# 91 訓練施設の強化 その2
「みんなに渡したい物があるの」おやつを食べて、たわいのない話をして……みんなの緊張が解けて来た頃合いを見て話を切り出す
みんなの視線が集まった所で魔力を集中して『盾』を作り出す
「守りの盾……って感じかな? これを装備してもらうと自動的に護りが発動して攻撃とか害をなすもの? そういうものから守ってくれるお守り的なものなの。受け取ってくれる?」一瞬静寂が訪れたがまずは天ちゃんが言葉を発してくれた
《護ってくれるの?》
「そ、その様なものを……頂いてもよろしいのですか?」シェリーは何だか恐縮してる?
「ふーん。守りの盾ね……なんか弱そうだけど?」レイは相変わらず? だね
「いいの。これはあくまでもイメージなんだから! シンプルイズベストよ」
「で、これはサクラの負担にはならないんでしょうね?!」
「負担? ううん、平気だよ。これは魔力の塊で、受け取って貰えれば……うーん、魔石の魔道具的な感じかな?」
「ならいいわ、貰ってあげる」
「れ、レイっ! サクラ様のお心遣いになんて物言いをっ!」
「まぁまぁ……」とシェリーを宥めつつ、なんだかいつものやり取り過ぎて笑いそうになるのを抑える様に「レイも」とレイを軽く睨む
「それともうひとつ。こっちは状態異常を防いでくれるお守り。毒とか麻痺とか混乱とか視界不良とか……そういう系の魔法とか罠とかから護ってくれるはず。それと補助系? 魔力の発動をスピーディかつスムーズにしてくれたらり魔力量の節約にも役立つと思うよ」
「それは凄いわね」レイが珍しくストレートに褒めてくれた
「ありがと。ただね……効果は私が知ってるものに限られるって言うのがネックかな〜。魔力の扱いって万能だけど術者が未熟じゃ穴だらけみたいなのよね……勉強もしないとね」と肩を竦める
私が理解した 魔法……魔力の使い方って自分の中にある知識や経験を元に成立してる感じがする。この世界の魔法や魔道具……そして魔物なんかも理解すればするほど私の魔法も成長させられるんじゃないかな。って思った。今の私の知識はこれまでに触れてきた経験、主に読んだり観たりしたファンタジー世界がメイン……だってここはホントに空想の世界なんだもん……まぁここまでは凄く役立ってくれてるけどね
「お勉強でございますか?」シェリーが小首を傾げる……なんかちょっと可愛い……
「あ〜うん。魔法かと魔道具とか……魔物とか? 詳しくまとめられてる資料とかあったら読みたいな〜なんて思ってるの」
「左様でございますか……今度ダイアナに相談してみると良いかもしれません。彼女なら手に入れる方法を知っているかもしれませんから」シェリーがにっこり微笑んだ
「おぉ〜ナイス! シェリー! そうだね、ダイアナなら分かるかもね。今度聞いてみよう。だけどまずはその前にレベルアップ!」
私の魔法もまだまだ発展途上で進化してくれると良いな〜
「とりあえず渡しちゃうね」
「こちらはどの様に装備すれば宜しいのでしょうか?」シェリーが困った顔をする
「これはね、『盾』じゃなくてアクセサリーって感じで装備して欲しいの。シェリーの守りの盾は『腕輪』タイプにするね」そう言ってシェリーの腕に腕輪を装着する
「えっ? 『盾』が『腕輪』の形に? これは……」
「あ〜ごめん。『盾』はあくまでもイメージだから。これは『おまもり』だから装飾品のアクセサリー? そんな感じで形はなんでも良いの。で、もうひとつは『指輪』にしてみた」シェリーの指に装着する
「ありがとうございます。腕輪も指輪もとても素敵です」シェリーが嬉しそうに頬を染める
「良かった。気に入って貰えて」ブレスレットとリング……どちらも三連にしてみたけど正解だったみたい。シェリーの白い腕によく似合ってる
「レイにも腕輪とリングね」前足としっぽにシンプルなリングを装着する
「重さは感じないと思うけど邪魔にならない?」レイはしげしげと前足としっぽを見つめて動かしていた
「平気よ。つけてる感じはしない……良いわね……」言葉少な目だけどクリクリの目がキラキラして見える。気に入ってくれたと思って良いのかな?
「天ちゃんのはこれよ」天ちゃんへのおまもりは蝶ネクタイの形で首元? って位置に装着する
《リボン?》天ちゃんが訝しげな声を発する
「これはリボンじゃなくて蝶ネクタイって言うの。パーティーとかお呼ばれの正装の時にに着けるネクタイよ。私の中では紳士の証的な感じかな」
蝶ネクタイを素敵に着こなせる男性ってなんかカッコ良く見えるのよね〜。勝手な思い込みかもだけど……
《ふーん……ボク、似合う?》
「うん。凄く似合ってる。とっても素敵よ」
「ええ。よく似合ってますよ」シェリーも目を細めて 天ちゃんを撫でた
《レイはっ?》天ちゃんはレイにも感想を求める。
「えっ?……い、いいんじゃな? 似合ってるわよ」ふふっ。レイは天ちゃんには毒舌じゃないのよね〜、なんかちょっと照れた感じの言い方が可愛い
シェリーがお茶を入れ直してくれてくつろぎタイムを継続させているがセバスチャンはまだ戻って来ない
「セバスチャン遅いね……大丈夫かな? 」
「ふんっ。天と同じで暴走してんじゃないの?」レイの言葉で思い出す……
「そう言えば天ちゃんは何をやらかしたの? レイが凄く怒ってたけど」
《ボクね、クレーと追いかけっこしたの。楽しかったよ》天ちゃんが楽しそうに言う
「……もう……中に入り込んでクレーと競走したり叩き落としたり……やりたい放題だったわよ……はぁ……」天ちゃんとは対照的にレイは心底疲れたって顔をする
「た、叩き落としたの? クレーを?」
《うん。ぶつかりそうになってびっくりしたの。でも叩いたら消えちゃったんだよ。面白かったよ》
「天ちゃんっ! 怪我は? 痛くなかった? 大丈夫? 平気?」
《……平気だよ? 痛くない》
「……ったく……何よ今更……普通に元気にしてたでしょう?! サクラは天を甘やかし過ぎなのよ 」
「えっ? そう……かな?」天ちゃんはふわもこで可愛くてまだ幼い感じだからつい構いたくはなっちゃうんだけど……確かに強い事は強いのよね……心配は要らないのかもしれないけど……んっ?! 気配を感じて視線を庭に向ける
「セバスチャン! お帰り」戻って来たセバスチャンに声を掛ける
「ただいま戻りました……」ちょっと疲れた顔をしてる?
「ふんっ。あんたも天と同じみたいね。……ったく男ってヤツは……」レイはそう言うと天ちゃんに体を埋めて目を閉じてしまった
レイ……もしかしてセバスチャンの事心配してたのかな? 無事を確認するまで待ってた?
レイって何気にみんなの事よく見てて気に掛けてるよね。やっぱり優しい子なんだよね。
「セバスチャン、訓練はどうだった? 新しい設定も加えるつもりだけどリクエストがあれば聞くよ?」
「はい。改良していただけるのでしたらお願いしたい事もございます」セバスチャンが嬉しそうに答える
「うん、分かった。あ〜その前にセバスチャンにも渡しておくね」
セバスチャンにもおまもりを渡す事にする。本当はもうひとつ渡したい物があるのだけれど、それを渡すとまた訓練室に篭もりそうな気がしたのでそれは明日渡す事にした
――つづく――




