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こうして私は無双する・みかんVer  作者: まるたん
第五編・最終章
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馬鹿な冒険者に福音の到来【10】

「……そ、そっか……あはは……そ、そうだよね? ミナトだって、いきなりこんな変な格好とか見せられたら、呆れるしかないよね?……はは」


 すると、シリアは急にしょげてしまう。


 ……リオは口元をビミョーにヒクヒクさせてしまった。


 なんとなくだが、思う。

 

 どうしてあなたは、そこまで打たれ弱くなるのだ?……と。


 最近は、だいぶ気丈と言うか、抜け目のない性格になって来たと言うのに……。


「こう言う所は打たれ弱いんだね……やれやれだわ」


 やはり、まだまだシリアもお嬢様気質が抜け切れていないと言う事なんだろうか?


「……相手がリオちゃんだから、思い切って言うけど……私、さ? なんかミナトに敏感って言うか……その、ミナトの反応が凄く気になって仕方ないんだよね」


 程なくして、シリアが苦笑混じりのままリオへと答えた。


「……そうなんだね」


 リオは短く頷く。


 同時に気付いた。


 これは、シリアなりの宣戦布告だ。

 シリアはシリアなりに、リオを恋のライバルとして認めた事になる。


 だからだろう。


「……やっぱりさ? うん、ダメだと思った。もう、さ? 私はミナトが大好き過ぎて、ダメな人間になってると思う……思うけど」


 そうと答えたシリアは、ここで間もなく超が付くまでに真剣な顔になってから、再びリオを見据えて……言う。


「ダメな私が……私らしくて、大好きなんだよ!」


 力強く、そして、強い意志を持って。


「なるほど、分かったよシリアちゃん……つまり、これはシリアちゃんなりに、私へと挑戦状を送り付けた!……って事で良いんでしょう?」


「うん、そう!」


「……ハッキリ言うね」


 にこやかに、胸まで張って言うシリアに、リオは驚きを隠せない顔で言う。


 どちらかと言うと、内向的で……特にミナトへの恋心を上手に出す事の出来ない不器用なシリアが、かくもハッキリしっかりとリオに言葉で伝えて来るとは思わなかったのだ。


「もちろん、受けて立つよ?……あはは! お兄ちゃんは私のだから、絶対に渡さないんだからね?」


「ふふ……そう言ってくれると思ったよ? もちろん、私も負けないんだから!」


 二人はしばらくの間、互いに睨み合うかの様な態度を取ってみせる。

 これが漫画とかであれば、二人の間に猛烈な火花の様な物が激しく散っていたであろう。


 あまりにも剣呑な光景にすら見えたので、周囲を歩く商店街の買い物客が少し眉をひそめてしまう程度には、不穏な空気が生まれているかのように見えたのだが、


「ふふっ! じゃあ、これからもよろしく!」


 少し後、リオが笑みを作ってから答えると、


「うん! よろしくね!」


 シリアもまた、満面の笑みのまま声を返した。


 そこから、二人はどちらがどちらと言う訳でもなく握手をし合う。


 ミナトと言う共通の『好きな異性』がいる者同士、しっかりと親睦を深めたい……そう感じたのだろう。


 普通は、互いに相手の腹を探り合う物だが……今回に関して言うのなら、お互いに腹を割って話が出来る。

 よって、良くも悪くも同調や感銘に値する、精神的なシンクロがお互いに可能だったのだろう。


 何より、二人には立ち向かわなければならない、強力な恋敵ライバルが君臨している。


 パインとココナッツだ。


 この、途方もない強敵を前に自分一人で戦うのは……リオにしてもシリアにして、やはり心細かった。


 それなら、今は協力出来る相手と協力し合い、互いに協調するべきだ!


 リオとシリアの二人に絞られた時、互いに相手の落としあいが始まるかも知れないけど!


 それはそれでどうなんだろうと思うけど……この様な理由から、シリアとリオの二人には珍妙な絆の様な物が生まれて行くのだった。


 余談になるのだが……シリアとリオの二人は、この出来事を切っ掛けに、その仲を急速に発展させて行ったりもする。


 後に、キータの街で起こる大災厄と呼ばれる事となるだろう凶悪な巨大モンスターとの戦いで、シリアと一緒に戦う事へとなって行くのだが……まぁ、後日談程度にして置こう。




           ◁◁◀︎◀︎◀︎




 某月某日。


 キータ国の国境付近にいたりんごは、


「……さて、次はいつこの国来れる事になるのかしらねぇ……?」


 軽く空を見上げながらも独りごちる。


 見上げれば、青い空。

 心が洗われるかのような青い空に、白い雲が悠々自適に浮かんでいるのが見える。


「空にでも聞くです。みかんのパーティーにいるのなら、気まぐれでしか来ないしねぇ?」


 程なくして、りんごの近くにいたみかんが声を返した。


 この言葉に、りんごは肩をすくませる。


「……そうね? 確かに腐れキノコのパーティーにいたら、次はいつになるのか分からないわね?……でも、まぁ……それはそれで悪くはないけど……そうねぇ……十年。そう、せめて十年後ぐらいには、もう一度キータの街に戻りたい所ね?」


 りんごは、肩を竦ませながらもみかんへと答えた。

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