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# 80 旅立ちの前に2

出発の日は2週間後に決定した

しばらく留守にする事を神官殿……基ペターソン殿を通じて各関係者に伝えてもらった

石鹸や飲み物、栄養ドリンク等の在庫を確認して貰い、どの程度の在庫補充が必要が大まかで良いので納品数を出して欲しいと。


いつ帰って来るのかと言う質問に答えるのが一番難しかった。出掛ける本人が一番分かっていないのだから仕方がない……

とりあえずの目安として『最長でもダンジョン出現までには戻りたい』で納得して貰った

なので、ダンジョンにその兆候があれば連絡して欲しいとお願いも付け加えた

「もしかしたらホームシックに掛かってアッという間に帰って来るかもしれないけど……その時は温かく迎えてね」とそうなった場合を考えて先手を打ったつもりだったんだけど

「早く帰って来て下さい」

「1日も早いお帰りをお待ちしております」などと返されてしまった……

なんか……嬉しくって涙が出そうになっちゃったじゃない……


そう言えばアレクが「自分も同行させて下さい」と言って来たが、ダイアナに説得……と言うか半ば逆ギレ状態で同行は不可と叩きつけられた様だった

「私だってお側に居たいのに断腸の思いでここに残るのよ」と怒ったり泣いたりとアレクも気圧された感じだった

オロオロしているアレクがちょっと可哀想な気がしたけど助け舟は出せなかった……ごめん! アレク


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「よしっ! 納品予定分はもちろんだけど、出来るだけ沢山作れる様に頑張るから! みんな! 協力よろしくお願いします」自分に気合いを入れる様にみんなに頭を下げた


《あの……少し宜しいでしょうか? サクラ様、皆様……私の同行は……お許し下さいますか?》精霊さんにいつもとは違う少し元気のない声で尋ねられた。……そう言えば……

「ごめんなさい! そう言えばしばらく一緒に過ごしてみてから……って話だったね。忘れてた……ってか私はもう仲間のつもりだったんだけど、みんなはどうかな?」

聞くまでもないかな〜なんて思いつつも聞いてみる

「申し訳ございません。ワタクシも失念しておりました。サクラ様同様、ワタクシもいつの間にか仲間として接しておりました」

「私も! 精霊さんはもう仲間だと思ってます」ダイアナが元気に手を挙げる

「まぁ……それで良いんじゃない?」クールな返答はレイから

《精霊さん? 一緒に旅をするんでしょう? 違うの?》天ちゃんはちょっと不思議そう

「違わないよ。精霊さんは私たちの仲間で、家族になったんだよ。これからはずっと一緒だよ」

《ずっと? やった〜! これからも一杯遊べるね》天ちゃんはご機嫌な様子でクルクルと飛び回った

気持ちはみんな一緒だった。私たちはもうとっくに仲間だ!

「改めて……私たちの仲間、家族になって貰えますか?」

《ありがとうございます……どうぞ宜しくお願い致します》

「こちらこそ。どうぞ宜しくお願いします」ぺこりと頭を下げて微笑む。みんなも精霊さんを囲むように集まってニコニコと笑い合った


《早速で恐縮ですがサクラ様、私に『名』を授けて頂けますか?》

『な』? 一瞬頭の中に『??(はてなマーク)』が並んだが、あ〜『名前』って事?

「そう言えば精霊さんに名前聞いてなかったね……精霊さんには名前はないの?」

《はい。私たちは精霊ですので》あっさり言われた。んっ? それで終わり? 精霊だから名前はないって事? ……ノーム様は精霊王だから名前があるって事なのかしら?

精霊さんの名前……これしか思い浮かばない……超優秀な執事!

「セバスチャン! どうかな? 気に入って貰えると嬉しいんだけど」

《セバスチャン……ありがとうございます》淡い緑色に包まれていた球体が眩しく光り輝いた。あれ? なんか……力が増した? そんな感じがした


「セバスチャンって名前はね、『執事と言えばセバスチャン』って感じで超有名な名前なのよ。

でっ、私の中では超優秀な執事さんなの。精霊さんの物腰の柔らかさや物知りな所が執事って感じだし、それにとっても強いんでしょう? 全てにおいてパーフェクトな執事のイメージがドンピシャなの」

《ご期待に添える様、尽力致します》静かな返しでいなされた? ふむ、動じない所がやっぱり執事っぽい

「私たちは仲間で家族なんだからさ、そんなに畏まらなくても良いんだよ?」

《ありがとうございます。お言葉に甘えさせて頂きます》少しも変わってないけど……分かってくれてるのかな?


《それから……もうひとつお願いを聞き入れて頂きたいのですが》

「ん? なに? 何でも遠慮なく言って?」

《はい。サクラ様のお作りになったお人形、フィギアなのですが……》

「フィギア?」

《はい。あのコックさんのフィギアを私の身体として頂けないでしょうか?》

「えっ? フィギアを身体?」えっ? なに? どういう事?

《この姿ですと出来る事が限られますので実体……身体があった方がお役に立てると思います》にこやかに話を進められた……

「か、構わないよ? 天ちゃんお人形さん出してくれる? コックさんのお人形、精霊さん……セバスチャンにあげてくれるかな?」

《うんっ! いいよ》天ちゃんの中からフィギアが出てくる。本当に天ちゃんの身体の中は一体どうなってるんだろう? 不思議だ


《床に置いて頂けますか?》

《は〜い。ここでいい?》

《はい、ありがとうございます》

和やかにやり取りする天ちゃんとセバスチャンとは真逆に私たち……私とシェリーとダイアナは不安げに顔を見合わせた


しばらく沈黙の後、精霊……基セバスチャンの淡い緑の光が輝き始め……消えた……

えっ? 消えた? アワアワしていると今度は床に置いてあるフィギアが輝き始め、みるみるサイズが大きくなり等身大サイズのフィギアになった。私がイメージした通りの身長……

「これで皆様のお役に立てると存じます」フィギュアが……喋って華麗にお辞儀をした

「セ、セバスチャン……なの?」

「はい、フィギアの身体を頂きました」

うわぁ〜なんて柔らかで優しい声〜イケボだぁ〜

「この身体は素晴らしいですね。お嬢様のはっきりしたイメージが込められているからでしょうか? ステータスもさることながらスキルも充実しております」柔らかく微笑むセバスチャン……彼の……中身の気質なんだろうな……なんか……癒される……と言うか落ち着く……そんなオーラをまとっていた


――つづく――



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