便り
四十六億歳年上なのに子供っぽいコスモスちゃんへ
月さんがいなくなってから十年過ぎました。もうあなたに嬢ちゃん扱いはされないでしょう。わたしは今宇宙まで来ています。理由は二つ、地球の美しさを伝えること。もうひとつは、あなたに会うためです。ここまで来るために一生懸命頑張ったよ。ちょっとは褒めてくれていいんじゃないかな。
今、あのときわたしと同じ境遇だった人の一人と一緒にいます。でもその人の前に現れたあなたは猫だったそうですね。それにすごく素直だったとか。それにドイツの人の前で、わかりやすくエルデ、ドイツ語で地球を意味する名前だったっていうじゃない。ちょっといただけないなぁ。どうしてわたしには面倒な性格だったのかな。本当に意地悪なんだから。
それと多分だけど、絵本を描いている人もいるみたい。なんとなくだけど、内容が状況を知っているっぽいから。今度会いに行ってみようと思うの。それでいつか、何人いるかわからないけどみんな集まって声を大にして世界に伝えてやるんだ。あの時の奇跡を。
そうそう、あの奇跡をまだ科学的に証明しようとしているみたい。いつかあれも説明できるようになっちゃうのかな。そうなったらまた次の策を考えなくちゃね。
宇宙まで来て何より感じることは、あなたと引っ張りあっている感覚。少しはわたしを自由にしてよね。っていうのは冗談だけど、この感覚は大事なことだっていうのがすごくわかるの。わたしが伸ばした手をしっかりと握ってくれている、あなたの伸ばした手をしっかりと握っている。引力。寄り添う力。とっても素敵な力。こんな素敵な力を教えてくれてありがとう。
最後はあなたに倣って気障に締めさせていただくね。この恋文も今はここまで。
ギリシャの月の女神セレーネより




