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セカンドワールド!  作者: こ~りん
四章:変幻自在のベトゥリューガー
63/115

63.リザルリザル火山

 □イシュタリア王国王都・ロザリー


 ログインしました。

 今日は第二陣がスタートするということで、始まりの街には勧誘目的のプレイヤーが集まっているらしいです。


 私? 行くわけないでしょう。レベリングしますよレベリング。


「やっほーロザっち! 昨日は楽しかったね!」

「そうだね」

「柔らかかったなぁ……」

「そう――何が?」


 とりあえず軽く抓っておきましょうか。


「頬が痛い……。で、今日はどこに行くの?」

「リザルリザル火山。良質な金属素材が沢山ドロップするみたいだから」

「あ、強化素材!」

「そろそろ強化しておきたいからね」


 リザルリザル火山はゴーレム系の魔物が多数出現するフィールドです。採掘ポイントもそこら中にあるらしいですが、店売りのピッケルは鉄か鋼で作られているので、上位の金属素材は採掘出来ないんですよね。


「……あれ? ピッケルは?」

「これ」


 なので、私が取り出したピッケルは呪魂鋼製です。呪われていますが、断じてカースドウェポンではありません。

 カースドウェポンはもっと禍々しくて自分勝手な呪いですから。


「私のは?」

「はいこれ」


 ユキには黒鋼製のピッケルを渡しました。これも通常の鋼より硬い金属です。

 そしてかなり重たいので相応の筋力が要求されます。オニビトであるユキなら軽々と持てるでしょう。


「ところで、そのリザルリザル火山ってどこにあるの?」

「王都の北西だよ。一昨日ふもっふさんに教えてもらったでしょ」

「ごめん聞いてなかった」


 と言うわけで移動します。

 位置的にはミストレイルの北ですが、距離的には王都の方が近いんですよね。

 それと、奥へ行くほど馬での移動が厳しくなるらしいので徒歩での移動になります。


 移動自体は取得したばかりの【韋駄天】があるので苦労しません。このスキルは長距離を休まずに走り続けることで取得可能になるスキルであり、効果時間を過ぎても慣性が消えるわけでは無いので、巧く扱えば一〇〇メートルぐらいなら速度を維持できます。


「そう言えば、第二陣は何時からスタートするのかな?」

「一二時でしょ。サービス開始されたのもその時間だし――って言うか、お知らせに書いてあるし」


 とは言え休憩は必要です。

 効果時間中ならスタミナは無制限になるのですが、切れた途端にゴリッと削れるので休憩を挟まないと効率良く移動できません。


 現在時刻は一一時半。休憩がてら公式サイトを覗いていたのですが、第二陣がログイン出来るのは一二時からだと書かれていました。


「始まりの街は混雑するだろうね」

「満員電車みたいに?」

「多分もっと酷いと思うよ」


 押しくら饅頭……みたいな比喩じゃ表せない光景が脳裏を過ぎったので、混雑解消のためにサーバーが分けられていることを祈りましょう。


 さあ、休憩を終えたら再出発です。


「――お、見たこと無い魔物だ」

「アロイリザードだって」

「合金蜥蜴!」


 リザルリザル火山に到着した私とユキは、ピッケル片手に採掘をしながら気ままに散策していました。

 遭遇する魔物はアロイ……合金の性質を持つものばかりです。

 進化して【看破眼】になったこのスキルによると、鋼以上の剛性がある外皮は炎や氷に高い耐性を持った代わりに、雷系の魔法に弱いと書かれています。


 はい、物理メタです。ですが、このくらいのメタで躓く私達ではありません。

 体内は普通の生物と同じなのでユキのクリティカルが輝きますし、呪詛デバフも簡単に掛けられますし、ベレスの影同化状態からのコンボも効きます。


 一般的なプレイヤーなら苦戦する魔物なのでしょうけどね。

 ちなみにピッケルで攻撃すると特攻が入ります。


 アロイリザードの他には、アロイゴーレムとアロイハンターの順で遭遇しますね。


 アロイゴーレムはその名の通りなのですが、アロイハンターは少し特殊というか……ウザいというか。

 まず、コイツは他のアロイ系魔物との戦闘に乱入してきます。三つ巴と言うよりは漁夫の利を狙う乱入の仕方なので、とうぜん劣勢の方に襲い掛かって優勢の方には見向きもしません。

