!
「まぁこうやって何度も出来るわけだからガンガン特訓しなさい。」
そうだな、時間だって無限じゃないし。他にやることも……きっとあるはずだ!
「『高速』!」
まずはさっきの速度でもマスターしとくか。
名前も一つレベルを落とした感じがするだろ?
この速度でエネルギーの使い方を覚えよう
これは……だいたい五倍ぐらいの速度だな(適☆当)
いや☆に意味はないぜ?なんとなくつけただけだ。
しばらく走り回って疲れたころに能力を解く。
今回はふらつきはしたものの倒れるほどではなくなった。
すぐにハナに手を出してもらって回復
空になったところへ満たされる感じが気持ちいい……
なんか中毒性がありそうだな
「2回目でいきなり慣れるなんてすごいじゃない、もしかしたら才能あるわよ」
「そんな才能必要なのか?」
「さぁ?それはあなたの主観よ。」
「褒めといてそれかよ……」
「次は最初に言った『能力で何が出来るか』を試しなさい」
「何が出来るか……『加速』だろ?」
「『加速を使って何が出来るか』よ。自分の速度を上げるだけじゃ『加速』能力とは言いがたいわ」
うーむ、つまり……他のものでも出来るか試すとかそういうことか
投げた石が加速するイメージを作り、その辺の石を拾い上げて適当に投げる。
もちろん歩きながらだ。
「『高速弾』!!」
いい感じに中ニ病だな
しかし……石は投げたときのそのままの速度で落ちる。
物体の加速は出来ないって事か?
いや、もう一度だ!
「『高速弾』!!」
しかしなにもおこらない……
「……もしかして『自分の速度を上げる能力』だけなの?」
「知るか、俺に聞くな!」
「『加速』かと思ったら速度上げだけなんて……道理で条件や燃費がいいはずだわ……」
「ま、待てよ!もしかしたら物に効かないだけで生物には効くかもしれないだろ!」
「生物も物も意思を持っているかってだけで一緒のものよ。つまり無駄。あなたの能力は『自分の速度を上げる程度の能力』よ!」
「別にそれでも問題ないだろ!か、加速しながら投げれば一緒だ!」
「だいたい『対象指定』できない能力なんて能力と言えるのかしら……」
「なんだよ対象指定って」
「能力は大抵『部位指定』『対象指定』『範囲指定』が出来るのよ。『加速』に関して言えば『範囲指定』できても意味が無い。あなたが言ったように加速しながら投げれば速度は一緒だけど、『対象指定』が出来れば能力を使ってないように見せて撃てる。つまり不意打ちが可能、これが戦いでは結構大きく出るのよ。」
「部位指定とやらがあるじゃん!」
「どの部位加速させると強いの?」
「足と手と感覚だろ」
「それ全身強化でいいじゃない。消費も少ないし」
「ぐぬぬ……てかなんでお前が悲しがるんだよ!『加速』の下位互換で悲しいのはこっちだろ!」
「バトルで優秀な成績出せたらいい職に就けるからよ。」
「あ!お前にもいいことあるから無理やり出場決めてるんじゃねーか!『面白いから出す』とか『神様の決めた規定が鬼畜だから棄権できない』とか嘘だろ!」
「それは一応両方本当よ。」
「一応ってなんだよ!」
「嘘は言ってないってことよ。わからないの?バカなの?死ぬの?」
果てしなくウゼェええええええええええ!!
なんだよ急に!いつからこんなウザいキャラになったんだよ!
前の世界線からか!俺は何を言ってるんだ!
「しかたないからそのただ速くなるだけを極めましょう。」
「しかたないとか言うな」
「いや仕方なくその能力を鍛えてあげるわ」
「真面目にやってくださいお願いします。」
まだ特訓は始まったばかりだ!
もしかしたらたまたまそれが使えないだけかもしれない!
俺はまだ希望を捨てない!絶対に諦めないぞ!
あれ?なんで俺こんなに熱くなってんだろ……?
ネタなのかネタじゃないのかって言われるとネタ
雨宮君は真面目でいい子なんです。そういう奴嫌いだけども。