 そして獲物を倒すと、ドロップ品を奪って去って行くんですよ。


「――お、ロザリーさんと白雪さんじゃないっすか」

「ちわー」

「こんにちは」


 しばらく採掘と戦闘を繰り返していると、山を下りてくるハイトリカブトさんと遭遇しました。

 彼も【地平線の騎士団】のメンバーであり、普段は配信者として活動している人です。


「カブトさんも採掘ですか?」

「そっすね。魔物もピッケルさえあれば何とかなるんで、アロイハンターにさえ気を付ければ」

「ああ……面倒ですもんね」


 彼は【二刀流】を発見した人であり、両手にそれぞれ武器を持って戦う近接物理アタッカーです。物理耐性が高いアロイ系の魔物は天敵でしょう。

 行動を共にしたことはありませんが、実力はトップクラスだと聞いています。


「俺はピッケル使い潰したんで帰るとこっすけど、魔物は殆ど手ぇつけてないんで気を付けて」

「分かりました。では」


 彼も採掘目的で来ていたようで、手ぶらのまま私達が登ってきた道を下っていきました。


 そして昼から夜まで採掘を続けた私達ですが、魔物のドロップ品のうち三割はアロイハンターに奪われてしまいました。

 鉱石はたんまり手に入ったんですけどね……。強化素材にするとはいえ、余った分は手軽に換金できるのでなおさら金属を失ったのはちょっと、って感じです。


 ♢


 更に翌日。リザルリザル火山で採掘を続け、用意したピッケルを全部使い切った私はシルビアさんの店を訪れました。

 ユキも鉱石を大量に持ち込んでいます。


「沢山持ってきたね……。じゃあ強化するよ……」


 リザルリザル火山で採掘した鉱石と、そこでドロップした様々な合金の中から強化素材に最適なものを選んで、シルビアさんは侵呪のハルバードの強化を始めました。


====================

【地平線の騎士団】

『ロザリー』レベル56


右手:侵呪のハルバード+5

左手:――


防具:脱兎フード+8

  ├紳士で丈夫な衣服(上)─呪魂鋼の胸当て

  ├紳士で丈夫な衣服(下)

  ├ブラッドカウのベルト─頑丈なベルトポーチ

  ├【影追の竜鱗腕鎧】

  └【呪骸纏帯 ヴルヘイム】


装身具:妖精の耳飾り

   └ベレスの絆


スキル:【奇襲戦士LV4】【ハルバードⅡLV30】【鑑定眼LV22】【看破眼LV3】【悪路LV23】【襲撃ⅡLV4】【斬撃ⅡLV4】【跳躍LV16】【呪詛支配LV19】【瞬発力強化LV8】【持久力増加LV8】【状態異常耐性:麻痺LV3】【状態異常耐性:毒LV13】【状態異常耐性:出血LV4】【採取術LV8】【採掘術LV2】【植物学LV5】【影の加護LV2】


アーツ:《スラッシュ》《カウンター》《大切断》《呪影》

====================


 そして、これが今の私のステータスです。実は脱兎フードは+8まで強化してあります。

 アーツは色々と自分好みにカスタムしているので、結果的に統廃合した形となっていますが、以前より格段に扱いやすくなっています。


 レベルも上がり、Sレベ――スキルレベルだと紛らわしいので略すことにしました――も着々と上がってきています。

 【採掘術】は昨日進化させて入手しました。


「はい、限界まで強化したよ……」

「ありがとうございます」

「でも……、まだ強くできるよ……。一〇〇万ぐらい貰うけど……、どうする……?」


 使用した素材が予想より少ないと思ったら、+10から先への強化はそんなに掛かるのですね。

 とはいえ、金策はしていますがお金に困っているわけではありません。


「もちろん、強くできるのならお願いしたいです」

「じゃあこっちに来てね……。ここじゃ出来ないから……」


 言われたとおり奥の部屋に進みましょう。

 侵呪のハルバードは私しか持てないのでちゃんと持っていきます。

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